再訪の足音
数ヶ月後。
再び、森に三人の気配。
気配は真っ直ぐに目的の場所に向かう。
臭いで探す必要はない。
空から探す必要もない。
地図を見る必要もない。
目的の場所はわかっている。
ウルフ、メイニヤック、アルクの三人は、迷うことなく森の奥へと進む。
木々の間を抜ける朝の光が、黒い外套に細かな影を落とし、メイニヤックの毛並みを淡く照らす。
アルクは肩で羽を軽く震わせ、時折風を切る音を立てる。
三人の足音は、落ち葉を踏む小さなささやきのように、森に溶け込みながらも、確実に前へ進む。
森は何も変わらない。
変わらぬ木々が立ち並び、変わらぬ霧が薄く漂う。
しかし、三人の気配が通り抜けるたび、葉ずれが少しだけ優しくなる。
風が少しだけ通り抜けやすくなる。
まるで森自身が、彼らを迎え入れているかのように。
ウルフ達は視界に捉える。
ここが、森の中心地。
あの小さな森小屋に、森の風景がどこよりも飾られている。
苔むした屋根に朝露が光り、窓辺に吊るされた乾燥ハーブが風に揺れる。
小屋の周りには、ネラが集めた石や木の実が、無造作に、しかし丁寧に並べられている。
きっとそれは、ただの飾りではない。
森の記憶を閉じ込めた、ネラだけの宝物箱だろう。
ウルフは笑みを浮かべる。
それは、久しぶりの再会を喜ぶ、静かな笑み。
息を整え、声をあげた。
「お〜い! ネラ、いるか!? また禁術の解析が進んだぜ」
声は森の静けさを優しく切り裂き、小屋の扉に向かって響く。




