始動! 琉球シーサーズ
記者会見の翌日、沖縄県内にある琉球シーサーズのホームコートである。
内装も外装もチームカラーのオレンジをモチーフにしたスタイリッシュな作りになっている。
ファンからはオレンジシーサードームの愛称で知られ、最大の注目は、ドーム内に10個あるオレンジ色の隠れシーサーである。
8個は選手を象徴し、1個は監督を最後の1個はファンを象徴している。
1万人収容可能だが、チーム状況からシーズン中は開幕戦ですら半分ほどしか埋まらないのが現状だ。
4月開幕のシーズンに向け、シーサーズの面々と大月がコートに集合した。
「今年からこのチームのヘッドコーチになった大月だ、よろしく」
パチパチパチ。拍手が起こった。
「キャプテンは去年同様、柚垣に任せる。頼んだぞ」
「はい」
=柚垣朝陽。SF。185センチ。25歳。
高校を卒業した7年前にシーサーズに入団して以来、チームの中心として活躍をしてきた25歳。
おととしよりキャプテンに指名されているがチームの成績は振るわず、おととしにはGRADE=Eに落ち、去年はぎりぎりまで降格争いをしていた。
45度・90度からのミドルシュートの成功率の高さが最大の持ち味である。
パチパチパチ。だが1人だけ拍手をせず、下を向いている者が居た。ロメロである。
=ロメロ・バトラー。C。205センチ。32歳。
去年より<BLOB>アメリカ本部からシーサーズに加入した。
アメリカ本部は10段階にGRADEが分かれ全80チームが在籍している。
ロメロは4番目のGRADEで優勝を果たした経験を持つ。
アメリカ時代から、自己中心的なプレーでチームから孤立することがあった。
日本に来ると一層、個人プレーが目立ち始め、去年のシーズン後半戦ではキャプテンの柚垣と激しくぶつかった。
実力はGRADE=Sで通用する力を持っている。
彼の見せるど迫力なパワープレーにシーサーズのファンのみならず、他チームのファンからも一目置かれている。
力強くも強引なインサイドプレーは相手の脅威となるものの、オフェンスファールを取られることも少なくない。
「よし。次は外久保、自己紹介だ」
「はい、外久保一輝です。今年からよろしくお願いします」
=外久保一輝。PG。178センチ。18歳。
数日前、高校を卒業したばかりのルーキー。
高校時代は2年生の時、全国大会ベスト16になるも、3年生の時はキャプテンとしてチームを引っ張るも県大会ベスト4に終わった。
優しく真面目な好青年であり、先輩達からも親しみを持たれていた。
これと言った特徴はないが、基本的にはどんな試合でも淡々とPGというポジションをこなせる力を持っている。
たまに目を見張るプレーをみせる。
パチパチパチ。
「それじゃ、ランニングからだ」
大きな体を揺らしながら、ゆっくりランニングを始める8名を大月はただただじっと見つめていた。