苔
「よし、闇属性は執着だ。ただ、俺の感じた反骨心も補助的な役割で加わっていると思う。次は風属性だ」
ーーああ、本当に今日は愉快な日。
雨上がりの森みたいだわ。
無数の謎という雨音。
その雨が止み、空気が少しずつ落ち着いて、今、風が通り抜ける。
そして雨で濡れた苔が、朝日を浴びてエメラルドみたいに輝き始める。
普段は暗い緑なのに、その日はまるで森全体に宝石を敷き詰めたようになる。
静けさを壊したはずの彼らの声が、なぜかこの輝きを少しだけ増している気がする。
壊れた静けさの中に、こんなささやかな贈り物があるなんて。
ウルフは続ける。
「これは俺は召喚魔法使いだからよくわかる。俺は召喚獣を作る時『誰も生み出した自由な発想』と風属性も込めている。」
浸っている場合ではない。
ウルフはもう話し始めている。
いけない。私も魔女の仮面を被らないと。
「魂に『自由さ』を与えないと、ただの傀儡が生まれるだろう? だから魂のそれぞれの自由さのようなものもお前は無意識に風属性として複合させている」
ーーなるほど。
『自由さ』
魂とは、魂自体が動く流動的なもの。
魂自体に動く力がなければ、それはただの『大きな力の集合体』だ。
私の『根源の力』は自ら揺らぎ、動いている。
剣や、斧のような固定化された魔具とは別物だ。
ネラは思考を整理し始める。
その瞬間、アルクが羽音を立て、空へと飛び上がった。
ーー何?
反射的にアルクの姿を目が追う。




