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05 某月某日 濡れながらも固く閉じた割れ目に進入!

ここは倉田さんの部屋だ。

 ベッドに机はシンプルな物が置かれ、部屋の真ん中には小さな座卓とクッションがあった。女性の部屋らしく、姿見も置かれている。

 倉田さんは、ベッドに座り込んでいた。

 壁紙は白で、アイドルのポスターに、乙女ゲーのポスター、北陸プロレスのポスターが貼られている。

 若干、倉田さんの趣味が理解できないが、そんな倉田さんが好きです。


 倉田さんが、緊張した面持ちで僕を見つめる。

 そっと、指で僕をつまんだ。

 さらに、自分自身の指でその敏感で繊細な割れ目を大胆にも開いた。

 割れ目の周りには、細い毛が生えていて、どこか扇情的だった。

そして割れ目の中は、溢れるほど濡れていた。

 倉田さんは、やはり始めてということもあり、怖いのかも知れない。

 僕を掴んだまま躊躇しているようだ。

 時間はあるので、ゆっくりでいいんだよ。

 倉田さんは息をのんで、そして覚悟が出来たのか、僕をそっと割れ目へと導いていく。

 少しずつ、少しずつ、割れ目に近づいていき、そっと触れた。

 体液に濡れて、熱いほどの体温が伝わってくる。


「い、違和感がある……」


 倉田さんが、初めてと言うこともあり、どこか戸惑った様子だ。

 しかし、痛みはないようで、それは一安心だ。

 倉田さんが割れ目を閉じていき、さらに僕は一体感を感じる。

 これが、倉田さんの中なんだ。

 体液が熱く、ぬるぬるして、気持ちいい。


「動いても、大丈夫かな?」


 倉田さんが、不安そうに呟く。

 痛みはないようだけど、違和感があるのだろう。

 やっぱり、心配だよね。

 しかし、僕も初めてだし、本当に動いても良いのだろうか?

 でも、倉田さんは、何度も何度も割れ目を閉じて、僕をフィットさせていく。

 

「よし大丈夫」


 そう言って、倉田さんは立ち上がった。

 姿見の前に立つと、全身が映し出されるが、倉田さんは顔をジッとみつめる。

 割れ目の中に、僕がいた。

 そう、目の中だ。

 本日は、コンタクトレンズに憑依してます。

 うん、瞳の中に入るというのは、なかなか特殊な感じがする。

 しかし、これほどまでに、倉田さんに接触したことがこれまであっただろうか、いやない(反語)。


「さて、出かけないと」


 倉田さんが壁掛け時計を見て、部屋から出て、おばさんに出かける旨を伝えて家の外に出る。

 ああ、今は夏休み。

 蝉の声がうだるほどに五月蠅い。

 倉田さんは、日傘を差してゆっくりと住宅街を歩き始める。

 だが、なんだろう。

 なにか、不穏な気配を感じ取る。

 これは、視られている?

 妙だなと思いながらも、倉田さんは特に何も感じていないのか、ゆっくりと歩いて行く。

 僕の目に、前から歩いてくる人影が見えた。

 白いワンピースに、麦わら帽子を被った女性だ。

 年齢は十代後半ぐらいだろうか。

 特におかしな点もない、普通の人だ。

 いや、もしかして、目の前の人物が、不穏な気配の元では?

 そのまますれ違いそうになってボソリと聞こえた。


「無駄な使い方を」


 と。

 倉田さんが不思議そうに立ち止まって、女性の背を見るが、特に気にせず結局歩いて行く。

 しかし、僕は気になって、コンタクトレンズから幽体離脱した。

 とても名残惜しいが、なにか気になる。

 幽体になって、件の人物を追いかけていく。

 幽体になると、いくらでも空を飛べたりできるのだけど、地面を走る方が早かったりする。

 件の人物においついて、正面から顔を見る。

 とても顔が整っていて、肌は驚くほど白い。

 三白眼が、ややキツそうな印象を受けた。

 あとおっぱいが大きい。

 凄く大きい。

 めっちゃ大きい。

 びっくりするぐらい大きい。

 溢れんばかりに大きい。


「もしもし?」


 問いかけてみるが、特に反応は無い。

 たまに霊能力がある人は、見えたり、声が聞こえたりするけど、そうではないのだろうか。

 とりあえず、何の反応もないので、おっぱいに手を伸ばしてみると。

 僕のほおを鉄拳が捕らえて、吹き飛ばされる。

 痛い!

 思わず転がって、ほおを押さえながら見上げると、件の人物が腕を組んで、見下ろしていた。

 腕を組むと、凄くおっぱいが強調されていた。


「この悪霊が……」

「あ、やっぱり見えてました?」


 悪霊じゃ無い、生き霊です。


「見えているが、うざいから無視していたのだ。それをあろう事かセクハラしようなどと」

「だって、反応が無かったので」

「ええい、やりようがあるだろうが、やりようが!」


 ということがあり、この後僕は、三時間にわたって炎天下の中説教をされた。

 しかし、これがあの事件の始まりだったなんて。

 彼女の名前は、三橋楓(みつはしかえで)。悪霊退治をするゴーストバスターだ。古来から伝わる陰陽術と現代科学を組み合わせたアンチゴーストマジックの使い手。彼女は、機関の一員であり、原因不明の昏睡状態に陥っている患者達を調べていた。僕もその調査にかり出されることになり、その原因がとある大悪霊であることを突き止める。手始めに被害者が言ったとされる古いトンネルに向かうと、何故か幾ら歩いても出ることが出来なくなり、清めの塩を振りまくと、落ち武者の亡霊が現れ襲ってくるのだった。僕はあまりの事態に動けずにいると、彼女は亡霊達をガチ殴りして浄化させていくのだが、僕は揺れるおっぱいに目が釘付けになってしまうのだった。その後、能力の使いすぎで満身創痍になった僕たちは、仕方なくラブホテルで泊まることになる。特にイベントも無く一夜が明けて、とある廃墟に向かうことになる。廃墟の中で激しい戦闘になり、僕も彼女から貰った対霊銃を使って援護射撃をする。大悪霊を突き止めたところで、卑劣な罠にかかり絶体絶命のピンチに陥るも、僕の幽体離脱能力によって窮地を脱っした。彼女は封印を解除して真の力を発揮し、大悪霊を消滅させることに成功する。その時、衝撃でおっぱいが凄く揺れた。だが、廃墟が倒壊し始め、僕は力を使い果たして動けなくなった彼女を抱きかかえながら間一髪で廃墟からの脱出に成功する。後日、入院している彼女に会いに行くと丁度目を覚ましたところで、あんたもそこまで悪くないわねと言われ、初めてデレを見せてきて、じゃあおっぱいを触って良いかと問いかけると、マウントを取られてガチ殴られ、五時間にわたって説教されることになる。

 と、そんな展開になるなんて思ってもいなかった。

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