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stage1 二撃目 『オレの休日、彼女の休日』

「本日付けから、特殊能力犯罪捜査課に配属された、桜咲桔梗です。よろしくお願いします。」


銀髪碧眼の少女はにこやかに挨拶をした。


他の課に比べてウチの課は圧倒的に、人数が少ない。人手が増えたことは、正直嬉しい。




「それじゃあ龍司には、桔梗ちゃんとしばらくはコンビを組んでもらうからよろしくね。」


「龍司、よろしく。」


「ああ、よろしく。」





「課長。それじゃあ、俺は誰と組むんですか!」



蒲原が、勢い良く自分の席から立ち上がった。


「蒲原君には紅葉ちゃんと組むに決まってるじゃない。」


「紅葉とですか!」


「なによ。あたしとじゃ嫌なの?」


紅葉のワルサーが今にも火を噴きそうだったので、蒲原は静かに着席した。


紅葉と蒲原が組むのか。

少々不安だが、それなりに2人とも息が合ってるときもあるしな。


考え込むのは杞憂だろう。


「それより、後2週間で帝都会議も開かれるわ。それに、備えてコンビとは、うまく調整しとくのよ。はい、今日はこれにて解散!」


七菜はさっさと話をまとめ上げてしまう。


やっと、自宅に帰れそうだ。


「桔梗ちゃん。ちょっと話があるから、付き合ってくれる。龍護は、先に帰ってていいから。」


「ああ、さっさと帰って寝る。」



俺は、そう姉に言い残し帰宅した。


疲れがどっと出てきたのでジャワを浴びた後、ベッドに潜り込んだ。今日は、疲れた。


だが明日は非番だし学校もないからゆっくり出来る。


そう思いながら、俺は眠りの海に沈んでいった。


翌朝。


小鳥のさえずりが窓の外から聞こえてくる。



ベットから起き上がり階段をゆっくりと降りる。

テーブルには、ハムエッグとトーストの入った皿が2つ。朝食を作るなんて姉さんにしては珍しい。

手前の席に座って新聞を広げる。



『第五回帝国会議二週間後に迫る。帝都の守りは完璧なのか?』



でかでかとそのタイトルが記事の一面を飾っていた。


「世の中に、完璧なんてありゃしないって。」


今やこの日本は、真っ二つに割れている。


地形的じゃなくて。地図の国名的にだ。


5年前の地図から日本は、真っ二つに西日本、東日本という国名に分かれてしまった。


西日本政府は、旧北九州を西京に名前を変え今や西日本の首都だ。


一方、東日本は、新京政府が旧東京に帝都新京をおいた。


俺たちが住んでいるのは帝都新京の外れの住宅街だ。


そんなこんだで、日本が二つに割れて五年目の会議が開かれることになっている。




普通の警官に混じって俺たちも帝都を巡回する予定だ。


「まったく、日本もめんどくさいことになったよな〜。」


「仕方ないだろう。能力者の話で政府が真っ二つ割れて閉まったんだから。」



「まあ、確かにそ、」




俺の言葉は、そこまでしか続かなかった。


「ん?龍司、コーヒーはブラックか?」


俺は、見てしまった、聞いてしまった。


台所に立っているその人物を。


「なんでココに!」


彼女は、ヒョイヒョイっと机の上に置かれている紙を指差す。


俺は、恐る恐るその紙を手にする。



『桔梗ちゃんが、今日からうちに来ることになったからよろしくね♪』



視界が一瞬真っ暗になりかけた。


そう、台所に立っているその人は、私服にエプロン姿の桜咲桔梗その人だった。



オイオイ。



姉さんなに考えてんだよ。


「いくら、姉さんがいても、同年代の男女が一つ屋根の下ってのはさすがにマズいって。」


「私は別に気にしないぞ。」


桔梗さん、もうちょっと女らしくしたらどうですか。


「俺は、気にするって。」


「で、ブラックでいいのか?」


「ああ、最高に苦いブラックにしてくれ、早くこんな夢から目を覚ましたい。」




数分後、自分の発言に後悔したくなるくらい苦いコーヒーを飲んだが、悪い夢は、覚めてくれなかった。


「さて、これからどうしたものか。」


俺は、ソファーに座って今後のことについて脳内作戦会議を開いていた。



桜咲桔梗、昨日からSAAFに配属になり、今は俺とタッグを組んでいる。


なるべく、自分のパートナーの経歴ぐらいは知っておきたい。


ポケットに、突っ込んでいた携帯を取り出してある人物にメールを打った。


一時間もすれば返事が返ってくるだろう。


それまで、彼女自信の口から話を聞くとするか。


そう思い、食卓でお茶を飲んでいる桔梗の元にいった。





「ちょっと話いいか?」


「ああ、いいぞ。」


「…あのさ。簡単な経歴ぐらいは教えてくれないか。俺のも教えるからさ。」



「龍司は、話すことはない。昨日の七菜さんに聞いた。」


姉さんが、変なこといってなかったらいいが。



「それじゃ、SAAFに来るまではドコにいたんだ?」


「U18強行部隊だ。」


「アンダーエイティー…。」




俺は、桔梗の発言を聞いて背筋にゾクッとしたものが走った。



アメリカのに本部が設置されているのだが、捜査官の約90%が18歳以下の能力者で構成される秘密捜査機関。



それの中でも、U18強行部隊は、凶悪犯、テロリストに強行逮捕に踏み込み犯人を確保、あるいはその場で射殺するという恐ろしい部隊だ。







「ひとまず、右手に持ってるミネベアを離してくれないか。」



無意識のうちに俺はミネベア9mm自動拳銃を堅く握りしめていた。


コイツは、日本の陸海空自衛隊に支給されているのと同じモデルで俺が持っているのは、桜の紋章にWと書かれてある陸上自衛隊のものだ。このミネベアは、オヤジが唯一俺に残した形見だ。


刑事だったオヤジは、ある事件で被弾しその2日後に死んだんだ。




「…悪い。やなことを思い出してな。」




机の上に置いたミネベアを見て、桔梗の顔が一瞬曇ったように見えた。




「それは…。いや何でもない。すまない、嫌なことを思い出させて。」



「いや、桔梗のせいじゃないよ。」




俺はそう言って。


オヤジの形見のミネベアに視線を落とした。


スライドとグリップが銀色に光っており、銃身は真黒の拳銃。



オヤジが修理した時にそうしてもらったらしく、世界に一つだけの拳銃だなんて自慢していたことを今でも思い出す。


おやじを殺した人物は、今でもノコノコと生き延びているに違いない。



そう思うだけでも、怒りがこみ上げてくる。



まだ、犯人のめどは立っていない、だから犯人を追いつめるその時まではこの怒りは秘めておこう。



大きく、息をして気持ちを落ち着かせる。


「湿気た話をするのもなんだ、どっかに行かないか。良かったら帝都を案内するぜ。」


「ぜひ、お願いしたい。実を言うと、ココに来てまだ日が浅いんだ。」


「OK。任しといてくれ。メジャースポットから超穴場スポットまで紹介してやるよ。」

そうして、俺たちは朝から帝都に出掛けていった。






「それで、ここが帝都ツリーだ。」俺は、目の前にそびえ立つ500メートル級のタワーを指さす。


「大きいな。本物は、やっぱり威圧感が違うな。」


そびえ立つ帝都タワーを見て桔梗は少し驚いた。


「ああ、この帝都ツリーは世界最大級のタワーだからな。さて、そろそろ昼飯食いに行くか。」


腕時計の針は12時を回ろうとしていた。



「ここらへんでおいしい店はどこなんだ?」



「そうだな〜。しっかりした店もいいな、渚食堂とかもいいしな。」



「食堂か。興味がわくな。そこに行かないか?」


「そうか、じゃあ渚食堂に行くか。」



下町方面に歩いていくこと5分、安い美味いで有名な渚食堂が存在する。


「ここが、渚食堂か。」


少しサビた感じの看板には緑色のペンキで渚食堂と書かれてある。



入り口の引き戸を開けると食堂のおばちゃんが俺をみてにっこりと笑って席に案内してくれた。



「龍ちゃん。横の娘は彼女かい。」


「ち、違うよ、オバチャン!仕事仲間だから。」


「おやおや、ますます怪しいねぇ。で、メニューは何する?」


このおばちゃん、絶対俺のことをからかうことを楽しみにしてんな。



「そうだな。いつもの裏メニュー、2つ。」


「いつものって響き、かっこいいな。」


いや、カッコいいから言ってんじゃないんだよ。メニューの名前がな…



「スーパーDX破天荒チャーハン2つだね。」


…なんだよ。


声にして頼みたくないでしょ。


だから、いつものっ言ってんだよ。


美味いんだけど、メニュー名がすごいんだよな。


「カッコいい。」

「マジで!!」


桔梗にそんな趣味があったとは。


「絶対飼い猫とかにリンカーンって呼んでそうだな。」



「いや、ワシントンだ!」


「初代ですか!」



「はい。スーパーDX破天荒チャーハンだよ。」



おばちゃんは、チャーハンが盛られた二つの皿を俺たちの前に置く。



名前の割には見た目はしっかりしているチャーハンだ。


味付けは秘伝のタレを使っているらしい。


「「いただきます。」」


パラパラに炒めてある米をスプーンですくって食べる。


「うん。おいしいな。」


どうやら、気に入ってもらえたようだ。


さて、俺も食べるか。彼女が気に入ったのを見届けてから俺もチャーハンを食べ始めた。


いつ食べても、ココのチャーハンは上手いよな。名前はあれだけど。



そうして、昼食を一通り楽しんだ後、午後からなにをするべきか悩んでいた。


が、ある一本の電話から少しずつアレの正体が分かることになるとは…


第二弾 終了

後日談! そのいち


「オレとコーヒー」



「で、龍司はブラックか?」


「ああ、最高に苦いブラックにしてくれ、早くこんな夢から目を覚ましたい。」



五分後。


「出来たぞ。」


「ありがとう。」


ゴクッ


「だー!にげー!!」


「そうだろうな。お湯とインスタントコーヒーの比率が5:5だから。」



「どんだけ、濃いいんだよ!」


「これくらい普通だぞ。」


ゴクッ ゴクッ ゴクッ



「ウム、おいしかった。」


「絶対無理してるだろ。」


「ああ、限界だ。」


バタッ!


「だぁ〜!!そんなにまじめにバカしなくてもいいから!」



ちなみに、三分後に目が覚めたそうです。

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