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親友

「どういうことか説明してもらおうか、歩」


一限目が終わりゆっくりしていると、背後から声をかけてくる西川康介(にしかわこうすけ)、親友がいた


「なにがだよ」


「なにがって、今朝のことに決まってるだろ」


「天使様と話してたことか?」


「そうだよ、お前また人助けでもしたのか?」


人助け、と断言しているのも小学生の頃からずっと一緒なので、歩が困ってる人がいるとほっておけない性格だというのを知っての発言だろう


「昨日帰りにたまたま見かけて軽く話しただけだ」


「嘘だぁ、だって歩が天使様と話すことなんてないだろ。普段ゲームの話しかしないじゃん歩、それにお礼されてたし隠しても無駄だぞ」


「隠すもなにも、ただなんか困ってそうだったから声をかけただけというか」


それが天使様じゃなくても歩はそうしただろう


「ほら〜やっぱそうじゃん、お前は相変わらず誰にでも世話焼きだよな」


そう言い康介は呆れつつも穏やかな表情を浮かべている。


「うるさい、人として当たり前のことをしただけだし」


困ってる人がいたら人は手を差し伸べるべきなんじゃないのか。人は支えあっていくものよ、そう親から言い続けられてきた歩からは、別に間違っているとも思わないしむしろいいことだと思っている


「そりゃあ友達や知り合いが困ってたら助けるのは俺でもするよ。けどな、歩の場合その対象が老若男女問わず視界に入った人全てなのが俺はすごいと思うし、友として誇らしいよ」


「そりゃどうも、俺も康介が友達でよかったと思ってるよ」


小学生の頃からずっと一緒なのに、ずっと遊びには誘ってくれるししんどかったら気遣ったりしてくれる、そんなやつに友達として誇らしいと言われるのだ。歩だって康介が友達でよかったと思う気持ちを伝えるべきだ


「そういうことをサラッと言われるとちと照れますなぁ、えへへ」


「お前から言い出したんだろ....、あとえへへとか言うな気持ち悪い」


「し、辛辣すぎるよぉ、けどそんなところも好きぃ!」


なんだこいつは気持ち悪いと思いながらも、康介は楽しそうな笑みを浮かべているので、歩はなんやかんやこいつが友達でよかったなと深く再認識するのだ


「やっはろー!2人して何話してんのー?私も混ぜろー!」


「はろはろー舞、いやーね歩は相変わらずお人好しだよなって話してたんだよ」


彼女は石崎舞(いしざきまい)、康介と同じく小学生の頃からの付き合いだ。


「なにー!私を除いてそんな大事な話をしていたのか!」


「別に大したこと話してない、にしてもお前は相変わらず元気すぎるだろ」


彼女が学校を休んでいる日なんて見たことない、なんなら毎日ハイテンションなので、どこからその元気が湧いてくるのかつい気になってしまう


「そりゃ毎日楽しいからね、大好きな康くんと同じクラスだしついでに歩もいるから楽しくないわけないのだよ」


「俺はついでかよ」


と軽くつっこむのだが、「にゃはは〜ごめんごめん」などと言い笑顔を向けられるので冗談で言ったのだろう


「ところで康くん、好き!そろそろ付き合って」


「俺も好きだよ、けど付き合うのはもうちょっと待ってほしいかな」


「にゃはは〜、しょうがないなぁ私は優しいから気長に待ってるよ!」


若干頬を赤らめているのだが、舞は少し残念そうだった


「ちとトイレいってくるのだ!」


トイレいくならなんできたんだよ、なんて思いながら嵐のように去っていく彼女の背中を見送り、教室からでたのを確認した歩は疑問に思ったことを口にした


「康介、お前なんで舞にあそこまで好意向けられて付き合わないの?てか両思いじゃん」


「んー、俺がまだ未熟者だからかな。俺がもう少し自分に自信が持てるようになったらその時、今度は俺から気持ちを伝えるつもりだから」


「それいつになるんだよ、お前イケメンじゃん、十分強い武器あるじゃん」


それでいけよと言わんばかりの圧を歩から感じるのだが、康介はそれだけではダメだと思ってるらしい。


「顔が良くても将来見据えると、勉学とかそっちでの自信が欲しくなるんだよ」


まだ高校生なのに意外と真面目というかなんというか


「そうかよそれなら頑張れ、でもあんまりまたしてやんなよ。舞だって我慢してんだから」


「そうだな、ありがとう歩。あとお前も頑張れよ」


「なにが?」


「天使様がさっきからお前のことちらちら見てるぞ」


「は?」


康介はニヤニヤしながら天使様の方へ視線を誘導してきた。何故、意味がわからなかった。


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