白熱! 鎌倉パープルソード戦
完成度を増したシーサーズの快進撃は止まらず、開幕3連勝後も勝利を積み重ね15勝3敗で1位。
最後の3連戦はボーラーズ同様、GRADE=Kから降格してきた鎌倉パープルソード。
敵地、鎌倉歴史文化ホールに乗り込んだシーサーズに対する声援は開幕よりも増していた。
「頑張ってください!ロメロ!柚垣さーん!」
「サインください!」
「大月監督!大月監督ー!!」
入り口から入るのにも一苦労するほどだった。
好調のシーサーズのスタメンは変わらず、今日も同じスタメンが会場に発表された。
「1・2・3」「よし!!!!!」
最近、この伝統儀式をやると、「よし」というタイミングに合わせて、シーサーズファンも「よし」という声があがるようになっていた。
少し浮かれ気味のファンとは対照的に、選手たちは前半戦で一番、気を引き締めていた。
鎌倉の最大の持ち味は能力高いツインガードだ。
23歳で183センチの吹春鷹秋は視野が広く、パスの精度が高い。
速攻からの攻撃は彼が中心となることが多く、リバウンドからの速攻は鎌倉の1つの攻撃の形である。
身長187センチ、27歳の中滝和馬はドリブルを得意とする。
セットプレーでドリブルで切り込み、自分でシュート、またはマークのずれから味方へのアシストが持ち味。
この2人から攻撃のリズムが生まれ、守りも良くなっていく。
さらにPFでキャプテン、188センチの30歳、剱田幸太がチームをまとめる。
実力よりも人柄と統率力でキャプテンに選ばれ、チームメイトから慕われている。
これに加え、今オフ最大の補強といわれ、スペインから連れてきたルルプス・マリンが加わった。
198センチの25歳、シュート精度が高く、繊細な時もあれば、強引な時もあり、駆け引きが上手い。
だが、まだチームに溶け込め切れず、孤立する場面がある。
13勝5敗でシーサーズに続く2位につけている。
オープニングセレモニーが終わると、スタメンの10人がコートに集まった。
ジャンプボールはロメロとルルプスの争いになった。
頂点に達し、2人と手で弾かれたボールは柚垣と剱田の間に転がる。
柚垣と剱田の激しい接触でボールは吹春の手に落ち着いた。
吹春はボールを取るや否や走っている中滝にパス。
誰も走っている中滝に気付かず、あっけなくレイアップを決められ、先制点を許した。
シーサーズは石井がボールを運ぶと、石井から外久保、外久保から柚垣、柚垣からロメロ、ロメロから柚垣へと素早いパス回し。
柚垣は相手マークが自分との距離が少し広いとみると0度からジャンプシュート。
スパッ!
確実にシュートを決めた柚垣が自分のゴールの方を向きながら戻っていると隣を凄いスピードで駆け抜ける選手がいた。
ゴールを通ったボールを吹春がエンドラインから中滝に出し、得意のドリブルで攻め込んできたのだ。
シーサーズで戻っているのは外久保と石井、鎌倉は中滝と剱田、さらにSFの高地の3人がいた。
中滝が真ん中をドリブルであがる、左には高地、右には剱田がいる。
緩急をつけたドリブルから中滝は外久保を抜きにかかるも、外久保は体を寄せ、なんとか堪える。
抜けないをわかると中滝の目は右の剱田の方を向いた。
これを見た石井は剱田へのパスコースに入るも、中滝はその動きを見て、3ポイントラインでフリーで待っている高地へパス。
3ポイントラインでフリーでパスを受けた高地をチェックに行きたいものの、中では中滝と剱田がいるため、シーサーズに2人はチェックに行けない。
パスを受けるとリズムよく3ポイントシュートが放たれた。
スパッ!
「さすがGRADE=Kでやっていただけはあるな」
大月がぼそっと言葉をもらす。
外久保がボールを運び柚垣へ、柚垣はインサイドで1対1になっているロメロへパスを入れる。
ルルプスを背負いながら右手で取ったボールを1度、胸のあたりで両手でキープ。
3回のパワードリブルでルルプスを押し込もうとするも、ルルプスはほとんど動かない。
すると右足を軸足にしてターン、そして素早くゴール下シュート。これを決める。
続く鎌倉の攻撃。左45度の3ポイントラインあたりから中滝がインサイドのルルプスへパス。
ルルプスも右手でボールをキャッチし、パワードリブルするも、ロメロはしっかりと腰が座っていて動かない。
するとルルプスは左足を軸足にしてゴールに向け半身になる。
半身状態から左手で相手との距離をとり、右手でフックシュート。ルルプスもしっかりとシュートを決めた。
スコアは【4-7】となった。