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ヘッドコーチ  作者: 神楽
琉球シーサーズ編
7/28

新・シーサーズ

開幕戦である小樽ユニコーンズとのホーム3連戦に3連敗、その後のアウェイ3連戦も3連敗で6連敗。

次の3連戦初戦でやっと初勝利もあげるも残りの連戦に連敗し、9試合を終了して1勝8敗の8位と壊滅的な状態に陥っていた。

一向にロメロと柚垣の関係は変わらず、ルーキー外久保も自分の力を発揮できずにいた。

チームが上手くいっていないと監督と選手との関係も上手くいかない。

大月の言葉は選手達に届かなくなっていた。

その後の12試合は2勝10敗、前半戦を3勝18敗で終えた。


前半戦と後半戦の間に2週間の休戦期間がある。大月はこのタイミングで動いた。部屋に外久保を呼んだ。

外久保が席に着くと大月がいきなり話始めた。

「コートで1番偉いのは誰だと思う?」

「偉い人……、キャプテンですか?次に……得点源の選手ですかね?」

「お前の考えは間違っている。ガードに決まってるだろ」

「はっ、はい……」

大月はいつになく強い口調で話す。

「ゲームでの敗北は誰のせいだと思う?」

「やっぱりガードですかね。ゲームコントロールはガードの仕事ですから」

「それも間違っている。ガードの基本の仕事はパスだ。パスしてるやつよりシュートを外しているやつの方が悪いに決まってるだろ」

「えっ、まぁ、はい……」

大月はこうして、外久保の持っている概念を強く否定し続けた。

だが、ただ否定するだけでなく、ガードをより都合の良いポジションという考えを植え付けた。

「正直言って、ルーキーのお前にそんなに大きな期待はしてないからな。経験を積ませようとしているだけだ。いくらミスしてもスタメンから外さないから、気楽にやれ」

そういうと外久保を退室させた。


大月は前半戦で外久保というプレイヤーの最大の弱点を見抜いていた。

精神的な弱さである。

外久保の精神的な弱さは開幕戦だからとかルーキーだからとかいう域を超えていた。

考え方があまりにもネガティブ過ぎるのだ。

だからガードを都合のよい、楽なポジションという考えを植え付け、なおかつ外久保に大きな仕事を期待していないけれども、スタメンで使い続けるという、一種のビップ待遇のような話をしたのだった。


大月はもう1つの動きを見せた。コートに全員を呼んだ。

「前半の不調を受けて、キャプテンを柚垣からロメロに代える。後半戦、なんとしても勝って、GRADE=Eに残るぞ」

ロメロを含め、全員が困惑していた。だが、ロメロは断ることをしなかった。

そして今日から、ロメロを中心とした新・シーサーズが始動した。

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