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導きのない新天地  作者: 風雷 刹那
第2章 セーミニの街
16/20

少女3人集まれば……

書き終わらなかった先月分がようやく終わったので出します

遅れてごめんなさい…

クローア生活16日目



「なんか…私たち馴染んできたわよね」


「そうか?」

「そうでしょうか…」



セーミニの街のとある喫茶店で、玲、茉里、灯莉の3人は優雅にお茶会(本人たち談)をしていた



「だってそうでしょう? レーダルに複数の知り合いがいるし、いくつかの店は店員とかなり仲が良くなるほどに常連に…」


「でもまだ街に来てから7日目ですよ?」


「馴染んでるって言うのは…」



茉里がそう言いながら視線を動かした先を



『だから言ったじゃないですか! ヒノミさんの家に行けば起こしてもらえるって!』


『そ、そのー…それは、ですねー』


『ヒノミ様に失礼ですしー…でしょ?』


『うっ…』


『それに、ヒノミさんに聞いてみたら問題ないって言ってましたし』


『で、では今度覚悟を決めたら行きますねー…』


『覚悟を決めなきゃダメ!? もしかしてそんなに惰眠を貪りたかったんですか!?』


『ちっ、違いますよーー!!』


『まぁ最近は水の令嬢じゃなく、眠り姫なんて呼ばれてるしな』


『れ、令嬢を超えて姫ですかー!?』



白髪の獣人(刹那)と茶髪の少女(メルティア)…そして、高身長で体格の良い青髪の男(オルケ)が楽しげに話しながら通り過ぎていった



「ああいうのを言うんじゃないか?」


「……アレは別枠よ」


「では…」



次に灯莉がそう言って、見た先には



『ししょーと同じ武器、つまりお揃いなのです!』


『あ゛ぁ゛ぁぁぁ!! わかったわかったわかった、もう俺の負けでいいから黙れ! 何度同じことを言い続ける気だ』


『やったのです! ししょーに、弟子だと認めてもらえたのです!』


『誰が師匠だ!』


『ししょーなのです!』


『俺は師匠じゃねえ!』



白髪の少年(逸人)が金髪の少女(リーミナ)の勢いに疲労しながら対応している様子が見えた

ちなみに、3日前から同じようなやり取りが半日おきほどで行われている



「あちらですかね?」


「あれもまた別よ!!」


「もう別しかないじゃんか!!」


「はーい、皆さんのご注文のメセナのご褒美スープとシーラ麦の大パンのセットですよー、…ところでなんの話をしてたんですか?」


「私たちがこの世界に馴染んできてるって話よ」


「あぁー…私としては皆さんは馴染んでると思いますよ。だって、この私が皆さんのお友達ですし!」


「バイトがなんか言ってら」


「ひどっ!?」



客が少ないと言うことで喫茶店のバイト少女エイネとともに昼食を取ることになった



「店長からケーリャのジュースもらってきた!」


「もう私たちエイネとご飯食べるより店長と食べた方がいい気がしてきたぞ」


「なんでよー」


「いや、店長からうけてる施しの方がエイネから受けた施しより数倍多い上に、店長と話し合いたいしな」


「ひどい! マリさん! 私のことは遊びだったって言うの!?」


「誤解を招く発言はやめろ!」



エイネのセリフにより周囲の数人が茉里とエイネに視線を向けたが…直後の茉里のセリフにより、大抵の人が視線を元の場所へと戻した



「まぁ私としても店長と話し合いはしたいわね、あの人異様に私たちに施しをしてくれるじゃない?」


「確か…異世界人に助けられたことがあるから…と言う理由でしたよね」


「そうそれよ! それが気になるのよ! 店長何歳よ! 最近異世界人はほとんど見かけてないって聞いたわよ」


「確かにそうですね…」


「あ、私ちょっと知ってますよ」


「はいどうぞバイトのエイネさん」


「アカリさんって思ったより刺してきますよね…で、店長ですけど、100年は生きているらしいですよ? 前にちょろっと言ってました」


「へー…そうなのね……見た目でわからなかったわよ?」


「店長の種族はわかりませんけど…なんらかの魔法か魔法具を使っているんじゃないですかね」


「…ところでエイネって種族なんだっけ?」



茉里がそういえばと言った表情でエイネに問いかける



「え? もう忘れてしまったんですか?」


「茉里はこの前いなかったじゃない」


「あ、あぁ! そうでしたね! ふふん、私は森人ですよ森人族」



エイネが少し尖った耳を茉里に見せながらそう言う



「それも、4分の1…ね?」


「あぁー!! レイさん! 私の大事な持ちネタを潰しましたね!?」


「クォーターって…森人族と言っていいのでしょうか…」


「いいんですよ! 私は言ってるんですから!」


「…で、4分の1森人族でいいことあるのか?」


「ありますよ、《特性》もほんのちょっとですが使えますからね…ほら《図書(ウエラ)》」



目を閉じ、そう唱えたエイネの手のひらの上にメモ帳のようなものが現れ、パラパラと勝手にページが捲られる



「…《特性》ってなんだ?」


「あれ? 知りませんでしたか? 人族以外が持つ特殊な能力ですよ…まぁ私のこれは劣化品ですけど…….そうですね…《図書》」



再びエイネの手のひらの上にメモ帳のようなものが現れ、ページが捲られてゆく

それを覗き込んだ茉里は、そのメモ帳に何かが書いてあると言うことを認識したが…その目に映っているのは白紙のページだけであった



「《特性》とは、人族でないものが持つ特殊な力を指しており、森人族は《追憶図書(レ・グエラ)》、獣人族は《獣化(デゼラ)》を持っている……という感じで、私の知る限りではこのような感じでした…先ほど伝えたこととほとんど情報量変わりませんね…」



エイネがたはは…と言った具合に茉里たちに笑いかける



「委員長は、その…でぜらってのは使えないのか?」


「えぇ…全くわかりませんね」


「まぁ…4分の1の私が使えることがおかしいんですよ、普通の人たちでも使えないことはあるらしいですから」



エイネがそう答えた後…茉里が大通りを見て…



「っと、そうだ私たちはそろそろ依頼に行くか」


「そうですね、ごちそうさまでした」


「え!? 待って2人とも早くない!? 私まだ半分までしか食べてないんだけど」


「玲が遅いだけだぞ」


「そうですよ、レイさんずっと話してたじゃないですか」


「ちょっ、んむ…待ってよ…んぐんぐ」


「そんなに急いで食べたら店長さんに失礼ですよ、玲さん」


「ん、んんん……ふぅ、そういえばそうね、今日は少し話しすぎた気がするわ……いや、それにしても多いわね…」



玲が何かがおかしいと言った様子で考え始め…



「…ねぇ、茉里…あなた、少食よね? もしかしてだけど、私の皿に勝手に移した?」


「…さぁ? なんのことだ?」



茉里は明後日の方向を向いた



「…はぁぁぁふぅぅぅぅ…」



玲がゆっくりと息を吐いて、息を吸い…



「あなたって人は本当にィィィイイイイ!!」



そう叫びながら勢いよく椅子から立ち上がり、茉里の両頬をつねった



「イタタタタタタ…わ、私悪くなくないか!?」


「茉里さんが悪いと思いますよ」


「委員長、移してるの見ても何も言わなかったのに!」


「ふふふ」


「皆さん仲良いですよねー」



レベルの低い言い争いを始めた茉里と玲を見て、灯莉が微笑み、エイネが笑う

そんな騒がしい彼女たちを見て笑っている周りの人々からすれば、彼女たちはしっかりとこの世界に馴染んでいると言えるだろう

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