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ヘッドコーチ  作者: 神楽
琉球シーサーズ編
6/28

ここからがスタート

ポン!

外久保の手に収まったボールは次の瞬間、相手ガードに弾かれた。

小さくバウンドしているボールを相手ガードをキャッチすると、すぐさまノーマークの平馬の元に渡した。

得意の3Pラインで待ち構えていた平馬はボールを受けると迷いなくシュートを放った。

スパッ!

両チーム通じて今日初シュートは平馬から放たれ、綺麗にリングを通った。

「よし」

1本目のシュートを決めた平馬は小さくガッツポーズ。


「平馬!」

平馬を呼んだのは相手ガードだった。

すぐさまさっきと同じポジションに戻り、パスを受けるともう1度、3Pショートを放つ。

スパッ!

2本連続の3Pが決まり、8割のシーサーズファンは静まりかえった。

外久保のエンドラインからのパスをカットされたのが原因だった。

ジャンプボールをスティールされた外久保は動揺していた。

さらに相手にボールが渡ってしまい、なおかつ3Pを決められた。

開幕戦でスタメンを勝ち取ったルーキーは冷静さを失い、石井への不用意なパスをカットされた。

そして、またしても3Pを決められた。試合開始20秒でスコアは【0-6】となった。


今度は柚垣がエンドラインから石井にボールをパスした。

石井がドリブルでセンターラインまでボールを運ぶと再度、柚垣へとボールをパス。

パスを受けた瞬間、柚垣はロメロがインサイドでフリーになっているのが目に入り、パスを出す。

バン!

練習の時からパスを意図的にパスを出さない相手に公式戦で上手くパスが通る訳がなかった。

柚垣から出されたボールは、まさかボールがくるなんて思ってもいないロメロの顔面に直撃した。

転がったボールを相手SFが取るとガードにパス、ガードがボール運び、平馬にパスをした。

平馬は相手SFのスクリーンから3Pシュートのチャンスを得ると、本日3度目の3Pを放った。

ガーン!

リングに当たり高く跳ね返ったボールを取ったのは長尾だった。

ドーン!!!

リバウンドをキャッチした長尾はノーマークでダンクを決めた。

その時、長尾のマークのロメロは柚垣を睨みつけながら、まだセンターラインを越えたところに居た。


ビィーーーーー!

この状況を見かねた大月はタイムアウトを取った。

しかし、どんなに一生懸命に話しかけても、柚垣とロメロには響かなかった。

意識が試合ではない方向に向いていた。

選手層も薄いうえにベンチ入りの控えが3名しかいない。

とりあえず外久保に代えて、ベテランガードの大野を投入し、タイムアウトを終えた。

だがこんな小手先の変化だけでこのチームを帰ることも相手に行ってしまった流れを引き戻すこともできなかった。


立て直しのきかないまま前半を【21-55】で終えるとチームの雰囲気は最悪になり、試合終了時には【41-123】とトリプルスコアになった。

プロのチームとは思えない有様だった。会場からは激しいブーングが浴びせられた。

ロッカールームに戻った選手達に大月は一言だけ口にした。

「ここからがスタートだ」



のちのち知らされたことだが、今年度の開幕戦の動員客数が過去最悪の3901人だった。

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