第一章21 次へと繋がる
一段落して呼吸を整えるまでの間、ふと考えてみれば、どうして自分の拳が届いたのだろうかと疑問が浮かぶ。
インティグキラールとグラナード、両者の戦力差など言うまでもなく明らかだった。どんなに洞窟の民が助けてくれたからと言って、元から天と地の差があったものを微小に狭めることはできようはずもない。
思い浮かんだ可能性が、自然と口に漏れる。
「手加減したのか?」
『どうだろーねー。少なくとも、キラールは「手加減だなんて恥だー」とか言って認めないかな』
「はは、そりゃ予想できる」
『出会ったばかりの異邦人にも想像できるなんて、相当いんしょーに残るキャラしてるよねキラールって」
「間違いない」
グランの拳が最後の一撃を放ったとき、インティグキラールの顎を見事に穿ち、洞窟最強を吹き飛ばしていた。それから気絶したように沈黙を保っているのを見るに、やはり手加減、あるいは妥協のようなものが介在していたのだろうと推測する。
「心の底では認めたがっていた、のかな」
『ははーん、あなたって優しーね。第一印象最悪だったろーに、最後までキラールを諦めなかった』
姿の見えないクァクァルナから称賛の声を浴びて、グランはまんざらでもなさそうな表情で頭を掻く。
どんな人間にも背景がある、というのを理解していても簡単に歩み寄れる訳ではない。実のところグランもそれは変わらない。
「偶然だよ。たまたまみんなが道を譲ってくれて、たまたま『アスタロの禍』を語ってくれたから、インティグキラールを悪と一方的に決めつけずに済んだだけ」
『ふーん。あたしは別になんでもいーけどね』
「ふぁーーーあ」
疲労困憊の炭鉱夫、ガウシがむくりと上半身を起こす。深く息を吐きながら腕を回して調子を確かめている。
少しだけ彼の爆速移動の仕組みを仲間達から聞かされたが、よくもまあ骨折も脱臼もしないで済むなと感心した。そのおかげで今回は助けられたのだ。
と、上体をゆらゆら揺らしながら呆けている彼を見ていたら疑問に思っていたことを思い出す。
「ガウシ、お前は……その、とんでもない女好きという話だけど、なんで今回この戦いに介入した?」
「なんともまあ正直に言ってくれますねぇ。けどそうですねぇ、決してあなたの為でないことは確かといいますかぁ」
『…………はあ』
「なんとですよぉ! って、こんな外の人にぃ、わざわざ言う必要もないですよねぇ」
「なんだよ!」
やっぱ言わない! と好奇心を煽るスタイルのなんと悪辣なことか。弄んでいるとしか思えないじゃないか、とグランは不満オーラを全開に放出する。
答えてくれないなら聞く相手を変えるまで。
「クァクァルナは何か知らないのか」
『はあー、言いたくなーい。ほんとやっかーい』
弾を媒介にこちらまで吹きかかるんじゃないかと心配するほどの大きなため息だった。言いたくないと断言されるまでの、相当に嫌な理由があるとすぐに察した。
視線を戻せば、ひとり何を考えているのか、振り子みたいに上半身を揺らす炭鉱夫の姿。男に興味ないとは言え、こうも一瞬で自分の世界に引き篭もるとは。
『はぁ、仕方————』
言葉の途中で『伝達弾』の効果が途切れる。
ガンッ! という着弾音が、狙撃手の腹に積もった鬱憤を乗せて代弁しているかのようだ。
『ガウシ、言っておくけど』
「——え、ルナちゃんに話しかけられましたぁ?」
『言っておくけど、あなたとの約束は全部嘘だから』
「約束?」
クァクァルナの指摘から一切の抑揚が廃されていた。
話を聞くに、二人の間で何かしらの約束が交わされたことでガウシはやる気満々になって加勢した、という流れだろうが、それをクァクァルナが嫌がり、対して女好きの彼が喜びそうなこととなると……
「がああーーーーーーーーーーーーん!! そんな、そんなぁ、せっかくルナちゃんとイチャぶはあッ!」
瞬きをしたタイミングで、魔法弾を直接ぶちこまれたガウシが視界から消えてった。これは痛い。これ以上追及はしない方が身のためかと苦笑する。
『そーゆー訳だから、あなたも静かな内に洞窟抜けちゃいなー』
「はは……本当にありがとう、クァクァルナ。これで多分、仲間の毒も回復できる。恩は忘れないし、この解毒草もしっかり育ててみせるよ」
『ん。後で下層のみんなにも言っとく』
「それじゃ、元気でな」
インティグキラールによって切り崩された崖の、ずっと向こう側に視線を向けて手を振る。敵意こそ向けられていないが、弾道からしておおよその位置は分かる。
『ざんねーん、私はそこじゃない』
「ええ!?」
最後も結局締まらないまま、握り拳一杯の恥じらいをよそにグランは洞窟の出口まで歩みを止めない。
時間にしてみれば数時間、決して長いとは言えないけれど濃い体験だった。邪悪に囲われた世界でも、現地の人たちはまだ根強く生きていて、それぞれの主義主張があって、これからも生き延びる力を持っていた。
(シンダーズには悪いけど、この世界に飛ばされて最初の波乱がドデカイ魔物とかじゃなくてよかった)
最初にこの、人の強さを知れたから頑張れる。美辞麗句を並び立てるつもりは毛頭なくて、本心から、寂しい世界で生きていく活力になり得ると感じたのだ。
と、今日のことを振り返っている内に、光(と言っていいのか分からないが、洞窟内よりは明るい)を視界に収める。
「お、お! おーーい! グラーーーン!」
その明るさのための逆光も特になく、大きな声で迎える短い紺の髪にトゲ棍棒を携える彼女の姿も、対照的にその横で黙して迎える角刈りの仲間の姿もばっちり視認する。
「ブリアナ、ゲミューゼ、これはこれはお待たせしました」
「なんだ? 急にかしこまったフリなんかして」
「なぜかって、そりゃあ」
「ふん、俺らを逃すなんて荒唐無稽な策を決行させたんだから当然の態度だな。第一、自分の身は自分で守れとは魔獣との戦いで忠告したことだが、圧倒的強者を前に犠牲になれと行った覚えはない。第二に、お前が敗北した場合、俺らがいつまで待たされることになるか——」
とんでもない舌弁でグランの罪の重さを並べ立てるゲミューゼの迫力たるや、甘やかされた村育ちの坊主グラナードからして初めての感情を抱かせる。これが大人に怒られるということなのか。
「まあまあゲミューゼ、怒るのは帰ってからでいいだろ。この件に関しちゃ、あしもゲンコツ喰らわせてやりたい気持ちだからな」
「ゲンコツ痛そう……」
「え? お望みなら棍棒でもいいけど」
「お望みじゃないですごめんなさいぃッ!!」
お叱りモードを少しでも和らげようと試みる子供の策は大人に通じないと分かったところで、ばつの悪さもそのままに、グランは洞窟からの脱出を現実のものとした。
決して明るいとは言えない、むしろ結晶の光の差す洞窟内の方が明るかったとさえ思えるけれど、めいっぱいの新鮮な空気を肺いっぱいに詰め込む感動も一入か。
「——シンダーズが待ってる、帰るぞ」
「「おうよ!」」
黒龍の天使のような両翼が空気を押し退けると、あっという間に洞窟の入り口は視界の外へ消えていった。
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ちゃぷちゃぷ、と赤紫の解毒草が水に浸されて、解毒成分がじんわりと染み出してくる。粘性のある薄い赤紫の液体がボウルに溜まっていくのを、手でかき混ぜているルーシャを含み誰もが見つめる。
「はい、では塗っていきますよ」
「ま、また患部が黒ずんできてるから慎重に頼むね。容赦のない薬漬けは怖いからね」
「わかってますって」
そーっと、そーっと掬い上げられた解毒薬がシンダーズの傷口に近づく。一滴たりとも無駄にはしまいと、塗る手とは別でその下に受け皿のように手を添えて、毒で再び凝固しつつある傷口に触れる。
「ひぃ! 痛くない……ことはないけど叫ぶほどじゃなかったね」
「そりゃあだって、お前昼間塗った時も平然としてたじゃないか」
「時間が経つとやっぱ怖いもんなんだよね!」
傷口はもちろんその周囲一帯も既に固まった血でふっくら腫れ上がっていたが、やはり解毒効果はかなりの即効性を持っていて、どろりと氷みたいに溶けていく。
「うん、グロいよな」
「はい、グロいですね」
「そうだね、溶けた塊から紫の血が噴いてて貧血が心配だね——って、朝から晩まで一日中不安を煽られて本当に心配なんだからね!!」
「朝から晩までって、まさか?」
「そのまさかなんだね! ルーシャがいじめてくるんだよね!」
ブリアナ、ルーシャに続いてシンダーズ自身も解毒過程の不気味さに忌避感情を露わにしたかと思えば、また別の意味で吠え始める。
第一印象からして、紅の髪をいじって微笑むルーシャは清廉そのもの。陰で人をいじめる姿を想像だにできない。
「グランさん、顔に出過ぎです。そんな目で見ないでくださいよ!」
「いやだって……」
「皆さんが解毒草を摘みに行く間は寂しいから賑やかしてただけですよ、もうっ!」
「いでで! ほら、グラン見たよね、いま傷口叩かれたからね! 決定的瞬間だーーって、その顔何なんだね。いや言わずとも考えてること分かるね、顔に出過ぎだよね!」
「まあまあ落ち着けって。後で美味しいお肉でも焼いて食べようじゃんか。ほら確か、グモー、みたいな名前の」
「グモゥだね。グランはまだ食べたことないから知らないだろうけど、最高のお肉なんだよね。ガチでね」
そうやってシンダーズの注意を食欲で逸らすことに成功すると、解毒作業も一段落。ルーシャは薬を塗り込む手を止める。
「それで……」
顔を上に向け、不思議そうに黙り込む。そのルビーのような、誰もが羨む紅の瞳が映し出すのはグランでもゲミューゼでもブリアナでも、そして黒龍でもない。
そして、食欲を上回る目の前の謎に興味津々のシンダーズと声が重なる。
「そこの男の人は、誰なんでしょう?」
「そこの男の人は、誰なんだね?」
すなわち、彼らの新たな関心の的はこの男——。
「なるほどな。お前らの仲間がどんなものかと興味を持ってみれば、ただの腑抜けどもの集まりだったとは。先が思いやられる」
「「は あ あ あ あ あ あ ? ?」」
洞窟で出会った鉈使いの青年シルラプラ・オ・ニは、開口一番ルーシャ達に挑発をかましたのであった。
事のあらましは、決して複雑なものではない。
インティグキラールとの激戦の最中に現れ、しかし観客として最後まで戦いに介入しなかった彼である。『お前の盛大な大見得と引き換えに毟り取った俺らの解毒草だ。その行く末を、しかと監視させてもらう』とは、一行がラグラスロに乗って飛び立とうとする寸前に放たれた、まさしく外界を嫌う男の言葉だった。
「あたしとゲミューゼも、最初は新手の登場かとヒヤヒヤしたものだ。したらグランがあたしらより驚いた顔してそいつの名前を叫ぶもんだから、ますますグランより驚いた顔しちまったよ」
「なんだいその理解に時間を要する説明はね……」
「それで、そのシル……ラプラさん? は味方になったという理解でよろしいですか?」
「ふん」
ルーシャの疑問に鼻を鳴らし、上から目線の態度を変えることなくシルラプラは答える。
「誰がお前らの仲間になるか。俺はそこの、解毒草を育てるなんて豪語した小僧とその一派を監視するためにいる。じゃれ合う気も、お前らの旅路に供する理由もない」
「うん、つまり不安要素ってことだね」
「(おおシンダーズ、そんな本人を目の前によく言うな……)」
しかし、ただでさえ少人数で闇の世界を渡り歩こうとしている現況で、そこに非協力的な人が混じることを不安要素とする意見は正しい。懸念点は極力少ない方がいいに決まっているが、シルラプラにはそんな懸念もお構いなしなことだろう。出方は窺わなくてはならない。
空気が緊張の色を呈しだした頃合い、ルーシャが控えめに挙手をする。
「あと、もう一つ疑問があるんですが、いいですか?」
「おう」
「彼の言い分だと、グランさんが摘んできた解毒草と、その種子。これを近場で育てるだけなのにわざわざ監視するということですよね。なら、何か解毒草の育成にも特殊な事情があると考えていいでしょうか」
「——ほう、腑抜けの集まりにも優秀な人間がいたか」
「さ、さっき私のことを腑抜けって言ったくせにですか!?」
「訂正しよう、腑抜けなりに頭が回る」
「むう。いち財閥の娘としてこのような言葉を無闇に使うのは気が引けますが、この人は嫌いですね」
改めて説明しておくが、ルーシャは魔法開発に関して世界三大派閥と呼ばれる内の一家、アプス家の令嬢である。幼い頃から多くの教育を受け、一挙手一頭即まで徹底して鍛えられてきた。
今は仲間たちに囲まれ、その言動も一般的なものに溶け込もうとしているが、だとしても、その気品あるミステルーシャ・アプスをして本人を目の前に「嫌い」と言わしめるシルラプラは尊大であろう。
「なあゲミューゼはこいつどう思うよ」
「どうって……いや、まだ判断に迷っている」
「あたしも同じく」
「——そんなことはどうでもいい。小僧、お前はどこで、どうやって解毒草を育てる目算なんだ?」
「最初から思ってたけど、お前に小僧って言われるほど歳離れてないからね?」
そんなこととは言いつつも、やや言い淀んだ風な彼の内心を知ってか知らずか、グランは皆を連れて向かう。
「グラナード、どこに行くつもりだ」
ゲミューゼの疑問に対する答えは、その道が自ずと教えてくれた。まだ闇の世界に放り込まれて一日、その中でグランが知る場所といえば一つである。再湧きする魔物たちを掃討しつつ、深まる森を歩んだ先にあるもの。
「この解毒草は特殊な環境下で育つんだ。特に、豊富な鉱分が含まれる川の終着点。あれに似た環境を探すとなると骨が折れると思う。けど」
「なるほどな」
「うん、洞窟で貰ってきたこの土。それとこの、湖の神聖な水質ならもしかしてって考えたんだ」
シルラプラは感心して頷く。それは眼前の景色の雄大さと荘厳さに対して。そして実際に解毒草の成長に適合しそうだと直感で理解したから。
ただし、同時に困惑も彼を襲っていた。
「懸念点が一つある。外の世界をこうして遠くまで進むのは初めてだが、目の前に広がるのが湖と呼ばれることは理解した。ならそのど真ん中を居座る巨体は何者だ?」
「ヘキサアナンタ、だね」
「名称で説明されても分かるわけがないだろ」
「簡単に言えば、頭が六つあるデケェ蛇だ。蛇は分かるか? 知らなかったとしても、とりあえず普通に戦って勝てる相手じゃないってことが分かればいい」
ブリアナがそう説明を加えると、いまもとぐろを巻いて沈黙を保っている大蛇の不気味さがより引き立つ。どうしてこんな美しい湖に住んでいるのか、全く理解が出来ないほどに。
しかし、ヘキサアナンタに関して言えば、彼らにとって重要なのはただ一つ。
「あたしらは、一ヶ月の後にあいつを討つ。そんな場所で解毒草を育てるなんてのは、なんだ、毎回様子を見にくる度に身が引き締まるってものだよ」
「呑気だな。お前らの語り様では、奴とは激戦を強いられる。なら、解毒草が戦いの余波に巻き込まれて台無しになるとは考えないのか」
「あっ……」
「は? まさか本当に対抗策もなしにここまで歩かせたのか。その知能指数は小僧そのものだな、小僧」
大蛇と戦ったことあるブリアナ達ならともかく、グランにはあれがどれ程の規模の攻撃をするのかの情報は全く無かった。直接的な被害だけではない。戦闘の影響で湖に大きな波が発生し呑み込まれることもあるし、森の魔物も食事の為に貪り尽くす可能性だってある。
全くの盲点。シルラプラの指摘通りの甘ちゃんだ。
「そういうことでしたら」
自身の考えの稚拙さに悔いるグランに手を差し伸べるかのように、皆に守られて同行したルーシャの一声が上がる。
「私は攻撃魔法を扱えない。アプス家の人間としては落第点の存在ですが、それ以外ならできます。特に私の得意分野は結界魔法です」
「結界?」
「はい。種類によって様々ですが、百聞は一見に如かずと言いますし、実際にご覧になった方が早いでしょう」
仲間に距離をとらせて湖の岸辺のスペースを確保すると、両手で三角形を描いて胸の前へ。小さく詠唱を始め、ルーシャの紅が青い光に包まれ、空間に模様が描かれる。
変化は一瞬だった。
幾何学的な模様を埋め尽くすようにして透明な、それでいてガラス質にも似たドーム状の何かが一帯を覆っていた。これこそが、結界。
「この結界があれば邪な存在の侵入を防ぐことができますし、そう簡単に破られることはありません。もし破られたとしても、私が感知できますのですぐお知らせします」
「俺が触っても通り抜けるんだな。これはすごい」
「腑抜け界の秀才なだけはある」
「はい、どうもありがとうございます」
最後の感謝にはどうも感謝以外の感情が籠っているらしかったが、何がどうあれ拍手を送らざるを得ない。
「本当に凄いよルーシャ! なあ、その結界魔法があれば探索も捗るし何より一緒に戦えるんじゃ」
「グラナード、それは——」
「いえ、私なら大丈夫ですから」
結界で盛り上がったグランを諌めようとするゲミューゼに優しく微笑み、向き直す。その笑みは元気の象徴ではなく、どことなく哀愁、あるいは悲観のそれに感じられて。
だから思い出した。自己紹介を済ませた昨夜、アプス家としての矜持を守れない自身の境遇を憂うあの表情を。
「グランさん、すみません。そのお誘いは受けたことがあるのですが、先程皆さんに守られながら森を進む間も、やはり今の私には戦う覚悟ができていないと実感してまして。ですから、ごめんなさい」
「ああいや、こっちこそ、ごめん」
沈黙がむず痒い。ただ、この緊張感が必要だった。
大蛇ヘキサアナンタとインティグキラールではどちらが強いのか。同じ土俵で比べるのは見当違いかも分からないが、過去の戦いで死傷者が出ている事実。
(ゲミューゼに口出しされるのも無理はないな)
結界魔法で護ってもらおうなど、それではいつか足下を掬われる。闇に染まった世界で生きていく為に必要なことは、既に学んでいるはずだ。
「絶対に倒す。そんで試練を乗り越える」
「それでいい」
「ふう、空気がピリピリしたときはどうなることかと思ったね」
「なーに他人事のつもりでいるんだ。あたしもシンダーズもやるんだよ、ったく」
闇夜は決して彼らを応援しない。不気味に木々を揺らす風と、常に獲物を求め縄張りで湧き続ける魔物。
世界を変える、なんてのは未だ夢物語の域を出ない。それでも次へ続けていくため、歓声のない闇を引き裂いて、彼らは試練に挑む。そう、決意を固めた。




