ninth story
9/
目が覚めた。
今は朝だということは、そのまま眠ってしまったらしい。
起きて、下の階へと下りる。
居間では梓がテーブルで食事を取っていた。
テーブルには俺の分であろう食事が並んでいる。
「お、おはよう」
「おはよう」
帰って来てから梓と何も話さず、そのまま寝たため、少し戸惑ったが、梓の向かいに座り朝食を食べる。
無言の食卓。
意識してしまってなにを話していいかわからない。
「きょ、今日は、梓は学園に来るのか?」
「行くわ」
「そ、そうか」
どぎまぎしながら食事を進める。
梓が先に食べ終わり、席を立った。
その後俺も食べ終わり、自分の部屋へと戻り、学園に行く準備をした。
いつものように準備が終わり、玄関に行くと梓が待っていた。
「なにやってんの、早く行くわよ」
「ああ」
靴を履いて外へと出る。
学園に着いて、教室に入るとちょうどチャイムが鳴り、担任が入ってきた。
自分の席に着く。
ホームルームが始まった。
「みんなに残念なお知らせだ。 もう知っている人もいると思うが、昨日のデパートの事故で梶 亮太が亡くなった」
「えっ?」
思わず声を上げた。
あいつは俺たちを置いて先に逃げたんじゃないのか?
「心からご冥福を祈る」
担任が他の連絡を伝え、教室から出て行った。
そうか、あいつのことを一発、ぶん殴ってやろうと思ったが、それはもう出来ないのか。
今まで俺とつるんでいた奴だったし、死んだの? だから?、みたいにそう簡単に割り切れるわけではない。
なんとなく、やる気がなくなって一時間目が始まる前に学園を抜け出した。
学園を抜け出した直後、手を掴まれた。
後ろを振り向くと、梓が立っていた。
「授業くらいちゃんと受けなさい」
「なんとなく、やる気なくしたんだよ」
「あんた単位大丈夫なの?」
「やばいかもしれない、けど、今日はちょっとね」
梓に手を掴まれたまま、家に向かって歩き出す
家に帰ると紗夜子さんの姿はなかった。
ソファーに座り、テレビをつける。
「今、ゲート跡地では大変なことになったいます」
何気なくつけたテレビに目を奪われた。
「昨日襲撃してきた集団が今日もまた襲撃してきています」
俺の体が動いた。
自分の部屋へと戻り、バッグを持ち、その中にマシンガンを入れる。
急いで玄関へと向かう。
途中で梓にあった。
「八識、どこ行くの?」
「急いでるんだ、あとでな」
「ちょっと」
梓のことを振り切って、外に出る。
JRに乗り、ゲート跡地へと急ぐ。
別に亮太の敵討ちってわけじゃない。
俺に出来ることがあるなら、それをしようと思っただけだ。
親父たちのように・・・。
JRを降りて、走ってゲート跡地へと向かう。
そこでは警備隊と異能者の集団が攻防戦をしていた。
警備隊は圧倒的に不利。
ここからどうやって挽回するのか、という状況だ。
平和的解決をしたいがこれではとても無理そうだ。
「くそッ」
マシンガンを取り出し、バッグを捨てる。
崩壊した建物の影で様子を見る。
その間に次々と人が殺されていく。
ここでは場所が悪いな、場所を変えるか。
移動しながら敵の人数を探る。
・・・二十人くらいか?
次々と警備隊が投入されるが一向に戦局は変わらない。
「探したよ」
後ろから声が聞こえた。
後ろを振り向く。
後ろにいたのは梓に告白して、振られた奴だった。
「お前は・・・」
「僕の名前は矢島 隼人。 八識君、君を探したよ」
そういって隼人は俺の懐に入り、腹部に一発入れて、マシンガンを奪った。
「八識君、ついて来てもらおうか」
銃口を向けられ、仕方がなく、奴の案内どおりに進んだ。
進んだ先は人気のないところ。
そこには異能者の集団がいた。
「お前・・・」
「そう僕は、君たちの言うところの異能者なのさ。 奥を見なよ」
奥を見ると他の異能者に掴まれて立っている梓の姿があった。
「梓」
「や、しき?」
「おっと、動くなよ」
隼人は俺に銃口を向けながら梓のほうへ進む。
「彼女、君を追っかけてきたみたいだね」
「てめぇ」
「こいつさぁ人間とハーフのくせに生意気なんだよなぁ」
隼人は梓の頭を持って、地面に投げ捨てる。
梓が地面に倒れたところを足で踏むつける。
「生意気なんだよ。 顔は良くても所詮は出来損ないなんだよ」
何度も何度も梓を踏みつける。
「お前ぇ」
拳を握る。
「動くなよ、動くと彼女撃つよ」
そういわれてしまっては動くことが出来ない。
感情が高まる。
「やめろ」
叫ぶ。
「叫んじゃって、そんなにやめてほしいんならやめてあげるよ」
足を梓の上に乗せたまま、踏みつけるのをやめた。
「殺す」
そういって隼人の方を睨む。
「おー怖い怖い」
隼人の手から火が出ている。
炎を使う異能者だったのか。
「君は僕が殺してやるよ。 大丈夫、彼女もあとから送ってあげるから」
隼人の火が俺に向かって放たれた。




