第一話:あるべきであってあるべきで無い、孤人的♀邂逅 - *〔トイレで始まる ABC⟨ めぐりあい ⟩ - 女子生徒とバッタリ遭う〕
‥‥この世で俺程「傍若無人」という言葉が似適う男性は居ないだろう。
何故かって?
それは——俺はひとりも友達を作った事が無いからだ!
今迄に学校で、子ども園で、他のあらゆる集団の中で——孤高を貫く俺と言う男性。
現に、俺の属するここ二年一組に友達は居らない。勿論同じ学年にひとりも居ない。俺を他人に説明するなら、一語で足りる。それは‥‥
『ぼっち』だ。
モチのロン、コミュ障でもある。
——然も、オマケに、ただのコミュ障ぼっちなだけでは無い。『高二病症候群L5〈末期症状〉』をも併発して居る。小学生の頃からイッツも妄想空想ばッかりやッて孤独を弄んで仕舞ッて居る内に、発症。小二病、中二病をこじらせた先、現状での俺の究極形態だ。最終形態だぞ。ラスボスだぞ。変身するライダーだぞ。
‥‥大二病?社二病?そんなの知らんからね‥‥?!フフフ、俺はまだ後二回、後二回ッ‥‥変身を残して居るんだッ‥‥!
——兎にも角にも教室の机から目醒めた俺は‥‥先程迄、いつも通りぼっちとして、人間関係から解放された自由な昼休みを満喫して居た‥‥もとい昼休みズッと机に寝て居た、のであった。楽なスローライフである。
俺が顔を上げたら見える教室の前面は、デカデカとした長方形、深緑の黒板に三分の一位が占められて居て‥‥それ以外の壁は、恐らく、白く塗られた混凝土。背面には、個人個人の木の棚——各自の正方形収納スペース——がある。これらを除いた左右の壁と窓を見遣れば‥‥両側は同じく落ち着いた色の木で出来た窓枠。その下辺、から床迄は‥‥ニスが塗られた明るい木の板に覆われて居る。床も同じ。それ以外はやはり、白く塗られた混凝土のひんやりとした壁。この様な教室。廊下も雰囲気は同じ。
そんな昼下がりの明るい光が射す廊下も教室も、殆どしんと静まり返って居る。俺と机椅子等の外には、日光に照らされて宙に浮く埃位しか居ない。
およそ昼休みである筈なのに不自然な程誰も居ないスッカラカンな教室。その窓際左側の一番後ろ、所謂主人公席に座って居る俺は、恰好つけて如何にも碇ゲ◯ドウ風に手指を互違いに組み顎を支えて居て‥‥こうして立派に仕様も無い事を考えてばかり居る。
——俺の脳内辞書には友達、友人、仲間‥‥といった言葉は存在しない。やはり俺は傍若無人だ。それそのものだ。
常に勝手、自由気儘、放縦。俺はそういう人間だ。その様にしか生きられない人間なのだ。だから傍に人が居てはいけない。
孤立しなければならない。
——ぼっちである。それが俺というIS-BEで有り、孤立して黙って居る事が俺が他者に与えられる最大の価値である。俺は何も無思慮にぼっちを長年やって居る訳ぢゃあ無い。俺は何と賢いミニマックス法とかハリネズミとかいじめられたトラウマとかを云々ごちゃ混ぜまとめに考慮した結果、こうした行動が最適解だと導いたのだ。だから、ぼっちなんだ。‥‥け、決して友達を作る力が無いとか、多分そんなんぢゃ無いんだからね!?
兎にも角にも俺は教室の中で、恰も路傍のイシの様に放ってかれる為に生きねばならん。俺の「傍若無人」は、自分と周りの幸福を最大化せんと思ってした自己犠牲精神たっぷりの結果なんだ‥‥!
‥‥ところで結構寝て居た気がするが、昼休み後の掃除は、いつから始まるのだろう?まだかな?
妄想が済んで満足したので‥‥急に自分の外部の事に、やたらと意識が向き始めた。
時計時計、時計‥‥は黒板の右上の辺りか。‥‥ん?黒板右の隅の所に白チョークで文字が書かれて‥‥。
『掃除時間カットです!おねむの片峠クンは新校舎一階の第一理科実験室へGO!早く歩こう! 名前步だけにね』
‥‥なめとんのか。
見える前の時計の今の時間は‥‥もう直ぐで授業が始まってから五分が経過しようかといった所。それで今から、この本校舎三階の教室から新校舎一階の第一理科実験室迄——上から見てコの字形の我が校舎を、都合良く立方体と見た場合‥‥右上前から左下奥の点へ大体対角線を描くように‥‥すっかり反対側にあるあの教室迄——俺に移動しろと??
こんなやったらめったら遠い教室。移動に時間が掛かるのは明白。それなのに俺は皆なに置いて行かれたと。誰も起こす事無く‥‥。これもぼっちの避けられぬ宿命か‥‥。ありふれた時間が今日も流れていく‥‥。
‥‥掃除時間カットって、俺知らされて無かったんだけど。今し方黒板と時間割の下にちっちゃく書かれて居る文字を見て書かれて居るのに気付いたんだけど。
もしかして‥‥日直が掃除時間カットの事を失念して居て、で俺が帰って暫くして、漸く書き記された‥‥って、コト? そうだ。絶対そうだ。でも普通誰かから知らされる筈‥‥
あ、俺、|同級生の交流チャット網《所謂クラスライン》のグループに入ってないから時間割共有されてないんだった。
ああ、もうしくじったぁあああああ!!!!!
何うにもならん現実に心の中で叫んだ。ぼっちは感情を悟られん様に真顔で居ても、一日に何度も何度も心の中で何かを叫んで居るのだ。俺クラスのぼっちになると、こうして溜まった鬱憤を発散出来る。と、いうかもう無条件に頭の中がそうする様になって居る。
遅れる事が分かり切った事だった、ていうかもう完全に遅れて居る。だから、生物の教科書・ノート・資料集を持ったら‥‥《寧ろ》厠で用を済ませるついでに一、二分間深呼吸とかでもして時間を潰そう。深呼吸だ。深呼吸をしよう。こういう時こそ余裕が大事。
遅れに緊張するな!鷹揚と遅刻せよ!
目標とする厠は四組の先、ふたつある少人数教室の奥まった辺り。少し遠回りになるが、近くに階段があるから、第一理科実験室迄の径路の途中になるだろう。
廊下に出て、二年二組、三組、四組‥‥と空っぽの教室を尻目に‥‥静かに、特に急ぐ事も無く普通に歩く。それでも自分ひとりだけの足音が、やたらと響く感じばかりして居る。誰一人居ないけれども、ひとりだけ音を立てて居るのは、何か目立って居る様で何処か気恥づかしい。
厭に気になって時間割を見たら、三学級とも合同で体育の授業らしい。ああ、昼休み後にその儘体育だなんて、休みに気晴らし活動が続く様なものぢゃん。何と気楽なモンよのぅ‥‥。
訳無く辿り着いて茶色い木製の扉を開ければ、そこにはだだっ白い清浄空間がある。この白さが心を落ち着かせるのに良いんだよな。いつも御世話になって居ります‥‥。
◆
‥‥ふぅ。
用も済ませて、深呼吸もし終わった。こうして廊下に出た今、俺は神妙過ぎる位に落ち着いて居る。
目を閉ざして感じるのは‥‥空気と、鳥の音と、近くの授業の声、運動場からの声、そして女子厠の扉が開く音と、少し焦った様なバタバタする足音‥‥足音?!
音のする方を見ると‥‥そこには(女子厠から出たので当然といえば当然だが)女子生徒という人間が居た。胸の赤いリボンに黒い生地、の冬季制服セーラー服を纏って居た。
「あっ‥‥!」
俺を見て女子生徒という人間は自づから声を発した。
「あ、あの、同じ学級の片峠さんでしたよね‥‥!」
俺は目を瞑って天井を仰いだ。
「‥‥その様ですね」
誠に遺憾ながら俺は目の前の人間の名前が分からなかった。だから、俺が多分一度も関わった事が無い人間だと思う。
——でも、ドッチにしろ‥‥女子生徒という人間たちの名前は、中学のあの時以来まともに覚えられた例が無いから、セイカクには判らない。
「い、いまから、わ、わたしと!生物の授業、遅れて、一緒に行きませんか、どうせなら、いこ!?! ね!!ね!!ね!」
誘うというより最早必死に懇願して来る。
もう‥‥。こうなったら誰だって一緒に行かざるを得ないぢゃん‥‥(※但し最後迄一緒に行く積もりとは言って居ない)。
「‥‥ぅん」
ほぼ反射的に、俺は『ぼっち』特有の限り無く小さな声で頷いて仕舞った。
目の前の人間の姿は‥‥一部は確かに三つ編みかもしれないが、何か全体的に完全にすっかり三つ編みと言って仕舞うと、その固定観念とは違う気がする、俺には良くわからない髪型をして居る。雰囲気としては何となく文学が好きそうないたいけな少女といった感じ。
でも読書家みたいな人にしばしば見られる、何処か取っ付き難そうな厭味は感じない。大人しそうだが芯が弱そうでも無い。高校二年であるから、当然我自体は確立されている様に客観的には見える。「そうだぞ」と女子生徒の目は確かに主張して居る。
ただ何処か‥‥その姿には張り詰めた細い手縫い糸の様な‥‥刃物でちょんと触るか、或いは少し強い力を加えれば忽ちの内に千切れて仕舞いそうな、そんな危うい雰囲気があった。
授業に自分だけ遅れる孤独と危機感に苛まれて緊張して仕舞ったのだろう。まあこれはわからんでも無い。
でも俺、女子生徒という人間たちは苦手なんだよなぁ‥‥。かなり苦手なんだよなぁ‥‥直ぐ近くに居ると発狂したくなる位には。いつも辛い。おれ的にすげぇ、つらい! ‥‥この女子生徒という人間にやや冷酷だが、頃合いを見て置いて行くしか無い!撒こう!撒くんだ!俺にはそれしか無いんだ‥‥!
こんな悲壮な決意を‥‥俺は密かに済ませてから、この少し幼い印象の女子生徒という人間と、再び廊下に歩き始めた。
‥‥やっぱり、さっきから俺の後ろで響く足音から分析するに‥‥かの女子生徒という人間の歩みは、遅い。絶対遅い。これは遅い‥‥!
ところで、思い出したかの様に情報確認として繰り返すが‥‥あの実験室は我らのクラス教室から大分離れた、新校舎一階の端っこの所。それで、「我がクラス教室」は本校舎三階に位置して居る。だから、校舎の廊下を経由したにしろ、屋外渡り廊下を経由したにしろ‥‥到着するのには時間が掛かる。物凄く時間が掛かる。だからこそ、少しでも早く歩く必要がある。
こうして女子生徒という人間と一緒に歩いて一〇秒も経たない間に——俺は三階と二階を繋ぐ階段に到着した。
すると、傍若無人な俺は‥‥さっきから思考して居た通り、早く移動する為の当然の行動として‥‥一段一段チマチマ下る隣の女子生徒を放り出して、ひとり早歩きかつ二段飛ばしで階段を降りて行く(※真似しないで下さい)。タクシーより速いからな!
「ま、まってよ〜!」
二階に下り終わるや否や、必死な女子生徒という人間の、如何にも心配した感じの大きくて高い声が‥‥数秒後に階段の上の方から聞こえて来た。てか、遅れてるって言ってるだろ。何で急いで仕舞うのがそんなにダメなのか‥‥? ‥‥ダメなんだろうなぁ。だが、こんな俺みたいな俺にはどうしようも無い。
俺にとって、女性という人間とは‥‥余りにも強すぎる、恐怖と、焦燥と、切迫と、不安と、不快、そして更に巨大な、実害としての法的社会的私的暴力的脅威を常に与えて来る、そんな存在である。【女性という人間を絶対に避けなければならない】。そんな、カレラに対して恐怖症ぢみた物を持つ俺が、女子生徒という人間と一緒に隣り合って歩く事等、大体不可能だと言いたい。
ただ‥‥そんなかれの声を聞いて、一応‥‥一階への階段を降り切った俺は歩くのを止め、世に有るべき義理や道理の一環として、そこで待つ事にした。
間も無くして、女子生徒という人間が、かなり急いで降りて来る様な足音が聞こえて来た。
‥‥おい、止めてくれ。危なっかしいぞ。只だの階段であっても努め〳〵侮るなかれ!縦、三〇センチでも強く身体を打ち付ければ結構な怪我になる事だってあるのだから‥‥。
‥‥でも、やはり悲しい事に、こんな事を言いたく無いし、断腸の思いだが、仮に女子生徒が転んだとしても俺は何もしない。触れない。見ない。何も出来無い。何も出来無い‥‥。
現代に於いて、凡そ女性は最大最低の非道な権力者である。男性である、というだけで瀕死の重病人からも平気で膏血を啜って心身を満たす巨大な悪である。俺と言う男性がカレラを助けないのは、女性という人間たちがヤイのヤイのと、隅っこで苦しんで居る男性を助けずに平気で蔑む理由を思い付いて、如何にもそれを鳥の集団が如くにピーチクパーチク、妥当な規範そうに言うのと遺憾ながらやや似て居る。何が「気を持たれるかも知れないから」だ。何が「気持ち悪いから」だ。何が「何か暴力を振るわれるかも知れないから」だ。何が「何となく」だ。最早女性という人間は自我を完全に切り離したカタチでの独存の世界観を生憎持ち合わせて居ない‥‥自我の感情と共にでしか物事を評価し得ない——。
それで「ヘンな」「臭い」「『加害的』な」男性が死んでも「正当な苦痛よ」と立派に宣う。「臭い」「気持ち悪い」のは「不当」な人間という事になるから、「正当」なワタシたちは何をやっても罪悪感は無く、そして許されるし寧ろ褒められるべき、との事である。(女性という人間には優越した生き方が無いとは言って居ないし、寧ろ一杯ある)
ただ、俺の助けない理由と女性のそれとは、その事実としては実地的脅威の度合いからして違う。当世は女性の持つ権威と権限、権力、そして暴権が‥‥訳も無くひたすら、男性の持つそれと比して、頭飛ばしに、筍の如く無限に上昇しつつある。
例えば——気の食わない男性たちを——その一族郎党迄もを——女性たちは「『そうである』と思った——ただそれだけで」、平気でコウギの社会的制度とシ刑を駆使して懲罰し、葬る。そうして自分たちの直感情的道徳キハンに基づく強制力により‥‥彼らを〈滅却〉して憚らない。然も、女性たちはその行為の責任を一切負う事が無い。カレラは、『責任』という者は他人に負わせる為だけにあると思って居る。だから、自分がやった行為の責任にしても、「われらこの世」に懲罰される相手ばかりが絶対に悪かった事にして、自分以外の誰かに被せる。こんな、曖昧模糊、恣意的な物を以て、凄まじい理不尽を下す、最早この世の裁定者と化した、アホウな悪魔の代弁者。
男性だと見たら、彼らを何も考えずに理不尽にひたすら締め付け、痛め付け、妨害し、男性の本来なら自由民権な思考行動認知の仕方を、一辺倒女性に都合の良い様に‥‥好き勝手に強権的に捻じ曲げて、で、それらの害悪を甘受する事をキョウセイする。世の中の女性は、こうしてコウギのカクメイ的暴力をショウアク、シハイして居る。
——『好き勝手』の『好』の字の左側が女偏であるのは、ホントに何と奇遇な事よ!好き勝手の女偏は「好ましい」の意味ぢゃ無い!参照元はアンサイ○ロペディア。勿論、口から出任せの嘘である。
‥‥そうして女性が男性から得た資源、男性らの苦痛——女性らのアクマ的感性によって意義反転させると‥‥彼女らにとって与えられて当然、無くて泣き喚かねばならぬ【メグミ】——を‥‥【セイギ】の名の下、当然な事として費消する。浪費する。それが、血と肉と骨、『生命』を持つ人間たちにとって齎す意味も、影響も、結果も何も知らずに——彼女らはムシ。何も考えない。ムシロこの世の中で‥‥そういう事を考えるなんて、そいつはトンデモ無い鉄槌を下すべき悪魔だぁ‥‥と思い込んで居るナリ〜。
こうして今は、完全に女性の持つ暴力性と脅威の方が明白に、段違いに優越して居る。コレは暴権である。災害である。コレが男女『平等?』の素晴らしい成果である。無意味な横暴を繰り返す権力者の為に——結果として、自分だけで無く、一族郎党、大切な人、友達、仲間‥‥世の中の全ての者の人生を犠牲にしかねんリスクを背負って、そうして助ける余裕など、誰にも、無い。出来、無い。
‥‥結局「助けたい!」という純情な感情だけではヒトは生きて居られぬのですよ(俺は中学の時にそれを実行して文字通り罷り掛けた)。ソレはまだ昔の純朴だった俺が、そん時にイチバン学んだ事さ‥‥。
であるからして、足から頭‥‥つまり全体として焦って転んだ女子生徒という女性の人間の自己責任だ。善管注意義務だ。俺だってこんな転んだ時誰にも助けてもらえんかったし、特に女子生徒からはズッと嘲笑われて居るだけだった。‥‥俺が、女子生徒という人間に少しでも触れて仕舞えば不快だと思われる。ヘンな事したと思われる。だから、女子生徒等には一切触れないし、触れさせないのが、女性という人間に与えられる最大の価値だ。「そうしない事」が、世の中にとって、俺の出来る最大唯一の価値有る行動だ。
女子生徒という人間に触れないという‥‥それ以外の——彼女らにとって『サイアクな』コトを為せば、小・中学校での経験上甚だ不快にさせる。前を通っただけでも、不意に俺の事が視界に入っただけでも——不快にさせた。「この世に産まれて来て御免なさい」「生きてて済みません」と何度言わされて来た事か。こういう俺には最早女性という人間に何も出来無い。不快だとされる。女性という人間の不快は何でも即『公の不祥事』とされる。非難される。徹底的に糺弾される。こんな事はもう懲り懲りだ。他人を助ける為に手を伸ばす事でさえ。
女子生徒は‥‥結局、慣れない一段飛ばしなのか、将た又た焦り易い人間なのだからか、危なっかしく途中何度もよろめいたものの、結局無事に降りて来た。
『良かった』。心からそう思った。この上無く安心した。
‥‥‥‥どうしてそこまですっかねぇ‥‥と心の中では女子生徒という人間を大層訝しみつつ、俺はチョッと、いやそこそこ大分距離を置いて女子生徒という人間と共に歩き出した。けれども女子生徒は若干寄って来て、然も話して来やがった‥‥!?
アイエエエ!?! オレニ?! ナンデナンデ??!
「一緒に行くって言ったよね?!?! 何で置いてくのですか??!!!」
「‥‥あ、御免。いつもの癖が出ちゃった‥‥」
「一緒に行かないとダメって言ったでしょ?! だからひとりで遅れるのはダメなんですって!!」
‥‥やはり「ひとりで遅れて行くのがダメ」だとかいう限界コミュ障ぼっちの俺にとってはドウシテモ、到底考え付かない意味不明な理由で、こう等と‥‥一緒に俺と行こう等と‥‥。
女子生徒という人間は、何度も「一緒に行かんとダメ」だと言い張る。言い張る。マスマス言い張る。一度言われた後も三回位連続で俺に念を押して来る。さっきから、そんなに言われるんだから、俺は当然ひとの義理として主張を呑んで応えないといけなくなって仕舞った。もう逃げられないぞ‥‥。
観念した俺は、女子生徒という人間に歩幅を合わせて並んで歩く。かれの歩く速度が呆れる程遅いので、第一理科実験室での生物の授業は‥‥結構な遅れになるのは確実。
もう歩いて居て焦れったいよ。ナンカ意味分かん無いけど「ジレジレ‥‥?」だよ‥‥。ひたすら‥‥。
そう心の中で呟いた俺は、再び天を仰いで眼を瞑った。




