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ヘッドコーチ  作者: 神楽
琉球シーサーズ編
21/28

大卒ルーキー対決

落ち着いた柚垣の元に大月がやってきて、柚垣の隣の開いている椅子に座った。

「どうした?朝、彼女にでも振られたか?」

「違います……」

大月はあえてラフな感じで話しかけたが、いきなり本題に入る。

「お前が一番知っているはずだろ、チームが1つになることを」

「……」

「俺はお前がキャプテンじゃない今でも、シーサーズの中心はお前だと思っている」

「……」

反応しない柚垣の隣の席を立ち、ヘッドコーチ用の椅子に戻ろうと歩き始めたが、足を止め振り返る。

「1つ言い忘れた。お前が今、崩れたら、シーサーズは負ける。100パーセント負ける。わかるよな?」

柚垣はうつむいたまま顔をあげることはなかった。


3ピリオドが始まっても柚垣の心は何処かにいってしまったように集中力に欠けていた。

それをみた前堂が仕掛ける。

高地を下げると交代で出てきたのは大卒ルーキーの赤瀬あかせそうだった。

赤瀬は入団当時はそれほど期待された選手ではなかった。

だが努力に努力を積み重ねるとだんだんプレー時間が増え、今では鎌倉の大事な6マンとなった。


ビーーー

赤瀬の登場から少し遅れてオフィシャルのブザーが鳴り、柚垣と交代で若梅が出てくる。

「大学以来のマッチアップだな、若梅」

「よろしく」

若梅と赤瀬は大学こそ違うものの、それぞれの大学が同じリーグに属し、ポジションも同じことからマッチアップする機会が多くあった。

実力は均衡し、プレースタイルも似ている2人は何かと比較されることが多かった。


外久保は若梅にパス、若梅は鋭いドリブルで赤瀬を抜きにかかる。

左手でドリブルしながら抜きにかかると赤瀬はしっかりとコースに入る。

若梅は赤瀬のぶつかった瞬間にターンし、ドリブルを右手に切り替え赤瀬を抜いた。

カバーに来たカーニーに対して突っ込む。

カーニーはオフェンスファールを取るためにドリブルコースに入り、両手を挙げた。

これを見た若梅はダブルクラッチでカーニーを交わしシュートを沈めた。

「おーーーーー!!!!」

接戦の中、出てきていきなりビッグプレーを見せた若梅に対して歓声が飛ぶ。


ボールを運んだ吹春は3ピリオドからコートに戻ってきたロメロに付かれているカーニーにパスを送る。

オープニングシュートと同じようにカーニーはロメロを背中に感じるとターンしてシュート。

ロメロは2度も同じ手は食らわうものかとジャンプしてブロックにいくもカーニーはドリブルでかわし、ダンクを決める。

これでスコアは47-49となる。


ゴールを通ったボールを石井がすぐに拾うと外久保にパス。

外久保は2回ドリブルをつき、前に走り込んでいる若梅にパス。

パスを受けた若梅は前に赤瀬が居るとわかりながらも強引にシュートに行く。

ピーーー

激しい接触で審判の笛がなる。

シュートはリングを綱渡りのようにつたい、静かにゴールを通った。

もしディフェンスファールなら、49-49の同点になり、さらにフリースローが与えられる。

逆にオフェンスファールならば、スコアは47-49のまま、鎌倉ボールで試合が再開される。

「ディフェンスファール!」

審判のコールに会場が今日1番の盛り上がりを見せた。

この判定に猛抗議を見せる前堂だったが判定は覆ることはない。

スパッ!

シーサーズは若梅が確実にフリースローを決め、50-49と逆転に成功した。


このワンプレーが試合の流れを大きく変えた。

若梅はこの3点プレーで勢いに乗ると得点を重ね、ルーキー対決を制すと赤瀬をベンチに下げさせた。

代わってマークについた高地からも多くの得点を奪い、大当たりを見せた。

「柚垣、石井と交代だ」

これをベンチでみていた柚垣は自分の情けなさに拳を握りしめていた。

ルーキーに怒り、自分を見失い、同じポジションのチームメイトの活躍を目にし、悔しさで満ちていた柚垣の姿を大月は見逃さなかった。

ベンチから出てきた柚垣も若梅に負けない働きを見せた。

このあと、ガードは石井と外久保を交代しながら、インサイドはロメロとルルプスを上手く交代させながら戦った。

フォワードは柚垣と若梅の2人を最後まで出し続けた。


ビーーーーー!!!!!

「おぉぉぉーーーーー!!!!!」

オフィシャルのブザーが鳴り響き、観客の歓声と共に試合が終了した。

スコアは88-80でシーサーズが試合を制した。

同時刻のユニコーンズも勝利したことが会場のアナウンスで告げられた。


この結果を受け、順位表は下記のようになった。

1位=32勝8敗  鎌倉パープルソード

2位=31勝9敗  琉球シーサーズ

3位=30勝10敗 小樽ユニコーンズ

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