stage2 八発目 [爆炎の再開]
MK3A2について説明します
何それ美味しいの?
と思います
(いや、美味しくないですが)
コイツはアメリカ製の手榴弾です。
TNT爆薬を使用した手榴弾で、少し威力は小さめです。
と言っても、半径2m以内を確実に破壊してしまう兵器ではあるんですけどね。
ということで、本編へどうぞ!
「んっ、ん~。ふぅ、よく寝た……」
まだ寝起きの意識がはっきりしていない状態で部屋を見回す。
昨日と何の代わりもない、地下街の家たちが窓から見えている。
昨日と違うところといったら、蒲原がこの部屋にいないということぐらいだろう。
何の変化のない風景に少しぼーっとしていた私は、ゆっくりと起きあがり、ベッドの横にそろえられている自分の靴を履く。
机の上の鞄にはしっかりと二丁のUZIが整備された状態でしまわれている。
「蒲原が整備したのかな?」
そう独り言を言いながら、ホルスターに拳銃をしまう。
時計の針は、午前六時を指している。
もう朝だというのに蒲原の姿はない。
いつもは、遅刻するほど寝起きが悪いというのに。
「あら? 水沢さんおきていたの?」
ドアから入ってきたのはこの地下街のドン、雛霧椿。
「ええ。ずいぶん休養出来たから。」
「それはよかったわ」
「あの、蒲原は?」
「蒲原君は、軍基地跡の調査に行ったんじゃないの? あら、蒲原君から聞いてないの?」
「はい?」
蒲原が私に黙って任務に……。
へぇ。
アイツも気の利いたことするじゃない。
内なる闘争心に火がつくのに数秒とかからなかった。
私をおいていくとは、いい度胸してるじゃないの!
「フフフフフ……」
「水沢さん? どうしたの?」
「雛霧さん。その軍基地跡に連れて行ってもらえますか?」
「え、ええ。いいわよ」
紅葉の殺気に雛霧は一瞬ひるんでしまった。
それが、ものすごく恐ろしい本当に殺されそうな殺気という意味ではない。
言うなれば、もう一つの殺気。殺しはしないが生かしておくつもりもない半殺しの気。
「蒲原。待ってなさいよ!」
ギュッと拳を握りしめ、紅葉はそう決意した。
自分の宿を取っていた家から目的地まで約30分。
写真でも見たことある廃屋がそこにあった。
見た目からして、建ててから何十年もたっているだろう。
外壁はひび割れや汚れがひどい。
「ここに蒲原がね……」
「止めないの?」
「当たり前」
UZIを回転させながらホルスターから取り出し、両手に持つ。
さて、問題は中がどうなっているか……。
UZIに取り付けたライトで手前を照らしながら廃屋の調査をする。
中は、確かにボロボロだが思っていた以上には大丈夫そう。
「……地下?」
「まぁ、そうなるわね。私もこの下に一回行ったことあるけど、あまりそう何回も行きたい場所ではないわね」
雛霧も、ペンライトと拳銃片手に地下に続く階段を眺める。
「行くしかないか」
ゆっくりと慎重に、階段を下っていく。
階段の下に向かって吹き抜ける風が脚を冷たく冷やす。
「結構長いのね」
「そうね、何でここまで長いかは知らないけど、大方、侵入者用の時間稼ぎじゃないのかしら」
横幅の狭い階段が結構続き、やっとのことで下の階についた。
SFチックな青白い廊下は不気味だ。
「こんなものが地下にあったの?」
「そう。そしてここからは対侵入者用のトラップが--」
「あるみたいね」
いつの間にやら静かだった廊下にこだまする、異様な金属音。
「さて、どんなのがお出ましなの?」
カーブの先からするその物音を確かめるため、意識を集中させる。
やがて、壁が骨格だけの透明なガラスのようになっていく。
「……。はぁ、蒲原」
壁の向こうに見えたのは、変なロボと鬼ごっこをしている蒲原。
「20ミリ機関銃4基、あっ、ガトリングまでついてるんだ」
冷静に相手の戦力を確認する。
仕方ない、あの手のバカには……。
左手のUZIをホルスターにしまい込み、スカートの中から楕円形の金属質の物を取り出す。
「水沢さん!?」
横に立っていた雛霧の顔に驚きが見える。
「大丈夫! ちょっと爆発するだけですから」
左手にあるのは、刺激バッチリのアメリカ製のMK3A2手榴弾。
危害半径は約2mと小さめだが、コレなら見方を巻き込む可能性が低くなる。
蒲原はカーブのすぐ手前まできている。
右手のUZIを空中に放り投げ、手榴弾の金属のピンを抜く。
そのまま、左手を振り抜いてさっきピンを抜いた手榴弾を投げる。
空中できれいに弧を描きながら飛んでいく。
ちょうど、空中で頂点に達したとき蒲原がカーブを抜けてこちらに走ってきた。
「ほら! 全力ダッシュ!」
「なっ!」
蒲原の上を抜けていく手榴弾。
ちょうどそのとき、右手に放り投げたUZIが戻ってきた。
「仕上げ!」
UZIの連射機能を生かし、弾丸を手榴弾に掠めさせる。
今の手榴弾は多少の被弾では爆発しない。
銃弾を使って、加速&回転がついた手榴弾は、神原の後ろから現れた不格好なロボの手前で炸裂した。
轟音とともにロボは破壊され、その爆風で蒲原は前のめりに吹っ飛んだ。
「どんなもんよ!」
「どんなもんじゃねぇ! 俺を殺す気か!!」
「大丈夫。計算のうちだから」
「いれんな!」
パンパンと服の汚れを落としながら神原が立ち上がる。
「私をおいていった罰よ」
「……悪かった」
「わかればよろしい」
「えっと、あなた達って案外タフなのね」
苦笑いしながら雛霧が近寄ってくる。
「そうか?」
「そう?」
2人は同時にそう答える。
だって、私たちはペアじゃない。
それに、こんなに面白いこと、止められるわけないでしょ?
紅葉はにっこり微笑んだ
~続く~