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知る事
森小屋の扉が開く。
静かにではなく、勢いよく。
その音にメイニヤックの瞳が鋭くなる。
そして、扉からネラの姿が現れた。
「ウルフ!待ってたの……!この数ヶ月で、信じられないほどの進展があったわ!」
ネラの声に力を感じない。
表情、態度、全てに彼女らしさを感じない。
右手に視線を移すと、彼女の握った拳は震えている。
「……何があった?先に聞こう」
ウルフは声を鎮めて静かに問いかける。
それは直感だった。
今、ネラに必要な物は新たな解析結果の情報を与える事ではない。
彼女の身に起こった、自分の知らぬ出来事を更に解析する事である。
与えるではなく、知る事。
風が少し収まる。
ネラは口を開き始める。
「実験中に……制御を失って、研究室で爆発が起きてしまったの……」
ネラの声は震えている。
握り締められた拳の震えは収まったようだ。
だが、まだ知る必要がある。
この震えの原因を。
「……なんの実験中にだ?」
ウルフは再び問いかける。
ネラが息を静かに吐く。
風は収まった。
「火属性と風属性の……感情の熱量を増幅する実験よ。でも、制御できなくて……」
ネラは言葉を絞り出した。




