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ネラ物語〜深き森にて、禁忌を求める孤高の魔女〜  作者: 星狼
〜森の魔女〜

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6/10

研究室

扉を開き、研究室に入ったネラ達は、静かに足を止めた。

そこは、ただの質素な部屋。

中央に置かれた木製の机の上には、水晶の球体、古びた魔導書、錬金術のフラスコ、乾いたインクの瓶、古い羽ペン、そして赤く熟れた林檎が、無造作に並べられている。

しかし研究室と思えるような物はただそれだけ。

他に目立つものは、壁際に寄せられた二つの木製の本棚。

本棚は古書で埋め尽くされ、埃の匂いが微かに漂っていた。


男の肩の鳥が、首を傾げて小さな声で呟いた。

「研究室にしては小ぢんまりとした部屋だな」


ネラの赤い瞳が、わずかに揺れた。


ーーあの鳥は自ら喋るのか。

自分の意思を、はっきりと持っているようだ。

彼女は一瞬、息を止めた。

ここは、ただ自分の集中力を高めるための空間だ。

余計な装飾は、思考を散らすだけ。

この質素さが、彼女の頭の中を、純粋に保つための鎧だった。


ネラは右の本棚に近づき、一冊の本を取り出した。

魔法の書のページをめくりながら、静かに言葉を紡ぐ。

「全ての生命は『根源の力』から生まれる……その証明がここにあるわ。でも、理解できるかしら?」


ーー証明。

また一つ、嘘をついた。

本当の証明は、ここにはない。

全て、ネラの頭の中に存在する。

この本は、自分の頭の中を整理する為の道具に過ぎない。

床に散る木屑を吐くほうき、窓についた埃を拭く雑巾、地から生える雑草を刈り取るための鎌――それと同じだ。


男はネラを見つめたまま、穏やかに言った。

「とりあえず続けてくれ……」

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