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誰かのために、己のために・・・愛するもののために

作者: 秋槻怜耶

もう何も失いたくなかった

もうこれ以上失いたくなかった

だから決めたはずだった

もう何も大切なものなんてもたないと


幸せになることのできる世界をつくるんだ

俺はいいんだ

確かに悲しい別れだったけど、彼女たちと過ごした日々は間違いなく俺の中で幸せと呼べるものだったから

きっと彼女たちも幸せだったと思うから

確かに、救いはなかったかも知れない

でも・・・・いいだ・・・・・

その分誰かが幸せになる世界を作れたら、きっと彼女たちは喜んでくれるから





そう思っていたのに・・・・・

思っているのに・・・・


「どうしてっ!!どうしてっ、俺には力がないんだっ!!!

何で、目の前で傷ついた奴一人助けることが出来ないんだ!!」


「そんな、泣きそうな顔をしないで・・・

これはアナタのせいじゃないわ

ごめんなさい

私が弱いから

弱いのに、アナタについて来てしまったから・・・・」


「もうしゃべるなっ」


彼女との初めての口づけは血の味がした


「ごめんなさい」


「謝るなっ!!頼むから・・・謝るな・・・」


「ごめんなさい

悲しむアナタを見て、喜ぶ私がいるの」


彼女の手が頬に触れる


「ごめんなさい

アナタの心が傷つくたびに、私が刻まれて行くようで嬉しいの」


彼女の唇が半月のようにゆがむ


「ごめんなさい

アナタなら許してくれると思ってる、悪い女なの」


頬に触れた手が、俺から離れた


「・・・俺は・・・優しい人間じゃ・・・・ない・・・

だから・・・君を許せない・・・・

・・だから・・・死ぬなっ!!!

入って来ちまったんだ、勝手に出てくなんて許さないからな!!

もう、俺はお前を離さないからなっ!!!」


雨は嫌いだ

人の温かさを消してしまうから


「ごめんなさい

泣かせてしまって」


「バカっ!・・・泣いてなんかいるか・・

悪い女のために誰がなくかよ・・・

謝って済むか

もう、謝っても許してやらないからな

絶対に許してやらないからな・・・・」


雨は好きだ

涙を隠してくれるから


「ありがとう

私を・・・」


俺は彼女の手を握る

痛みを感じるほどに、強く・・・強く・・・


「・・・く・・れ・」


やっぱり雨は嫌いだ

最後の言葉まで消してしまうから


「ヴヲオォォォォォォーーーーーー」




この世界に救いはあるのか?

俺に幸せな世界が作れるのか?

これ以上・・・・俺はもう・・・・


ごめん、みんな






出来なかった

彼女たちが愛してくれた、この命を

彼女たちが望んでくれた、この命を

無駄にするなんて、俺には出来なかった


ごめん、みんな

もう少しだけ待っててくれないか?

あと少し

頑張ってみたいんだ

そうしたら、きっと変えられるかもしれないから


また、挫折するかも知れない

俺は弱いから

また、他の娘に惚れるかも知れない

俺惚れっぽいから

また、その娘を失うかも知れない

でも、諦めない


この命がある限り

この命はみんなとの誓いだから

この命がみんなとの絆だから

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