表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/28

stage2 六発目 [大戦の遺産]

「……」


ふてくされた顔でベットに座る紅葉。


「悪かったって! 頼むから機嫌なおしてくれよ」


俺は手を合わせて謝る。だが、それで紅葉の機嫌が直るわけがない。


フンっといってそっぽを向く紅葉に肩を下ろす蒲原。


地下街に来てもうどれぐらいたったのだろうか?


太陽も月もない茶色の手を上を見たところで時間が分かるはずもなかった。


「ホントに心配したんだから」


俺は下を向いたまま話を続ける。


「ウルサいわね。そこんところは、感謝してるわよ」


そっぽを向いたままだが、紅葉はそう答えた。


彼女がこうして話しているときは、気恥ずかしくて相手をみていられないときの話し方だ。


「まっ、何もなくて何よりだ。とりあえず、今日は安静にしてろよ。」


俺はそれだけ言い残しておれは部屋を出た。



さて、完全に相手を信用するのは危険だからな。


まずは、この街を見て回るとするか。


そう思ってはじめに俺が向かったのは町の中央に建つ真っ白な建物。


「中央会議堂ね……」


国会議事堂とホワイトハウスを足して2で割ったような建物だ。


恐らく地下街の中で一番立派な建物だ。


ここで、地下街の決めごとなどの色々なことが決まっているというわけだな。


しかし、無法地帯というほど治安は悪くないな。


しっかりとした政治が行われている分、上より治安が良いくらいだ。


「不用意に拳銃は抜けないな」


さて、次は市場にでも行ってみるか。


大通りを歩きながら俺は色々考えてみる。


これほどの場所に警察のメスが入らないのにも驚くが、それ以上にどれだけの資金が投資されたんだ?


数億の単位じゃないな。 数十億、へたしたら数百億のレベル。


一体どこからそんな金を用意したんだ?


謎が呼ぶのは新たな謎のみ。一向に答えが見える気配はない。


「んっ? ここが市場か」


道の両端に並ぶ店舗たち。距離にして、およそ200メートルほど


「ここも結構しっかりとしてるな」


この街自体がかなりきちんと整備されているようだ。


さて、お次は……。


「あら、蒲原巡査。こんなところでなにしてるの?」


ボス現る。


後ろから声をかけてきたのは、この地下街を統べる雛霧椿。その人だった。


何だか心臓に悪い人だ。


危うく拳銃を抜くところだった。


「この地下街の実情を探ろうと思ってな」


「そうなの。結構良いところでしょ?」


「そうだな。空が見えない以外はな」


「こんな空も、たまにはいいわよ」


嫌みでいった言葉に雛霧は笑顔を崩さずに返す。


なんだかやりずらい、本当にウチの課長に似てるからな。


「さて、蒲原巡査。あなたに見てもらいたいものがあるんだけど、時間はよろしいかしら?」


「イヤと言っても連れて行くんだろ。ついて行くさ本当に暇だしな」


残してきた紅葉が少し心配だが、まあ、大丈夫だろう。


「なぁ雛霧さんよ」


「何かしら?」


「ここを今の状態にするのにいったいどれだけの金を使ったんだ?」


「お金なんてほとんど使ってないわ。この場所は、戦時中の武器製造施設をそのまま流用したのよ」


「空襲をおそれての地下施設か。なるほどな、それなら合点が行く。だが、それなら不特定多数の人間にこの情報が流れているはず、なのになぜそれがばれない」


「戦艦大和建造計画と同時にここの工事も始まっていたのよ。工事はもちろん最高国家機密。でも、この兵器工場が完成する前に日本は終戦。情報はアメリカにも日本国民にも流れることなく今に至るわ」


地下街の秘密は第二次世界大戦時代の日本帝国の遺産というわけか。


「まさか、兵器なんて製造してないだろうな」


「するわけないでしょ。第一兵器工場後といってもね残ってたのは中央会議堂と工場の建物だけよ」


完全に信用しているわけではないが、恐らく嘘ではないだろう。


第二次世界大戦末期の日本情勢を考えてもそ戦争の勢力図をひっくり返すような兵器開発はさすがに厳しいものだったはず、ましてや、地下に建築するだけでかなりの闇の金を捻出したのだ。


「完成はしていなかったと」


「そう言うこと。さあ、着いたわよ。あれに見覚えがあるんじゃないの?」


「あ、あれは!?」


俺の目の前にたつもの、それは龍司に渡された写真に写っていた廃屋だった。


「そうか、だから、衛星写真で探しても建物が見つからなかったのか……」


「探してたんでしょ?」


「中に何かあるのか?」


「さあね。それはこの地下にいる誰一人として知らないわ」


真剣な顔で雛霧は言う。


「どういうことだよ?」


「ボロいのは外見だけ、内部は戦後60年以上たった今でも厳重な対侵入者用トラップが作動しているオーバテクノロジーの研究所よ」


「そんなバカな……」


「嘘じゃないわよ。私達だって到達出来たのは地下2階までよ」


おいおい、まだ地下にもぐる道があるっていうことかよ……。


龍司。今回のミッション。ちとばかし荷が重すぎるぜ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ