幼馴染が使用済みのおふだで作った千羽鶴を持ってお見舞いにきた
俺は病気で入院している。
ある日、委員長(山田)がお見舞いに来てくれた。
「安田くん! 早くよくなってね!」
彼女の手にはみんなが一生懸命に作った千羽鶴が――あれ?
明らかに異様な見た目の千羽鶴に僕は違和感を覚えた。
普通はカラフルな見た目になると思うのだが全体的に色がくすんでいる。
そして、なにかの文字が偉く達筆な書体で紙に書かれていた。
「ねぇ……その千羽鶴なにでできてるの?」
「え? 『おふだ』だけど?」
おふだを千羽鶴の材料にしたりしないだろう。
「ほら、病院って夜に幽霊がでるっていうじゃない?
だから安全のために『おふだ』で作ろうと思ってさ。
ちゃんと力のありそうなお札を探すために、
心霊スポットを回って集めたんだよ♪」
「えええええええええええええっ⁉」
何してんのこの子⁈
それ普通に窃盗だからね⁉
「心霊スポットなんて、どうやって入ったの⁉」
「柵を乗り越えたりとか窓を割ったりとか。
あっ、大丈夫安心して!
怪我はしてないから」
不法侵入ぅぅぅぅぅぅぅ!
器物損壊ぃぃぃぃぃぃぃ!
あとテメーの心配はしてねぇぇぇぇ!
「千羽鶴をつるしてる紐はね。
自殺の名所で集めたロープで作ったんだ!
きっと強力だよ♪」
それ遺失物横領ぉぉぉぉぉぉぉ!
ちゃんと交番に届けろよぉぉぉぉぉ!
「ヤバイよ、ヤバイよ!」
「え? なにがヤバイの?」
目の前にいる犯罪者(山田)は悪びれることなく平然としている。
ダメだコイツ、早く何とかしないと。
俺はおふだ千羽鶴を解体し元通りの場所へ返すように伝える。
初めは渋っていたが、警察に通報すると言うとしぶしぶ従う山田(犯罪者)。
たとえ廃墟だとしても、勝手に入って物を持ち帰ってはいけない。
まぎれもない不法行為である。
「でも、そうしたら幽霊が……」
「大丈夫だって、平気だから」
「……え?」
山田(犯罪者)の肩についていた悪霊を手でさらっとはらって浄化する。
もちろん彼女は何が起こったのか気づいてすらいない。
「んじゃ、さっさと帰ってくれよ」
「ううん……分かったぁ」
すごすごと退散する山田(犯罪者)。
彼女が帰ったらベッドの上で背伸びをする。
俺には物心ついたころから『見える』力があり、それに対抗する能力も備わっていた。
この病院の幽霊を退屈しのぎで全て除霊してしまうくらいには強い。
怖いものは何もない俺だが幼馴染(山田)だけは怖いと思う。
あいつの行動は予想できないんだよなぁ。
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