04 某月某日 そんな強く握られたら、出る、出る、出ちゃうよ!
クラスの中は、数学の授業中だけあって、静かだった。
皆が板書をノートに写す音は、どこか緊張感が漂っている。
数学の先生は、授業中に少しでも五月蠅くすると非常に怒るタイプだ。
そのプレッシャーを感じて、皆、緊張しているのだろう。
今日は、周囲に人がいる中、倉田さんが僕のモノを握っている。
長く、普通よりも太く、硬いモノを。
普通よりも太い!
そんなモノを、力強く、ときに優しく握られる。
時に、押して、時に回転まで加えられる。
ギュッと後ろの穴を強く押される。
そ、そんなマニアックな握り方をされるなんて。
あ、ああ、
そんな押されたなら出ちゃうよ。
Hなものが出ちゃよ。
で、出る!
芯が。
Hな芯が出ちゃったよ。
というわけで、今日は、倉田さんのシャーペンに憑依してます。
好きな人に握られて、後ろの穴をいじられて、Hなものを出すって、言葉にするだけで非常に胸の高鳴りを止めることなんて出来ない。
倉田さんは、定規を取り出して、ノートにマスを書き始めた。
マスを書く。
マスを書く!
マスを書く!!
ふぅ。
倉田さんが、僕でマスを書くなんて。
興奮が止まらない。
次に、微積分の問題に取りかかり始めた。
ふんふん、大した問題ではなさそうだ。
倉田さんなら、別に大した問題も無く解けると思う。
って、え?
なんか悩み始めた?
僕を握る手が完全に止まっている。
アッレー?
もしかして、倉田さんはそこまで数学が得意では無いのだろうか?
「えっと……」
困ったような声を出し、シャープペンの頭を唇にそっと当てた。
そう、僕が憑依しているシャープペンである。
唇の柔らかな感触が恐ろしいほど気持ちE!
僕の硬いものが、唇をグリグリグリと押しつけられる。
手で握られて、唇に当てられるなんて、そんなの耐えられるわけがないじゃないか。
で、でる。
出ちゃう!
出るー!
芯が。
カチッという音とともに、Hな物が先端から出ちゃった。
いや、Hな芯がデスよ?
それにしても、問題が解かれていかないのはどこかもどかしくなってくる。
教えてあげられれば良いのだけど、本体は教室のずっと後ろの席で幽体離脱しているわけでして。
あ、はい、寝ているのはいつものことなので、すでにあきらめられています。
いや、結局起きていても、僕ごときが倉田さんに話しかけるなんて恐れ多いことでして。
って、ああ!?
シャーペンの頭を、頭を、唇で押さないで!
もう、出ないよ!?
Hなものが、出ないよ!
もう、出し尽くされてしまったよ!
うん、出ません。
はぁはぁ、好きな子に、全部出し尽くされるとか、夢だよね。
しかし、出し尽くしたらなんだか、疲労感があるのは、どうしてだろう?
よく分からないけど、それでも、気持ちよくなってきて、意識が……
☆
気がついたときは、僕は真っ暗な空間にいた。
狭い?
それでいて、周りになにか硬い物で囲まれている。
……。
なるほど、筆箱の中か(名推理)。
時々、憑依したまま寝てしまうけど、今回もやってしまったらしい。
時刻は分からないけど、腹?の具合からして、既に放課後だろう。
僕も本体に戻って、帰るとしよう。
と思いきや、外側から捕まれる。
そして、急に光が差し込んできたかと思うと、僕は握られた。
倉田さん、久しぶりで……違!?
僕の目に飛び込んできたのは、夕日の差し込む教室とかわいい系男子の佐々木君の姿だった。
もう本当に、パッと見ただけだと女子に見えるほどの美少年だ。
だが、そんな佐々木君は一体何をしているのだろう?
寝ている本体以外は誰もいないけども。
「く、倉田さん。倉田さん!」
佐々木君はどこか興奮した様子で、僕をクンカクンカスーハースーハーし始め……って、君もか!?
お前もか!?
女子のシャーペンをこっそりクンカクンカするとか、変態だよ!?
引くわ!
「はぁはぁはぁ」
と、佐々木君は、カチャカチャとベルトを外し、学ランのズボンを下ろし始める。
おいおいおい、一体、何を始めるつもりなんですかね?
曲がりなりにも、寝ている人がクラスにいるのですが?
僕です!
あれよあれよという間に、佐々木君は僕が表したシャーペンを股間に持っていき……え、いやいや、そんな、自家発電とか。
あ、押しつけられた。
イヤー!
幾らかわいい系男子の佐々木君でも、股間に押しつけられるとか……アッレー?
覚悟していたはずの感触がない!
そう、所謂ソーセージ的な感触が無い。
代わりに、何故か肉と肉の間に挟まれたり、時々ちっちゃな突起物に当たって。
「倉田さん! 倉田さん!」
夕日の色に負けないほど顔を真っ赤にした佐々木君が、股間にシャーペンを押し当てる。
でも、男にあるはずの感触が無い。
ちょっと、冷静に考えてみよう。
佐々木君の行動を思い起こしてみよう。
その一、佐々木君は、トイレでは立ちションすることはない。
その二、佐々木君は、身体測定は必ず休む。
その三、佐々木君は、プールの時間も必ず休む。
その四、佐々木君は、クラス合宿では、皆と一緒にお風呂に入らなかった。
その五、佐々木君は、すっごい女顔している。
つまり、導き出される結論は。
お前、女かよ!?