転生前 ~ツラさと哀しみ~
仕事も、学校も続かへん。
夜間の医療事務の専門学校は一年で辞め、 昼間の総合病院の病棟事務も続かんかった。
自己破産。 障がい者年金。 生活保護。
不名誉な肩書きが増えるたび、 人としての価値が、 削れていく気がした。
自分がボロボロで、 それでも、 それでもな、世話になった叔母だけは、 裏切りたくなかった。
「いい子」 「優しい子」
そう思われたかった。
だから、ボロボロの自分を隠して、 叔母の看病を続けた。
介護の資格も取った。
従兄弟の子どもも、 五年間中学一年になるまで育てた。
義務なんてい。
それでも、「私には、これしかでけへん」そう思ったからした。
叔母は、 幼稚園の頃から、 働き詰めの母の代わりに、 私を守ってくれた人やったから。
叔母は、卵巣がんから子宮がんへ転移した、かなり厄介ながんに侵されてた。
この五年前に、乳がんを乗り越えて、 「完治した」って聞いた時は、 本気で喜んだ。
だから無理した大嫌いな従兄弟。その子の面倒もみた。
全部、叔母の為やった。
でも、そんな叔母の最期を、私は看取れへんかった。
体調を崩して、 実家に戻ってた。
死に向かう人間の苛立ちに耐えれんくなって私の心と身体が先に悲鳴をあげたんや。
私が実家に帰って半年後、 叔母は亡くなった。
「私が、もう少し我慢できてたら……」
何度も、何度も思った。
分かってる。 私のせいちゃう。
それでも、 胸の奥が、 ずっと痛い。




