07 一ヶ月雇用を受け入れたキースの働き②
目が覚めると、朝食の時間はとうに過ぎていたので「昼食をガウス様とご一緒にお願いします」と言われキースは快諾して、昼飯まで布団の上でゴロゴロしていた。
使用人がキースに声を掛けてきたので付いていくと、ガウス様はキースとは違う扉から入ってきてキースの顔を見て満足そうに頷いていた。
「たった一晩で十五人も捕まえるとは大したもんだ!!」
「ですが、これからは中々捕まりませんよ」
「そうだな・・・。キースがいる間に犯罪者は全員捕まえていってほしいものだ」
「街から出る者の規制をかけてほしいんですが」
「それは難しいな」
「なら俺が門番の所に出張ってもいいですか?」
「構わないよ。直ぐに連絡を入れておこう」
執事の一人と思われる男が一人その場から出ていった。
「食べたらすぐに門に行くのかな?」
キースはしばらく考えた。
「そうですね・・・することもないので門に向かったほうがいい気がしてきたので、食べたら門に向かいます。
「君のその勘は子供の頃からのものなのかな?」
「そう、・・・ですね。ほんの小さな頃から勘は良かったらしいですが、必要な時にちゃんと働かなかった事があって、それ以来は研ぎ澄ましている感じですね」
「君の身に不幸があったのかな?」
「ええ。まぁ」
「それは残念だったね」
「ありがとうございます」
まずい話でうまい飯を流し込んで、キースは門へと向かった。
街の外へと出て、ぼんやりと出ていく者達を眺めている。
あくびをしながら、時折憲兵達からお茶の差し入れやらお菓子の差し入れをもらって、これはこれでいいな。と感じていた。
キースは一人の女を見て立ち上がった。
その女の元へ行き、声を掛けて顎を撫でる。
その女の斜め後ろにいた男とその連れの女も沈めた。
憲兵達が騒然としたが、俺は捕縛して憲兵に渡した。
「叩けばホコリがわんさか出てくると思うから頑張って叩いてちょうだい」
それからしばらくはビクビクとして出ていく人達と、憲兵の不気味なものを見る視線に晒されながら、十二人の犯罪者を捕まえた。
その翌日も門で四人捕まえたが、目的の強盗団は誰も捕まえられなかった。
「八人は地下に潜ったままか・・・どうするかな〜?」
そう言えば街の中の冒険者ギルドに顔を出していなかっことを思い出し、冒険者ギルドへと顔を出す。
そこにはキースが知らない手配書があって、この二日間で捕まえた者達だと気がついた。
ギルドの受付に「コイツラは捕まえたから、この手配書を持って番所へ言ってくれ」と頼むと、キースの冒険者カードを見て直ぐに走っていってくれた。
その日の晩飯でガウス様に「門番として働かないか」と誘われたが、それは丁寧に断った。
その日の夜は早々に寝ることにして、翌朝商業ギルドへ行って色々な噂話を仕入れながら、店を開く許可を二日分取ることにした。
店を開いているとおしゃべりな人はいくらでもいて、色々教えてくれる。どこの店が最近羽振りがよくて、どこの店が騙されて店を畳むそうだ。などなど。
キースは店を畳むには早い時間に店を畳んで、羽振りのいい店へと顔を出した。
その店は雑貨屋で、この街では珍しいものを置いているとかで若い女の子で溢れていた。
キースは店の中に入らずに表から女の子を眺めてるおっさんよろしくウロウロしてから店番に睨まれて慌てて逃げ帰る男を演じた。
翌日も店を出し、噂話を拾っていると憲兵から呼び出しを受けて、店を畳むことになった。
ちょっとした損害だと憤慨していたが、月単位で雇われている以上、呼ばれたらどこにでも行かねばならないと諦めた。
憲兵達の取り調べで強盗犯達のアジトは解ったものの、そこはもぬけのからで、犯人逮捕に繋がるようなものはなかったという報告だった。
そんな話晩飯のときにでも話してくれるので十分なのにと不服に思っていると、門を潜ろうとした男を呼び止めた。
「ちょっとそこの人、止まってくれるか」
声を掛けた男は一瞬振り返り、走って逃げ出したので投げナイフを足を狙って投げてキースは追い掛けた。
憲兵も俺の後を追ってきて、キースが捕まえた男を番所へと連れて行った。
俺は手配書の一枚を別の憲兵に「今の男はこの男だ」と渡した。
憲兵からの信用はうなぎのぼりで、そんなものいらないよと思いながら俺は街をぶらぶらして歩いた。
比較的大きな街とは言え、手配書が回るような犯罪者が多すぎるとキースは思っていた。
翌日、キースは門の外へ出て防壁の周りをウロウロした。
今は出入りができるもんが南門しか開いていないために、防壁沿って歩くものは多いのだが、その男は他の男達とは違う匂いがした。
キースはその男を眺めながら防壁にへばりついてその男からは見えないように身を隠しながら見ていると、男は突然姿を消した。
キースはやっと見つけた。と心の中で叫んで、男が消えたところへと向かった。
そこには大きな岩がいくつかあり、その間に石をずらすと地下へ通りていく階段を見つけた。
キースは番所へ取って返して、ガウス様に連絡を取ってもらい、今人気の羽振りのいい店の周りを取り囲んでほしいこととと、秘密の出入り口が見つかったので、そこを見張る人員が欲しいと伝えた。
ガウス様はすぐさまキースの望みを叶えてくれて、店の方には若い女の子がいっぱいいるから気をつけるよう忠告した。
キースは三十人ばかり連れて地下入口へと向かい、三人をここに残るように伝え、身を隠すように立ち位置まで指定した。
「ここにくるやつは取り敢えず全員捕まえてね。怪しい人だから」と伝えると、憲兵達は今から城のてっぺんから飛び降りるような顔をして頷いていた。
残りの憲兵達と一緒に地下へと潜って歩いていくと鍵がかかる扉がいくつもあって、キースは盗人よろしくピンを二本使って鍵を開けていった。
いくつか目の扉の後、広い空間があり牢屋のように格子が付けられていた。そこには若い女の子達が十人以上捕まっていた。
憲兵の姿を見て助かったと思った女の子が声を上げそうになったので、唇に指一本立てて黙らせた。
「助けてやるからもしばらく大人しくしていろ」と伝えて先へと進む。
また扉が数枚あり、すべて開けるとどこかの店の地下金庫だった。
その地下金庫の階段を上がっていくと、その店の中は憲兵で埋め尽くされていた。
地下から上がってきたキース達を見て、店の人間たちは全員手を上げて、抵抗なく捕まえることが出来た。
女の子達が地下から助け出され、親が呼び出され再会を喜び合っている姿を見て、いいことをしたとキースは満足だった。
地下に降りる岩のところで二人が捕まっていて、強盗犯全員を捕まえることが出来た。
キースは自分の役目を終えたので、この街を後にしようとしたけれど、ガウス様は「一ヶ月の約束がある」と言ってキースを街をうろつかせたり門番をさせてみたりして、それからも怪しい人間を次々と捕まえさせた。
最終日、ガウス様から渡された金額は一生分の稼ぎと行ってもいいほどの金額があり「かなり多いっすね?」と言うと「それだけの働きをしたんだから気にするな」と笑った。
「体が動かなくなったら、ここの門番になりに来い」と言われて、お世話になった使用人の人達にも別れを告げて、キースは馬に跨った。
憲兵達にも見送られてキースは「さて、どっちに向かうかなと空を見上げた。