stage2 一発目 [新たな旅立ち]
さて、いよいよ、stage2の開幕です。
今回のメインキャラクターは、蒲原の紅葉です。
今回の説明は、BLACK CITYのstage1にちょろっと出てきた『西日本』について説明します。
龍司たちが活動している帝都新京は東日本、旧東京にあります。
それでもって、彼らの世界では日本は東日本と西日本の二つに分裂してしまったんです。
理由は、stage2が進むにつれて解き明かしていくつもりなので、今はふーん分裂したんだ。程度に思っていてくれたらいいです。
さて、話がそれてしまいましたが西日本がどんな所かというと、簡単に言えば、能力者を取り入れない社会体制の国です。
なので、かなり能力者は珍しい存在です。
おかげさまで、能力者だとバレてしまうと東日本に強制送還、悪ければ監獄行きですね。
西日本の首都は北九州にあり、結構な大都市になっています。
そんな西日本が、今回の舞台の中心になっています。
コレからも、BLACK CITYをよろしくお願いします。
「うはー、暑いなぁ」
蒲原は、ユラユラと揺らめく国道の陽炎を恨めしそうに見ながらそう呟いた。
「もう、だらしなさすぎるわよ」
「そうは言ってもな。まさか、西日本まで来ることになるとは思ってもいなかったぜ」
「全く、コッチじゃ能力者は、肩身が狭いわね」
紅葉は、赤いケータイをスカートのポケットから取り出すとメールを打つ。
「さて、先ずは何をするか、だな」
「そうね、課長が手配してくれてるホテルまで後少しだし」
「それにしても、龍司があそこまで必死になってるモノだ。俺たちも気を抜かないようにしないとな」
「まあ、真っ先にやられるのは蒲原でしょうね。なんたって、緩いから」
やれやれ、といった感じに紅葉は言ってみせる。
「そうだな、俺ほ・・・・ってそんなに簡単に死ねるか!」
「うんうん。蒲原のツッコミも相変わらずだし、大丈夫ね」
「はぁ、紅葉にはついて行けねぇ」
がっくりと肩を落としている蒲原を気にせず紅葉は、先々と歩いていく。
だが、気が抜けないのは事実だ。
なんたって、龍司がけがで動けねぇんだからな。
特に、西日本は能力者の体制が少ないから、色々と狙われるかもしれない。
紅葉だけは、守らないとな。
そんなことを蒲原がマジメに考えているとはこの時の紅葉は、知らなかった。
「さて、宿は取ったし。先ずは何をする?」
「そうねぇ。龍司に頼まれているのは、この建物に何かが隠されてるはずだって」
そう言って、紅葉はカバンから一枚の写真を取り出す。
「うわっ。廃屋かよ・・・・おいおい、俺たちは肝試しにでも行くのか?」
差し出された写真に写っているのは、荒れ放題のビルの写真だった。
見た感じでは、ホテル跡と言ったところか?
「まぁね。でも、百歩譲って肝試しはかまわないわ。問題なのは、この建物がどこにあるかがわからないのよ!」
「いや、紅葉。女の子らしく肝試しぐらい恐がれよ・・・・」
どんだけ、女子離れしていくつもりだよ。
俺の立場が全くないじゃねぇか。
「へぇ。何で蒲原が私に女の子らしくないといけないっていう事を決める権利があるのかなぁ?」
今にも、襲いかかってきそうなライオンの目つきで紅葉が睨んでくる。
「えっと、権利というか、男の求める義務か・・・・な?」
「ふふっ! 蒲原、なかなか反抗してくるわね。もしかして反抗期?」
部屋を二等分に区切っているカーテンのおかげで紅葉の姿は見えないが、明らかに笑っている。
不気味に笑う紅葉は、ある意味最凶だ。
「あれどうしたの? 何か言ったら? 蒲原くん♪」
俺は、そーっとドアに手をかけて部屋を出ようとする。
タンっ!!
俺の開けようとした木製のドアに、ギラギラと輝いたサバイバルナイフがグッサリと突き刺さっている。
カーテンの向こうから、やけに機嫌の良さそうな声が聞こえてきた。
「蒲原くん。どこ行くの? 私の能力わ忘れてもらっちゃ困るなぁ」
ですよね。
直視の能力があれば、俺が丸見え・・・・んっ?
「よく考えたら、逆セクハラだろ!!」
俺の口は、少々おしゃべりしすぎるのがどうやら弱点みたいだ。
「問答・・・・無用!!」
瞬時にカーテンの向こうから現れた悪魔(紅葉)の反応に、俺はコンマ0.1秒遅れてしまった。
しまった!
そう思うより先に、紅葉の鋭いアッパーパンチが炸裂する。
空中で、弧を描きながら俺はベッドに着地。
「good night♪」
紅葉の声が薄れていく意識の中でこだまする。
たかが、コンマ0.1秒。されど、コンマ0.1秒か・・・・。
俺の意識はここでとぎれた。
そのまま就俺は就寝して、西日本入り初日を終えたのだった。
夜も更けた、丑三つ時。
ホテルのベランダから、俺は広島の町を眺めていた。
俺達が西日本に来た理由は、龍司に頼まれた建物の調査をするためにやってきたのだ。
だが、建物の中なにがあるのかさえ分からない。
いろいろ場数を踏んできた俺だが、今回は少々マズいのでは無いのかとさえ思ってしまう。
それでもって、武装解除までしている俺たちは、格好の的でしかない。
龍司がなにを考えて俺たちをここに行くように言ったのかは未だに意味が分かっていない。
「はぁ、大変なことになっちまったな・・・・」
溜め息と疲労感が同時に押し寄せてくる体に嫌気がさしながらも、俺はずっとダイヤモンドのように光る街の明かりを眺めていた。
「こんなとこで何してるの?」
ボーッとしていた俺の横に、いつの間にか紅葉の姿があった。
紅葉も俺と同じように、街明かりを静かな眺めていた。
「あのさ、私には龍司が何を考えてるのか分からない。でも、龍司の考えてることは信用して大丈夫だと思う」
「ああ、アイツは何でも一人で解決しようとするからな。今回は、俺たちの出番さ」
少々不安が募るが、何とかしてみせるさ。
俺たちは、夜の景色を見てそう強く決意した。
〜stage2 第一話 完〜