個性派集団
新体制が発表された1週間後、開幕に向けての練習が始まった。
「一輝さん!久しぶりですね!また同じチームじゃないですかー!!!」
「ここまで来ると竜太郎とは一生、腐れ縁のような気がしてきた」
「いいじゃないですか、何縁でも。ちょー嬉しいですよ!」
外久保をみるなり閨はダッシュで駆け寄り、まるで兄弟のように話始めた。
「柚垣さん、いろいろとよろしくお願いします」
「おう、よろしくな。若梅、あんまり固くなるなよ」
若梅は同じポジションでライバルにもなりうる柚垣に挨拶に行った。
「今日の夜、ご飯でもいかないか?良いロコモコ屋を見つけたんだ。いいだろ、ロメロ」
「おう、妻と息子も連れていく。お前もガールフレンドでも連れてこいよ」
外国人同士のルルプスとバトラーは英語で会話をしている。
端の方ではもとから仲の良い石井と松本は2人で政治の話をしていた。
「いやー、さすがですね、大月監督。あっ、GRADEスポーツの波です。今日は取材に来ました」
「おっ…、あっ、はい……」
季節は春、少しづつ暖かくなってきたとはいえ、半袖・半ズボンにサンダルというラフな格好に大月も少し驚いた。
「実力のあるルルプスとロメロのインサイド、エース柚垣、自分らしさを出せてきた外久保、スピードのある閨、オールラウンダーの若梅、安定感のある石井と松本」
「随分と詳しいですね、GRADE=Eのチームなのに」
「私はシーサーズのファンですから、出身もコザですし。それにしても、個性派集団ですね、あとは大月監督が上手く料理すれば、昇格もいけますね」
「そんなに甘いものじゃないですよ。それに、料理人ではなく、皿です。料理するのではなく、自分に選手達が盛らせるのですよ」
「なかなか、奥の深い言葉でわかるようなわからないような……」
「シーズンが終われば分かりますよ」
そういうと大月は波を置いてセンターサークルに行った、選手達も集合した。
「さぁ、今年こそ優勝で昇格するぞ。キャプテンは柚垣、今のお前ならチームをまとめていける、信じてるぞ」
「はい」
「ガンバレヨ、ユズ」
キャプテン柚垣が中心となって練習が始まった。