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stage1 初撃 『セーラー服とハンドガン』 改訂版

挿絵(By みてみん)



「いやぁ。今日は楽だったな〜。」


星野さんが運転する日産の黒いR32GT-R(警察仕様)は夕暮れの大通りをゆったりと走っている。




俺は、助手席から夕暮れを眺めていた。


後部座席には紅葉と蒲原が座っている。



「まあ、オレにかかればこんなの事件のうちに入らないね。」


などと蒲原が、ふんぞり返って自慢する。


ガチャリ


調子にのっている蒲原の側頭部に紅葉のワルサーが当てられる。


「あんたにかかればこんなのも事件じゃないでしょ♪」


「いや、お前が拳銃を持ってる時点で事件は始まってる…わけで。」





ピピッ ピピッ!



無機質な電子音が車内に響く。


『大宮通りを走行中の西南交通バスでジャック事件発生。犯人は車内の乗員を人質をして逃走中。なお、犯人は拳銃を所持している模様。現場に近くにいる捜査員は、至急向かってください。』



「すぐ近くだね。」


さっきまで、不適な笑みを浮かべていた紅葉の顔が険しくなった。


「ハイこちら、SA一号車。只今から現場に向かいます。」


俺は、無線機に答える。


「よし、飛ばしていくぞ!」


星野は、サイドブレーキを引き、交差点でコマのようにクルリと回るスピンターンをする。




星野は、ギアを一つ落としてアクセルを踏みタコメータの針をレットゾーンに放り込んでいく。


後ろ向きの強いGに体がシートに押し付けられる。


エアコンの横についている青いボタンを押すと、ボンネットの一部が反転し、赤色灯とスピーカーが姿を現れ赤い光とともにサイレンが叫びだした。




国道をとばすこと10分、バスは、すぐに発見できた。




赤色灯とスピーカーは、しまわれたGT-Rは、黒い弾丸とかしていた。


「カーテンが閉まってるな。」


車内の様子が全く分からない。



さっき無線で新しい情報が入ったのだが、犯人は厄介な能力者の持ち主のようだ。



炎の能力者。




ジャック事件では最悪の組み合わせだ。


能力者自体が強力な爆弾みたいな状態だからな。


そんなものが、市内を走っているのだからこちらとてうかつに手出しは出来ない。



「紅葉、中はどうなってる?」


ここは、紅葉の能力に頼るのが正しい。


紅葉の能力は直視。


薄い壁程度ならそれを透かして向こうが見えるという数少ない能力だ。

それに、男に直視の能力を持っている奴はいない。


やはり、やましい心があるからなのだろうか。



「犯人が、右手に拳銃を持って通路を歩いてる。」



コレは、長期戦になりそうだ。


バスは、移動しているわけだから突入は難しい。




それに、バスはついさっき給油をすましたそうだ。



日の入りまで、そう時間はない。


人質の精神力、体力を考えると出来るだけ長期戦は避けたい。



その時だった、俺の携帯がなる。


ディスプレイを見ると我が姉、柳刃七菜の文字が表示されている。



捜査課の課長を勤めている俺の姉だ。


姉さんならいい打開案があるかもしれない。


「もしもし。」



「龍護ね。そちらの様子はどう。」


「最悪だな、どうすることも出来ない。」


「事態は、深刻ね。…こうなったら突入しかないか。」


俺は、それを聞いて心底驚いた。


「突入って言ったってバスは走行してるんだぞ!」




走行中のバスに突入なんて聞いたことがない。


相手は拳銃を所持してる。少しでもバレたら、人質を殺しかねない。あまりにもハイリスクだ。


「最後まで聞いて、一瞬でいい犯人の手から拳銃を離させて。それがアンタに任す任務よ。タイミングは任せるわ。後は、突入隊員インカムでやり取りして。」


しばらく考え、俺が出した結論は。


「……分かった。その仕事は、任せろ。」



俺は、そう言って携帯を切ってポケットに突っ込んだ。



「紅葉、俺に協力してくれるか?蒲原、M24取ってくれ。」


「OK。ほれよ。」


「私のできることなら手伝うよ。」


きりっとした顔で紅葉は答えた。



辺りは夜の闇に包み込まれつつある。



前方と後方のパトカーの赤色灯が眩しい。


上空では、テレビ局らしき青いヘリが飛んでいる。



バスを追い抜いた俺たちは、近くの駐車場に止まっている選挙カー近づく。


「スイマセン、SAAFの者です。この車両を一時お借りしていいですか。」


SAAFと書かれた警察手帳を見せ、選挙カーに乗り込み上の階にあがる。


蒲原から受け取ったケースからM24狙撃ライフルを取り出す。


素早く組み立てる。


「紅葉、お前の直視の能力俺に貸してくれ。チャンス一度きりだ。」


インカムをし、銃弾をマガジンにセットする。


紅葉は俺の肩に左手を置き、目をつむっているがしっかりとバスをとらえている。



俺には、見えている。



紅葉の透視能力でこの暗視スコープを通してカーテンの向こう側に座っている犯人が。


「犯人は、一番後ろの席に座ってる。人質も後部座席に集まってる。」


俺は、インカムの向こうの人間に話す。


「了解した。こちらの準備は出来ている。いつでもいいぞ。」



無線の相手は平然と答える。声からして、どうやら女性のようだ。


思った以上に、ヘリの音がうるさい。



「それじゃいくぞ。3、2、1、0。」


俺は、ライフルの引き金に手をかけた。



パァーン。



乾いた発砲音が辺りに響きわたる。


まっすぐ銃口から飛び出した弾丸は、バスの窓を突き抜けカーテンを破り、男の持っていた拳銃を破壊した。






パァーン。


銃声を合図に彼女は、ワイヤーを使いバスの窓を蹴り破った。


空中で体をひねり、ホルスターから愛銃のCZ75を抜き去り犯人に発砲する。


彼女が使用しているのは、2009年に復活を遂げたCZ75 SP-01 phantomファントムだ。


ポリマーフレームバージョンのファントムは従来のCZよりも約33%も軽い。


装弾数15発、9mmパラベラム弾を使用する世界の名銃なのだ。




ガキンッ


男の顔を覆っていたマスクをかすめすぐ後ろに着弾する。


「死にたくなったら、動かないのが正しい判断だぞ。」



銃が壊れてからほんの1、2秒の出来事だった。





俺はスコープから目をなしバス周辺を見回す。そして俺は自分の目を疑った。


テレビ局のヘリから一本のワイヤーがぶら下がっている。



まさか、あれで突入したのか。


移動するヘリからあんな芸等ができる奴なんて、いったい何者だ。


俺は、選挙カーの上から飛び降り、バスに走り寄った。


俺はここで再び驚いた。


バスから降りてきたのは俺とセーラー服に身を包んだ少女だったのだから。


銀髪碧眼の少女。




おそらくおれと同年代であろう彼女を見て、立ち止まらない人はいないだろう思えるほどの美少女だった。



腰までありそうな銀の髪は夜の光でキラキラ輝いていて、ヘリの風で揺らめいている。


その透き通った青い目には強い意志が見える。






そんな銀髪碧眼の美少女は俺を見て笑顔で答えた。


「君の射撃のおかげで誰一人負傷者がでなかった。ありがとう。」


俺は、驚きのあまりぽかんとしてしまった。



「そう言えば、まだ名前をなのってなかったな。私の名は、桜咲桔梗。よろしく。」


「あ、ああ。よろしく。」



どうやら、俺はとんでもないヤツに会っちまったみたいだ。


初撃 終了

お楽しみいただけたでしょうか。


次回から、後書きには本編のこぼれ話などをやっていきたいと思っています。


それでは、

Let's meet again next time.

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