stage2 七発目[地下一階の追跡者]
さて、今回は零式艦上戦闘機、通称ゼロ戦の話をしたいと思います。
ゼロ戦の武装は七ミリ機関銃二基と二十ミリ機関二基です。
プロペラの内から発射されるのが七ミリ、 羽根から銃身が飛び出しているのが二十ミリ機関銃です。
二十ミリ機関銃の威力は絶大で、羽根に一発当たっただけで当時の米軍戦闘機の羽根がもげたほど……。
でも、ゼロ戦の最大の長所は長い飛行距離とその運動性能でした。
当時のアメリカ軍にとってゼロ戦は脅威でした。
ですが、とある事故で不時着したゼロ戦をほぼ無傷のままで手に入れたアメリカ軍はゼロ戦の研究をし、ついにゼロ戦の短所を発見しました。
その短所は、高度五千メートル以上では非行が困難になる。運動性能を追求したため、防御性に乏しいというものでした。
これにより、ゼロ戦は攻略され後の大戦に響いていきます。
さて、前書きはこれぐらいにして、本文へどうぞ!!
窓の景色を見ながら俺はため息をついていた。
目の前のベッドにはスゥスゥと寝息をたてている紅葉がいる。
「ぐっすり寝やがって」
苦笑を浮かべながら俺は机の上に置いてあったSOCOMをホルスターにしまう。
目的地が分かった以上、あまり長居したくない。
そう考えた俺は、早めに行動に移すべく、街が寝静まる夜を待っていた。
寝静まると言ってもいくつかの工場などは24時間稼働している。
忍び足で表にでた俺は、昼間に確かめておいた人目の少ない道を歩いていく。
夜も昼も天井のライトがついているこの街は夜闇に紛れるなんてものは無理だ。
極力目立たなく移動するのが一番。
隠密行動を15分ほど繰り広げながら目的の廃墟にたどり着く。
荒れ放題の建物がライトに照らされて不気味にたたずんでいる。
姿勢を低く建物の裏手に回る。
この建物は、街の端に建っているため裏手には壁しかないから絶好の死角になっている。
窓をゆっくりと引くといとも簡単に開いてしまう。
「順調すぎていやな感じだぜ……」
独り言を言いながらSOCOMをホルスターから抜き去る。
後付けでつけられたホルスターのポケットからライトとサイレンサーを取り出しSOCOMに取り付ける。
拳銃を構え、廃墟の中に突入していく。
(思ったほど、中は荒れてないな)
そう思いながら、廃墟の通路を進んでいく。
光が全く射し込んでこないため、真っ暗だ。
床は当時には珍しく板張りではなくコンクリー。
(んっ。資料室?)
ライトが照らしたのは資料室と書かれた扉がある。
すっかりさびてしまっているドアノブをゆっくりと回しドアを開ける。
(本当に資料室のようだな)
部屋の両側を埋めるように棚が並んでおりたくさんの資料が収められている。
(なっ!? これは当時のトップシークレットに当たる資料ばっかじゃねぇか!!)
一番手前の棚には第二次世界大戦時の戦艦や戦闘機などの設計図があった。
(未だに見つかってない大和の設計図まであるじゃねぇか! おいおい、こりゃあ、兵器工場だけじゃなく群の最終拠点にする気だったんじゃないのか……)
様々な資料に事細かく書かれた計画書や設計図。
今となっては、闇に葬られているだろう恐ろしい報告書まであった。
さっき見たばかりの資料を本棚に返し、俺は驚きを隠せないでいた。
「ヤバいな……」
これ以上この部屋にいたら気がおかしくなりそうだ。
ドアを閉め、資料室を後にする。
今回の目的は、この建物最深部だ。
だが、資料室の時点でこんな状態なのに俺は最深部間でたどり着けるのか?
一抹の不安だけが胸を締め付ける。
ダメだ……。
こんな所で諦めるようじゃ捜査官なんて務まらねぇ!
深呼吸をして廊下を奥に向かって進んでいく。
さっき考えていたように、どうやらこの建物は最終軍事拠点にするための建物だったらしい。
通り過ぎてきた扉には、最高会議室やら、長官室やら色々あった。
(日本の負の遺産だな)
周りを警戒しながら俺はそう思った。
もしも、ここの存在が知れていたら今の日本は違う道を歩いていたかもしれない。
良くも悪くも様々なものがここには眠っているようだ。
無言で進んでいた俺は、建物のちょうど奥に地下に続く階段が真っ暗な口を見つけた。
(さて、まずは地下一階がどうなっているか……)
静かにゆっくりと階段を下っていく。
ホコリっぽいにおいが漂っているが気にするような余裕などない。
階段は狭くそして長かった。
どうやら、すぐ地下一階というわけにはいかないようだ。
しかも、階段はまっすぐ地下に降りてなく、何回も折れ曲がっており方向がわからなくなってしまう。
(今の所、変な罠はないが……)
何回目かの角を曲がったとき急に視界が開けた。
(明るい!?)
そう、階段を抜けた先は青白い廊下につながっていた。
壁にはB1と書かれており、廊下には明かりがついている。
六十年前の建物とは思えないほどのキレイな廊下。
(なんだよここ。まるでSF映画に出てくるみたいな近未来的建物……)
驚きが隠せない俺。
訳が分からなくなるような恐ろしさがこみ上げてくる。
とりあえず、前に進まなくては。
そう思った俺はSOCOMのライトを消して、廊下を進んでいくことにする。
まるで自分が映画の中に入ったかのように思ってしまう光景に同様が隠しきれない。
ギシッ
「っ!!」
背後から聞こえてきたその音に俺はガバッと振り返る。
だが目の前に広がっているのはただ青白い廊下。
額から冷たい汗が流れ落ちる。
拳銃の引き金を握りつつ、息を整える。
さっきの音は聞き間違いではないはず……。
ギシッ
緩やかなカーブを描いた廊下の向こうからその音は聞こえてくる。
明らかにさっきより大きな音で。
(侵入者用トラップか?)
拳銃のサイト越しに廊下を睨みつける。
だんだんと近づいて来るその音は激しいものになっていく。
ガシャンガシャン
金属的な何かが地面を蹴って進んでくるような不吉な音。
ついにその姿が廊下の曲がり角から姿を現した。
「っ!!」
廊下の幅いっぱいの巨大な金属製のロボットが姿だった。
前足二本に、後ろはタイヤが付いた不格好なロボット。
だが、そのロボットには侵入者など一瞬でぼろ雑巾みたいにしてしまうほどのガトリングガンが搭載されていた。
その両端には、ゼロ戦が搭載していた大火力20mm機関銃が4門。
「ヤバッ!!」
SOCOMで太刀打ちできる代物ではない。
ロケットランチャーぐらいないと奴は倒せそうにない。
ガトリングの銃身が回り出す前に俺は逃げの一手を打った。
ほんの1、2秒後にガトリングガンが火を噴いた。
激しい金属音と火薬のにおいがあたりを支配する。
危なかった。後少し遅れてたら死んでいた。
俺は廊下を全力疾走する。
幸いにもこの廊下は緩やかなカーブで繋がれた廊下だ。
相手の射線には入らない。
「あんなものがあるなんて反則だろ!!」
叫びながらも部屋を探す。
おそらくあの巨体なら、ドアをくぐるのは無理なはず。
走る俺の視界の中に一つのドアが飛び込んできた。
あれだ!
ドアを蹴り破るように部屋に転がり込む。
ドアの真正面の位置にならない大きな机の後ろに隠れる。
呼吸を整え、ゆっくりとドアの方をみる。
金属音と機械の起動音がドアの前を通り過ぎていく。
(なんだよあれは。オーバーテクノロジーにもほどがあるだろ)
机の陰から這い出た俺は、部屋の中を見回す。
(ここは作戦室か?)
大きな机が数個並べられただけの部屋。
その中央にひときわ大きな机が置かれている。
「モニターか?」
机にはモニターのようなものが埋め込まれており、日本の国旗が映し出されている。
奥の席に取り付けられたパネルに目がいった俺はそのパネルに近づく。
いくつかボタンを押していた俺に、驚愕なものがモニターに映し出された。
「こ、これは!?」
驚きのあまり言葉を失ってしまう。
「こんなものを、日本は作っていたのか……」
〜続く〜
只今、新作小説 戦女神の凱旋の執筆のためblackcityの投稿が遅くなっています。
(ただでさえ、blackcity投稿遅いのにスイマセン 汗)
良ければ新作小説も読んでいただけるとうれしいです♪
ちょっとした設定などがblackcityとかぶっていたり、そのまま移行している部分がありますので、それなんかも楽しんでいただけたら幸いです
(設定がめんどくさかったんじゃないんだからね!!)
ということで、blackcity、戦女神の凱旋をよろしくお願いします!
後忘れていましたが、作者の活動報告にも遊びに来てくださるとうれしいです!
それでは、
Next time, let's meet!