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stage1 五撃目 『迫る影』

帝都会議会議まで後10日




「龍司。早くしないとおいていくぞ。」


「今日も、学校か…。」


眠たい目を擦りながら、鞄を持って玄関にいく。


玄関には、すでに靴を履いている桔梗が立っている。


何だか、桔梗が家にいるのが当たり前になってきたな。


「目が眠ってるぞ。」


「朝は、いつもこうなんだ。」


靴を履き、家を出る。


普段SAAFで働いている俺たちだが、学校に通っていないわけではない。


俺が通っているのは都立 篠原ささはら特殊警護高校だ。


今の世の中、能力者は色々な仕事場で働いている。



そのため、それに応じる形で能力者のための高校のバリエーションも増えた。と言っても、能力だって適材適所。


能力の種類によっては就職先が限られてくる。

俺も、そのうちの一人なのだが。


そう言えば、桔梗の能力ってなんだろう。


なかなか、本人は話してくれないしな。


むやみやたらに能力は教えていいもんでもないし仕方がないが、コンビを組んでいる相棒としては知っておきたいよな。


住宅街を抜け国道を渡り線路脇の道を歩いていく。


学校までは、後少しだ。


にしても、桔梗の転校は大事件だったよな。


確かに、桔梗の容姿を見てアイツらが騒がないという方がそれこそ大事件かもしれが。


桔梗を一目見ようと休み時間は廊下は人でいっぱいで、大変だった。


そんな中でも、顔色一つ変えない桔梗にも驚いた。


一体どんな神経してるんだ?


「なぁ。桔梗はあれだけの人数に押し掛けられて何とも思わないのか?」


「いや、あれはさすがに照れるな。危うく照れすぎて気絶しかけたぞ。」


「人間って照れすぎたら気絶する生き物じゃないだろ!」



「うむ、特異体質なんだろう。」


俺の想像を絶するような特異体質なんだろうなぁ。


ガチャリ


「へっ?」


俺の右目の2、3センチ前にあるCZ75ファントムの銃口。


「スイマセン!」


「んっ、どうした?」


「左手に持っているCZをおろしてください。まだ死にたくないので。」


「あ、ああ。スマン、ス

マン左手が無意識のうちに動いていた。」


な、なんて恐ろしい左手なんだ!!


「お。柳刃!今日もアイドル登校、」


ドンドンッ


「どわっ!!俺を殺す気か!」


「おっ、スマンなオレも右手が勝手に動いちまった。後、ちなみにさっきの威嚇射撃だから。」


俺は、エアガンのサイドにつけられたレバーを下げる。


「スマン。今から手が滑る。」


「滑ることを予測して言うな!!」


カチ


パンパンパンパンパンパンパンパンパン……


フルオート13連発。


威力は、当たると痛いくらい。


「止めろ〜!エアガンは人に向けて撃ったらいけないって取説に書いてるだろうが!」


はっ!!

そうだったな。


「ふう、やっと止めてくれたか。」


ゴソゴソ


「だぁ〜!!本物の拳銃ミネベア出してくんじゃあねぇ!」


「だって、コレの取説には人に向けて撃って下さいって。」


「断じて書いてくださいって書いてないから!って言うか当たったら死んじゃうから。」


フム…

ガチャン ダンッ!


ドサッ。


その場に座り込む蒲原。

「言い忘れてたけど、初弾は空砲だから。」


「ふぅ、死んだかと思ったぁ。」


「バカみたいにからかうからだよ。でも相棒をやられて黙ってるような私じゃ無いからね。」


「ああ、分かったよ。」俺は、後ろ手に手を振りながら学校に入っていった。


何でだろうな、朝は機嫌がよくない。


1時限目の世界史の授業は全く頭に入ってこない。


ハア、昼休みどうするかな…。


寝ぼけた頭で昼休みをシミュレーションしておく。


作戦が決まったところで戦に備えて俺は机に突っ伏した。




携帯のバイブ目が覚める。


時刻は12時27分。


4時限目の終了を知らせるチャイムが鳴るまで、

残り2分40秒。


寸分の狂いもない電波時計を睨む俺。


後30秒。


手持ちのエアガンの位置を確認。


後10秒。


オレは、ベルトに仕込まれているワイヤーの留め金を掴んでおく。


5、4、3、2、1。


今だ!


オレはフライング気味に席を立ち上がる。


窓に走り寄り、窓枠の角にワイヤーの留め金を引っ掛ける。


俺たち2年生の教室は2階。


俺は、しっかりとワイヤーを固定したのを確かめ窓から飛び降りる。


ワイヤー巧みのばしながら衝撃を最小限に抑え着地したのと同時にワイヤーを軽くたるまさせ一気に引っ張ると留め金がはずれ、ベルトの中にしまい込まれる。


「柳刃!!」


大勢の男たちの声が俺がさっきまでいた2階の教室から聞こえてくる。


「クソ!窓から飛び降りやがった!」


身を乗り出してグランドにたっている俺をみる男子生徒達。


「そんなに乗り出すと。」


内ポケットから素早くエアガンを抜き出し、発砲する。


「転落するぞ!」


パンパンパンッ!あらかじめ、モードを3点バーストに設定しておいたため1回引き金を引いただけで3発連続で弾が飛び出す。


飛び出した特殊BB弾は男たちのデコ吸い込まれるようにヒットする。


「「「イテッ!」」」


仲良く同時に悲鳴を上げる。


いつも、追われている立場だ。反撃したって変わらないだろ。


「クソッ!!してやられた。」


「落ち着け、今日はあの方がお見えだ。俺達は大人しくしておこう。」


四角の細長いメガネをかけた少年は、メガネを人差し指で位置をなおしながら、教室を去っていった。





俺は、体育倉庫の裏に隠れてグランドの様子をうかがう。


グランドには、人影は見えない。


「ふぅ、今日はエラく追っ手の数が少ないな。」


一息ついた瞬間だった。


トントン


俺の肩を誰かがたたく。シマッた!


エアガンを抜きながら、振り返る。


が、呆気なくエアガンを掴まれ発砲する事ができず無防備に振り返った。


「大変そうだね、龍君。」


少女は、微笑みながら俺をみる。


「か、会長!」


しかし、コレは決してうれしい出会いではなかった。


この人は、篠原警護高校生徒会長 大宮寺だいぐうじ 有紗ありさ先輩。


容姿端麗、才色兼備の完璧人なのだ。


長い黒髪のその顔からは、大和撫子と言う言葉がぴったりと当てはまる。


「どうしたの?」


大宮寺先輩は、そう言って微笑む。


だが、微笑んでいるのにまるで蛇に睨まれた蛙のように体がピクリとも動かない。



まさか、篠原警護高校のラスボスに遭遇してしまうとは、なんたる失策!


「か、会長こそ、こんなところでなにしてるんですか?」


恐ろしいが、それを聞け!と言わんばかりの空気。


「何してるって、会いに来たんだよ。龍君に。」


俺の脳内にゲームオーバーの文字が思い浮かんだ。





「で、何用で俺に会いに?」



「えっ、龍君に会うのに理由なんているの…?」こう、真顔でいわれるとドキッとする。


「ハハハ。顔赤くしちゃって、可愛い。」


おちょくられていたことが判明。


ドキッとしちゃったじゃないか!


俺のドキッを返しやがれ〜。



っと言う訳にもいけないので、心を落ち着かせてもう一度用件を聞く。



「会長、なんで俺を訪ねられたのですか?」


「ん〜。つれないなぁ。実は、帝都会議の噂を小耳に挟んでね。それを伝えておこうかと。」



帝都会議の噂?

確かに、気になるな。



「帝都会議の日。ビックサプライズが帝都市民全員に訪れるでしょう。って昨日インターネットの掲示板で見かけたのよ。」


「帝都市民全員に訪れるビックサプライズ、どういうことだ?」


顎に手を当て、しばらく考える。


「これ、掲示板の最後に書かれていた文字。」


そう言って有紗は、四つ折りにされたメモ用紙を折れに手渡した。



メモ用紙を広げてみるとそこに並ぶ変な数字。




7月16日PM5:00


4444、11、44444、66"、small888、111、11、000.


under ground1→space4




「何ですかこれ?」


「私じゃ、分からないから龍君を探してたんだよ。」


「…7月15日って、今日じゃないですか!しかも、5時まで後4時間ってマズいんじゃないんですか?」


「そうだね〜。」


ガクッ


ハァ、何でここまで冷静にニコニコしてられるんだ?



「じゃ、後は任せた!」

そう言い残してその場を立ち去ろうとする有紗。


「ちょ、待ってくださいよ会長!何で俺に押しつけて1人帰ってるんですか!!」


「うまくいったら…あの男どもを何とかしてあげてもいいわよ。」


ニヤリと笑う有紗。


こぇぇぇぇぇ!


この人、マジこぇよ!!

何か、目で人を殺せそうだ…何という眼力。



「…で、引き受けてくれる?」


コクコク!


オレは、すぐさま首を縦に振る。



「じゃ、お願いね。名探偵さん!」





と言うことで、昼休み中ずっとメモ帳と睨めっこしていたが、一向に解決の光が見えてこない。




「うーん…。under ground1は、おそらく地下1階のことを指しているんだろうが、この数字がなぁ…。」



「どうしたんだ?そんなに唸って。」


桔梗が、机をのぞき込んでくり。


「いや、この問題がな…。」


「なんだ、この問題?龍司、最近は近所の子供にでもおちょくられているのか?」


「俺どんだけ悲しいコなんだよ!」



「冗談だ…。」


クソ〜!


桔梗まで、俺をおちょくりやがって!


誰のせいで、ヤツらに追われてると思ってるんだ。



「後1時間。ヤバいな〜。こうなったら、火神にメールしてみるか…。」


俺は、ポケットからケイタイを取り出してメールをしようと固まった。



「んっ、どうした?燃料切れか?まぁ、あれだけ走り回れば疲れるだろうな。」



「…違う。後少しで何かが分かりそうなんだ。」


「…。」


俺のジャマにならないように黙り込んでジッと俺を見つめる桔梗。


ケイタイを見て何かが思いつきそうな気がするんだ。


ケイタイのボタンには、数字、仮名文字、アルファベットが並んでいる。





……!!



「そうか!メモの数字はケイタイのボタンを表していたんだ!」つまり、初めの4444を例に表すとこうだ。

4が表すのは、押すボタン。


4が4つ。この4つが表すのは、ボタンを押す数。


そして、訳される言葉はアルファベットなら大文字の『G』、仮名文字なら『て』だ。


各ボタンに、アルファベットは多くても4つ。

仮名文字は、ほとんどが5つ。はじめの文字が、大文字なら3つを越すのも分かるが、3つ目の4は5つもある。



つまり、この暗号は数字を仮名に変換すれば分かるはずだ。


一つずつ訳していくと、『て』『い』『と』『ひ"』『smallよ』『う』『い』『ん』



『ひ"』はおそらく『び』


『smallよ』は、『ょ』


すべてをつなぎ合わせて出てくるのは、


『ていとびょういん』


「帝都病院地下1階か!」


暗号は解けた。


後は、そこに向かうだけだ!


時計をみると時間は4時40分を回ったばかりだ。俺は、教室を飛び出しながらケイタイの電話帳から大宮寺 有紗先輩の文字を見つけだし、ボタンを押す。


プルルル、プルルル


「もしもし。」


2コール目に電話がつながる。


「会長!暗号が解けました。場所は、帝都病院の地下1階です!」


「帝都病院ね!分かった、すぐに行くからグランドまでダッシュしなさい!」


ブチッ


会話にしてみれば、およそ10秒。


しかし、俺には十分すぎる時間だった。1階廊下の窓からグランドに向かって飛び出す。


それとほぼ同時に、爆音を轟かせて近付いてくるバイク。土煙を上げて俺の目の前で急停車する。


「早く乗りなさい!」



バイクを運転していたのは会長。


そして、会長は俺に向かってもう一つのヘルメットを投げた。



それをキャッチした俺は、ヘルメットをかぶりながらバイクにまたがった。


「しっかり捕まってなさいよ!」


アクセルスロットルを捻りながら有紗は叫ぶ。


下は土だというのに、ウィリーしながらスタートするバイク。


このバイクは、警護学校の専用車両だ。


白と黒のツートンカラー。

右サイドに回転灯、左サイドに拡声器がついている。


もちろん、エンジン、車体も細かく改造されており、並みのバイクなんて比にならない位の恐ろしいバイクに仕上がっている。



二人乗りでも、このフットワークの良さ。


ハンパない!



だが、このモンスターマシーンを操るこの人もモンスターだ。


普通の人には、乗ることすら難しいようなバイク。



な、なんてすごい人なんだ!


公道に飛び出たバイクは、回転灯に赤い灯をともして突っ走る。






目的地の帝都病院は、もうすぐだ。


腕時計を見ると、時刻は4時50分。


大丈夫。


コレなら間に合う!


間に合ってくれ!



さっきからするこのいやな胸騒ぎが杞憂であってほしい。


「帝都病院地下1階っていったら、駐車場よね。」




「はい。おそらく地下1階の4番目の駐車スペースに何かがあるはずです!」



「了解。」



バイクは、地下に潜る入り口に飛び込んでいった。




バイクが止まるか止まらないかのスピードでバイクから飛び降りる。



四番駐車スペース4番はどこだ!



滑るこむように4番駐車スペースに止まっているクルマに駆け寄った。


止まっているクルマは白のワンボックス。


鍵は、かかっていない。


後ろのスライドドアを思いっきり開けた俺の目の前にあったのは恐ろしい物体だった。


残り3分を刻んでいる液晶。



「プ、プラスチック爆弾!」



その大きさか、病院の地下1階を吹き飛ばすには十分な大きさだった。



第五撃目 終了

帝都病院地下一階で発見したプラスチック爆弾。


爆発まで後三分をきったことを知らせる液晶。



爆発すれば、帝都病院が吹っ飛ぶ。



龍司は、帝都病院崩壊を阻止することができるのか!?


そして、敵の目的はいったい何なのか!



次回『ねじ曲げられた真実』

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