stage2 十発目 [音速の翼]
どうも夏川です。
最近はほかの小説執筆のため遅れがちですが、これからもよろしくお願いします!
さて今回の前書き説明は、「帝都病院」です。
帝都新京の中でもかなりの大きさの病院で、最新の機器もたくさんそろっています。
只今龍司君が入院していますが、病室は個室がほとんど、病院食も非常においしいと評判です。
災害時には、この病院を拠点として救助された方々やけがをしている方々を治療するようになっています。
屋上は二機のヘリコプターが着陸できるほど巨大で、緊急時にも十分対応できる病院となっています。
では、本編へどうぞ!
延々と続くように思えるほど長い廊下が何も言わず、ずっと続いている。
5メートル間隔で取り付けられている青白い電灯がジジジと小さな音をたてていた。
「さて、結構歩いたな」
「そうね。案外長い通路なのね」
「ああ、約一キロぐらいあるな。よくこんなものを作ったもんだ」
「本当よ」
進みながらも、後ろを気にしながら進まなくてはならない。
不幸か幸運か、さっきの西部強襲部隊の突入で侵入者妨害とラップが発動し、上の連中は苦労しているようだ。
「こっちも、めんどくさいけど」
雛霧は手持ちのベレッタを構えながらそうつぶやく。
なるべくトラップを発動させないように進んできたが、それでも数個ほど発動させてしまったのだが……
「色々あったわね……」
「槍が飛び出してきたり床が抜けたり、多すぎよ」
紅葉はため息をつきながら前に進む。
「後少しで、四階につながる階段があるはずだ」
ズンッ
パラパラと天井の破片が落ちてくる
「……。近かったな」
「相手方はすぐ上まで来ているわね」
「さぁ、先を急ぐぞ」
いよいよ迫ってきたに敵に少々焦りながらも、慎重に前を目指す。
だが、どうする?
最下層にたどり着いた後、俺たちはどうなるんだ?
一抹の不安がよぎる。
「雛霧さんよ。手の戦力は分かるのか?」
「そうね……。一個小隊で来ているとすれば、私たちにはかなり厳しいかも」
「紅葉。残弾は?」
「マガジン4つ」
「残り128発か俺はマガジンが後4つだから48発か……。雛霧は?」
「私は、マガジン3つで45発よ」
相手はプロ。いくら超能力者といってもコッチは高校生……
まずいよな。
龍司ならどうする?
東日本 帝都新京 帝都病院屋上
「龍司! 場所は分かっているのか?」
「ああ。地図の受信には成功したおかげ何とかなる。だが、問題はその場所だ……」
「場所?」
「広島は広島なんだが、送信した場所は海の上なんだ」
「まさか……」
「理由は分からんが、船か或いは海中か」
手がかりとなる写真を蒲原に渡し、捜査に出てもらったのだが俺にもあの建物が何なのか分かっていない。
あの写真は、刑務所に入った中山が渡してきた写真。
『どうしてもこの事件の裏、black cityガ知りたきゃ、ここを調べな。ここなら戦時中の日本の情報がザクザクでてくるからな』
『戦時中? 戦争とどういう関係があるんだ?』
『そこまで教えられんな。それに、現物を見るほうがよっぽど確証があるからな』
そう言って渡してきた。
「もしかしたら、消えた3000億円も関係しているのか?」
病院の屋上から帝都を見渡しながら俺は思考をめぐらす。
3000億、洋上、広島、そして戦争。
「……っ!!」
電撃のようなひらめきが体中を駆け巡る。
「もしかして……」
「何か分かったのか?」
「あくまでも推理だが、もしかして戦艦の建造計画かもしれん」
「戦艦だと。なぜ今さらそんものを?」
「アメリカの軍事レポートにこんなことが書かれていた。今の能力開発が進めば、一人の力で巨大なもの、例えば船なんかを自在に動かすことが出来ると。」
「ワンマン・オペレーション・システムか!」
ワンマン・オペレーション・システム。
それが可能なら、一人の能力者により、自在に戦艦などを動かし、戦闘をこなし、修復までできるというシステムだ。
「完成していたのか? そんな恐ろしい代物が」
俺の呟きをかき消すかのようにSAAFの高速戦闘ヘリが帝都病院の上空に現れた。
ゆっくりと降下してきて綺麗に着地する。
「柳刃君!早く乗って!」
星野さんがヘリのドアを開けそう叫んだ。
桔梗と顔を見合わせた後、一度うなずくとヘリに乗り込む。
「星野さん! 姉さんは?」
「課長は離れ島に行ったよ」
「離れ島に!?」
離れ島というと、帝都湾に浮かぶ人工の島。航空自衛隊第六航空師団の基地があるだけのはず……
なぜあんなところに?
俺のそんな疑問はヘリのローター音すらかき消す轟音によって一瞬で解かれた。
帝都上空を音速で駆け抜けていくその姿。
「F-35ライトニング!」
マッハ1.6を誇る垂直離陸仕様のステレス戦闘機が低空を駆けている。あっという間にその姿は点になっていく。
「姉さん。まさか戦闘機を!!」
おいおい!
話がでかすぎるだろ!?
俺はそう叫びたかった……
~続く~