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第01話:私メリーさん今序章を読んでいるの


 ニト像の前に座る教皇は木槌を打ち鳴らす。



「これより治療師見習いメリーの裁判を行う!」


(……もうすぐだ……もうすぐ始められる。みんなの(かたき)を……私の復讐を)



―― 神隠れ戦争 世界の成り立ち ――



 すべての始まりは二柱の神だった。



 光と癒しの女神(めがみ) ニト


 闇と成長の男神(おがみ) ライプニャーナ



 かつてはニトもライプニャーナも互いに協力し、人に言葉や文字を教え、知識や魔法を授けた。


 しかし、文明が発達するにつれ、二柱のあいだに小さな食い違いが生じ始めた。それはやがて、相容(あいい)れぬものへと変わっていった。


 決定的となったのは、人という存在に対する根本的な立ち位置の違いだった。



 ライプニャーナは『人は支配されるべきだ』とした。


 ニトは『人は自由であるべきだ』とした。



『人は管理されるべきだ。彼らはまだ未熟だ。自由を与えれば争い、殺し合い、同じ過ちを繰り返すだけではないか。


 我らが監視し導かねば、手を取り合うことはおろか、正しい方向へ成長することすらできない』



『ちゃう! そんなんちゃう! 人は自由であるべきや! そら争うこともあるし、道を間違えることもあるかもしれへん。


 せやけど、人はそこまで未熟やない。ちゃーんと自分で過ちを見つけることができる。それに自由やからこそ、お互いを認め合うことができるんや!』



 致命的な意見の違いを前に、ニトは不可侵という今の平和を望み(・・)、ライプニャーナは征服という未来の平和を選んだ(・・・)


 神は自ら人を傷つけることはできず、人の信仰によってのみ力を保つ――避けられぬ流血は奔流(ほんりゅう)となり、様々なものを呑み込んだ。



 例えば、神の世界の言葉とされたエー語。


 例えば、磨き上げられた精巧な技術。


 例えば、数多(あまた)の人生が往き交った(ゆきかった)大都市。



 幾多(いくた)の命を(つい)やした末、神々の争いは辛うじてニトの勝利によって終結した。


 だが、ライプニャーナを滅ぼすことは許されない。光と闇は2つで1つの(ことわり)。神とて歪められぬ不文律。



 ニトにはライプニャーナを封印する以外の選択肢は無かった。しかし、そのためには強力な封印を支える人柱が必要となる。


 初代聖女が進み出たが、ニトは静かに首を振り、それを退(しりぞ)けた。



 彼女の瞳に映っていたのは、(いくさ)により荒廃した土地と、その果てに失われた無数の命だった。私の前に立った者も、彼の前に立った者も、等しく──。


 ニトは自身が生まれ落ちた『聖山(せいざん)アルナプルナ』へ(おもむ)くと、世界の行末を人に(ゆだ)ね、ライプニャーナと共に聖山の胎内へと還帰(かんき)した。


 (こと)の顛末から、(のち)の人々は、この戦乱を『神隠れ戦争』と呼んだ。



―― ニト教 ――



 聖山アルナプルナ。大陸中央に(そび)え立つ霊峰である。復興の目処が立つと、人々はニトを(まつ)るべくその中腹に神殿の建設をはじめた。


 建設が進むにつれ、祈りは聖印(せいいん)という作法を持ち、教えは聖典として編まれ――


 神殿は『聖堂』へと名を変え、感謝は『ニト教』という名を得た。


 神殿のみであったその聖堂も、時代を重ねるごとに修道施設や集会室などが増築され、やがて大聖堂と呼ばれるにふさわしい威容(いよう)を備えるに至った。



 それでも建設当初から一切変わらず、大聖堂を大聖堂たらしめている存在がある。


 それこそが山肌に沿ってぐるりと張り巡らされた環状大回廊だ。



 『ニトの首飾り』、そう名付けられたこの回廊は大聖堂から左、もしくは右に始まり、途中一度たりとも途切れることなくアルナプルナの中腹を一周して大聖堂へと戻る。


 雄大にして長大。大陸の果てからすら望むことができるその白姿は、ニトの威光を世界に知らしめているようだった……



―― 魔族 ――



 ライプニャーナは、自らに(かしず)く人々へ成長の加護と名を与えた。この加護により彼らは人でありながら人間とは違う身体へと成長、進化していった。



 長い耳と(なが)い寿命を持ち、魔術に長けた『エルフ』


 低い身長と筋肉質な姿を持ち、鍛造技術に長けた『ドワーフ』


 人の上半身と魚の下半身を持ち、水中行動に長けた『マーマン』



 二柱が肩を並べていた時代、彼らも人間と共に歩んでいた。


 だが、(たもと)を分かつとき、彼らは自らの意志でライプニャーナのもとへ集い、人間と刃を交える道を選んだ。


 この時より、人間は彼らを『魔族』と呼ぶようになった。



 物語の舞台となる世界は、神隠れ戦争から3800年が経過している。煉瓦(れんが)造りの街並みが広がり、石畳(いしだたみ)の道を馬車が行き交う時代だ。


 社会も成熟し、数々の国が建国された。魔族との貿易も始まり、友好と呼べる関係は保たれていた。


 魔族という言葉も、今では蔑称(べっしょう)として禁じられて久しい。



 人間が滅多に入らない(・・・・)森の奥に住むエルフ。


 人間が滅多に入らない(・・・・)山奥の洞窟に住むドワーフ。


 人間がどうやっても入れない(・・・・)海の底に住むマーマン。



 彼らは争ってまで欲する地に住んではいない。


 彼らもライプニャーナから授かった名を捨ててはいない。



―― 聖女 ――



 神隠れ戦争でニトを勝利へと導いた要因は2つある。


 進化の失敗と揶揄(やゆ)され、名を(たまわ)ることもなくエルフやドワーフから奴隷のように扱われてきた『獣人』の反乱。


 そして、ニトから癒しの加護を与えられた女性『聖女』。女神の化身と称されるその癒しの力は絶大であった。



 一般的な『治療師』の使う聖術『ヒール』は傷を治したり、体力を回復させるのがせいぜいだ。


 しかし、聖女の『ヒール』は傷や病はもちろんのこと、毒や呪、条件が整えば死者さえ(よみがえ)らせることができる。まさに、神に(ちか)しい万能の癒しだった。


 だというのに、今の人々の評判は真逆である。聖女に良い印象を持つ人はいない。男も女も、子供も老人も、辺境から王都まで、全てが聖女に嫌悪(けんお)畏怖(いふ)を持つ。



 なぜ、聖女は嫌忌(けんき)される存在になったのか?



 毒を飲んだ第一王子と飲ませた第二王子、病に伏した王と内乱を(ささや)く隣国、刺された男と金を借りた博打者。


 彼らは持ちうる財力を使って、聖女を悪しき者と知らしめた。ライプニャーナは封印され、魔族の脅威は去ったというのに、人間の物語には敵が増えた。癒されては困る者も増えた。


 それはニトの「自由であるべき」という教えを忘れ、国という(おり)を作った人間の背負う業なのかもしれない。



―― 魔術の衰退 ――



 この世界には2つの系統の魔法がある。


 ニトが(つかさど)る『聖術(せいじゅつ)』。


 ライプニャーナが(つかさど)る『魔術(まじゅつ)』。



 人間は必ずどちらか一方(・・・・・・)の才を持って生まれる。


 それは信仰にも遺伝にも左右されない。


 大半の者が魔術の才であり、4人いれば3人がそうだ。




 聖術も魔術も、『魔法陣』と『魔法名』、たった二つの要素で成り立つ。


 自らの才に応じた魔法陣を見るだけでよい。覚える必要もない。


 それだけで頭の中に魔法を組み上げられる。


 あとは魔法名を(つぶや)けば発動する。


 表層はこれだけだ。



 古き時代、魔法は神が創り、人に与えた。


 魔法陣を書き写すことは許されても、その本質を問うことは冒涜(ぼうとく)とされた。



 神隠れ戦争から150年が経ったころ、ニト教が興隆(こうりゅう)し、ニトが正神となったことで、ライプニャーナは邪神とされ弾圧の対象となった。


 邪神とされたその名は、やがて魔術にも影を落とした。


 しかし、魔術の才を持つ人間はあまりにも多く、才の有無だけで命を奪えば、社会は立ち行かなくなる。


 結果として選ばれたのは、人ではなく知識を断つ方法、魔法陣の焚書(ふんしょ)だった。



 反対する者もいた。だが、彼らは邪教徒としてその身を追われることになった。


 その中に、ひときわ異質な人物がいた。後に賢者と呼ばれるソイーラ・ルラ・ニーアホッテである。



 ソイーラは「魔法は神の創作物ではない」と唱えた。


 その言葉は、正しき人たちの逆鱗に触れた。



―― ソイーラの手記① ――



 まず知っていることをまとめようと思う。


 魔術を使うと『魔力(まりょく)』を消費するが、食事(・・)をすると回復する。


 聖術を使えば『聖力(せいりょく)』を消費するが、自然(・・)に回復する。



 魔法は熟練するほどに、より少ない魔力、聖力で行使することができる。発動速度も速くなる。つまり頑張った人がえらい! 優勝! そして魔法の本質だ。



 古くから魔法は神が創作したものとされてきた。


 しかし、それにしてはおかしな点が多い。



 1.魔法には明確な個人差がでる


 熟練の速さや威力だけではない。同じ魔術なのに風は使えるのに炎はてんでだめ、なんて人もいた。


 構築し、発動する。たったこれだけなら個人差はでないはずだ。



 2.才能の比率


 これも魔術に偏りすぎている。ニトが勝利して聖術の才を持つ子が増えたというなら筋は通る。でも、現実は逆だ。


 戦争時の記録を見ても、ニトの勢力でありながら、語られるのは聖女か魔術師ばかりだ。聖術師の名は、ほとんど出てこない。隠す理由は無いし、元から魔術に偏っていたのだろう。



 3.人間は聖力と魔力、両方を持つ


 才能が無い方は使い道がないというのにだ。これは僕が自作した『魔力・聖力計測器』で確かめた。


 調べた限り『肺』を持つ生物は、聖力と魔力を両方持ってるみたいだ。


 逆に『肺』を持たない生物は魔力しか持っていない。例えば植物や昆虫だ。


 聖力だけ持つ生物は、僕が知り調べた限りでは存在しない。




 神が創ったのなら、なぜ個人差が出る? 


 なぜ比率に偏りがある? 


 聖力と魔力は、誰が与えた?



 全て最初から在ったのではないか?



 結論を言おう、僕は神が魔法を創った(・・・)のではなく、魔法の使い方(・・・)を教えたんだと思っている。それを証明するために旅にでた。


 旅の途中で2人の協力者と出会った。ニト教のエト神官と、旅の女性ディードリット。彼と彼女の助けがなければ、この探求はきっと成し遂げられなかっただろう。



―― ソイーラの手記② ――



 聖力は自然に回復する。自然……自然って何だ?


 無から有は生まれない。魔力は食事で回復するのだから、聖力も何かを取り込んでいるはずだ。


 水か、空気か。


 まあ、空気だね。肺を持つ者が聖力を有するのだから当然だ。つまり空気中に聖力を回復する何かが存在する。僕はこれを『聖気(せいき)』と名付けた。同様に『魔気(まき)』もあると思う。


 必要なのは聖気の裏付けだ。目星はついている。ニト教の大聖堂がある場所、聖山アルナプルナだ。



 エトとは最初、僕の理論を巡って激しく衝突した。彼らに泣きつかれて、間違えている(・・・・・・)僕を(いまし)めに来たらしい。


 だけどエトにも、何か思うところがあったんだろう。監視という名目で、旅を共にすることになった。


 今では文句を言いながらも、ちゃんと実験に付き合ってくれている。


 あの連中が泣きつくような性格じゃないのは、ディードと意見が一致してるけどね。



 エトが戻ってきた。僕たちを見ると、ほんの一瞬だけ頬を緩めた。すぐにぶっちょう面へ戻したけれど。


 どうやら、うまくいったみたいだ


 アルナプルナに足を踏み入れて、僕は確信した。そこは文字通り肌で感じられるほどの濃密な聖気を発していた。そう、発していた(・・・・・)。世界の聖気はアルナプルナから発せられている。



 凄いね、計測器を使って測ってみたら、大聖堂だと聖力は他の10倍の速度で回復してた。他が低すぎるんだよね、通常は1分で0.1聖力だよ。


 ついでに神官たちにも協力してもらって、ヒールの聖術で消費する聖力量を測ってみた、大体15前後の聖力を消費するみたいだ。


 エトは11聖力だった。凄いって褒めたら、あからさまに顔を背けられた。


 エトはニト様が封印されているから聖気が高いっていうけど、ディードによると封印前からアルナプルナは聖気に満ちていたらしい。



 『魔気』については、アルナプルナに行く前から分かっていた。魔力は食事で回復する、つまり源は植物(・・)だ。食物連鎖を逆に辿ればいいだけだからね。


 肉類が高いかと思ったけど、野菜の方が高いみたいだ。多分動物の器が小さいんだと思う。


 ディードによると魔力の回復には果物が一番らしい。エルフが獣人に育てさせていたと風の噂で聞いたそうだ。



 魔気は地中にあって、植物がそれを吸い上げて魔力に変えている。エトはライプニャーナが地下に封印されているせいだと言うけれど、それも違うと思う。


 ディードの話から考えるに、神隠れ戦争でエルフが敗れたのは、反乱を起こした獣人に後ろを突かれたからじゃない。


 荘園(そうえん)で働かされていた獣人たちが仕事を放棄。そのせいで果物が不足し、魔力不足に陥った。


 そういうことなんじゃないかな? でないと聖術も魔術も使えない獣人の反乱くらいでエルフが総崩れになるとは思えないからね。



 ディードは魔術『ウインドボール』をたったの3魔力で使えた。数値を見て「ふっふーん、凄いでしょ」と自慢してた。


 僕も改めて計ってみた。前は13も消費してたのに12に減ってた。成長を喜んでると、ディードが「あらあら~そんなものなの?」って水を差してきたんだけど。


 魔術を初めて使う実家の使用人は、45も消費していたから凄い方なんだけどな。



 人間の魔力の器は120程度だ、聖力も同じ。でも、ディードは魔力が540もあった。まるでエルフみたいだって言ったら、たまたまよと言っていた。


 気になる魔力の回復量は、兎肉を焼いたものに野菜を添えた程度で60くらいだ。ディードの言った通り、林檎は1個で100も回復した。凄い!


 え? エルフがライプニャーナに育てるように言われてたのは桃? ここらへんじゃ手に入らないなあ。感覚的に林檎の3、4倍? ふーん。



 きっとあれだね、無理に魔力を回復させようと食べ過ぎてデブになったエルフ、デブフもいたね。痛い! なんでディードが怒るの!?



―― ソイーラの手記③ ――



 魔術の仕組みを理解するために、僕たちは各地を周って魔法陣を構成する魔法文字を集めることにした。


 聖術はニト教の庇護のもと調べることができたけど、魔術は思った以上に難航した。僕たちのことを嗅ぎまわって、先回りしている人たちがいるみたいだ。いやだね、頭の固い連中は。



 今なお人間に恨みを抱くエルフも多い。僕らにとっては数代も前の出来事でも、彼らにとっては現役なのだから、当然と言えば当然か。


 それでもライプニャーナの考えに素直に頷かなかった者もいる。ディードが上手く交渉してくれて、魔法の取引には応じてもらえた。


 代わりにインクの作り方を教えてあげた。彼らは長命だから、「わからないことは聞く」なんだよね。でも戦争で聞ける人がいなくなった。

 

『余白にはインクから矢印が引かれ、「書記液(・・・)」と書き添えられている』



 エルフは魔術の才能を持つ者しか生まれないらしいけれど、ドワーフは人間に近く、聖術の才を持つ者も生まれるようだ。


 そうした事情もあって人間に親近感を持つ者も多く、貿易を望む声も多かった。


 エトが話の通じそうな商会(・・)紹介(・・)してくれるらしい。何? その目。エトまで。


 商会(しょうかい)紹介(しょうかい)だよ、面白いよね!?……ドワーフは偏屈だね。



 マーマンはだめだね、あいつら閉鎖的すぎてぜんっぜん話が通じないの。戦争中の記録にも出てこないし、元々信仰心も無かったのかな。ディードいわく「加護泥棒」だってさ。


 交渉もさっぱり。燻製肉を渡して話を聞き出そうとしたら、魚の干物をくれた。違う、そうじゃない! でも美味しかった。



 やはり僕の考えは正しかった。様々な魔法文字が集まったことで、どういった仕組みなのかなんとなくわかってきた。このままいけば自身で魔法を創ることも可能だろう。



―― 旅の終わり ――



 ソイーラの研究は、看過できないものになっていた。


 魔術だけならまだしも彼らにとっての真理――『ニト様が創りし芸術たる聖術』までも、『人の手垢にまみれた汚れた技術』にすることなど、許されることではなかった。


 それ(・・)は、当然の帰結だった。赤く熱を持った床、焼け落ちた柱、倒壊した天井。ソイーラと、その研究所兼自宅は、不幸な出来事として片付けられるはずだった。


 それ(・・)は、予想外の出来事だった。燃え盛る家屋から、煙と威圧をひきつれディードリットが躍り出てきた。


 彼らも慌てたが、逆に彼女を犯人に仕立てあげようとした。だが、本当に予想外だったのは彼女の耳が長かったことだ。



 彼女はソイーラの研究資料が入っているであろう袋を背負い、野次馬もろとも彼らを魔術で弾き飛ばして道を作ると、夜の闇へと消えていった。


 事件は彼らの目論見(もくろみ)通り、ディードの犯行として処理された。だが、ソイーラの死体が見つからないことよりも、エルフの介在(かいざい)は、人々に忘れかけていた恐怖を思い出させた。



 そして同時に、その恐怖こそが、ソイーラの研究に価値を与えることになった。エルフへの対抗手段として人々は魔術を求めた。


 エトもまた二人の友人に応え、反対するニト教の神官達を説き伏せて転写した資料を公開した。それは立場も種族も超えた、友の尊厳を守るための行為だった。


 かくして、ソイーラ・ルラ・ニーアホッテの主張は本人不在のまま、ようやくその正当性を認められた。



* * *



 時は流れ神隠れ戦争から3800年、かつての戦乱は忘れ去られ、その痕跡(こんせき)は苔むした遺跡が静かに伝えるのみとなっていた。


 ソイーラは賢者と呼ばれるようになり、やがて彼の名を冠した学園が設立された。時を同じくして、アルナプルナ大聖堂も聖術の専門院として学徒に門を開いた。


 現在、ソイーラ学園は魔術と聖術を学ぶ場として広く受け入れられ、一方で大聖堂は「修練を積めるだけで名誉」と(しょう)されるほど、格式高い学び舎となっていた。



 寡黙(かもく)な少女メリーもまた、アルナプルナ大聖堂で修練を認められた才能ある治療師見習いの一人だった。


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