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ヘッドコーチ  作者: 神楽
琉球シーサーズ編
5/28

開幕戦

シーサーズはホームコートであるオレンジシーサードームで開幕戦を迎えた。

シーズン中、各チームとホームゲーム3試合、アウェイゲーム3試合の計6試合が組まれている。

GRADE=Eにはシーサーズや小樽ユニコーンズを含め全8チームあり、42試合を終えた順位で昇格と降格が決まる。

上位2チームは降格、下位2チームは降格、3~6位のチームは来シーズンもGRADE=Eに残留する。

半分のチームが入れ替わる厳しいリーグの中で昨年、シーサーズは残留ぎりぎりの6位だった。

ちなみに小樽ユニコーンズは1つ上のGRADE=Kから降格してきた。

GRADEの順番は1番上からB・A・S・K・E・Tの6段階に分かれている。


そして、今日の対戦相手は前堂監督率いる小樽ユニコーンズ。

「前堂さん、お互い、ルーキーとして頑張りましょう」

笑顔で握手を求める大月に対して、前堂はニコリともせず無言で握手を交わした。

GRADE=Kから降格してきたユニコーンズにはキープレイヤーは2人いる。

キャプテンでCの長尾ながお大地だいちは身長189センチと決して大柄ではない。

だが、気持ちの強さでチームを引っ張り、40分間、常に参加し続けるリバウンドでチームに貢献する。

もう1人が、SGでエースの平馬ひらま新一郎しんいちろうだ。身長は183センチと長尾と同じく大柄ではない。

調子に波があるものの、1試合の間で必ず3Pの成功率が5割以上の時間を作れるのが特徴だ。


試合1時間前、各チームの選手がコート上でアップを始めると同時に観客も少しづつ入り始める。

ベンチの椅子に座っている大月の頭の中では、すでに今日のスタメンは決まっていた。


アップを終えるとユニホームに着替えるために1度、ロッカールームに戻ってくる。

各々が自分の背番が刻まれたオレンジ色のシーサーズのユニホームに着替え終わると大月がスタメンを発表した。

「PGは外久保と石井、SFは柚垣、PFに松本、Cはロメロ」

「うっす!」

「ガードの2人は積極的に柚垣とロメロにボールを供給してシュートチャンスを増やしていこう」

「はい!」

「松本、相手のサイズは大きくないが、しっかりとリバウンドに参加してくれ」

「はい!」

「そして柚垣とロメロ。ミスは恐れるなよ、中途半端なプレーはやめてくれ。積極的に仕掛けて失敗する分にはオッケーだ」

「はい!」


一通りの指示を出し終えると、大月と8名の選手達は1つの輪になり、右手の拳を中央に集めた。

「1・2・3」「よし!!!!!」

キャプテンの1・2・3の合図に合わせて、全員でよしと言う。これが20年間続く、シーサーズの儀式である。


開幕戦だけあって、ド派手な演出の中、ヘッドコーチの大月を始め、スタメンの5名、ベンチの3名の名前で呼びあげられた。

会場のファンの割合は8対2でシーサーズファンが多く、ほぼオレンジ一色といった感じだった。

ユニコーンズのメンバーも呼び上げられ、それぞれの選手達がベンチに戻った。

そして、会場の拍手と共に両チームのスターティングメンバーの10名がコートに立った。

ユニコーンズのスタメンは長尾や平馬など予想通りの5人だった。

ジャンプボールのためにロメロと長尾がセンターサークルに入った。

並んだ2人の身長差16センチが今日の試合の行方を教えてくれているような気がした。


審判があげたボールが頂点に達した瞬間、ロメロが力強くボールをはじき、そのボールは外久保の手に収まった。

それと同時に大音量の沖縄民謡が会場に流れ始めた。

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