人間界に舞い降りた哀れな天使
思い出したくない記憶ぐらい誰だってある。
君だってそうだろ?
無理に思い出そうとしなくていい。
君が苦しくなるだけだ。
僕にだってあるよ。
親友だった奴の言葉を今でも覚えてる。
でも…思い出したくはない…。
目の前で親友は殺されたんだ。
それは僕がこっちに引っ越してきた頃。
始めての友達がその親友だった。
そいつは僕と毎日遊んでくれた。
僕の我儘にだって答えてくれた。
僕の我儘のせいで親友は…。
僕はいつものように親友と遊んでいた。
でも、つまらなくなったから言ったんだ。
「なぁ、下界に行ってみようぜ。」と。
親友は少し顔を歪ませたが、承認してくれた。
そして、僕らは下界へ行ったんだ。
その時、両親に言われた言葉を忘れていた。
「下界には人間という生き物が居る。
人間には気をつけなさい。」
この言葉は嘘じゃない真実だった。
僕と親友は下界を満喫しようとしていた。
でも、それは不可能だった。
「お?あいつら、羽根生えてるぜww」
「おぉwすげぇw天使じゃね?w」
人間が僕らに気づいてしまった。
両親の言葉を思い出したのはこの時だった。
しかし、遅すぎた。
「羽根千切ってやろうぜww」
人間は親友の羽根に手を伸ばした。
僕は何も出来なかった。
ただ震えてた。
怖かった。
「離せ!」
「うるせぇなww」
親友は羽根を根元から千切られ死んだ。
そして、今、僕の目の前に死んだはずの親友が居るんだ。
その親友が僕に向かって言った。
「君ノ…羽根…僕二…チョウダイ…?」
僕は目の前が紅く染まった。
親友が最後に言った。
「ズット一緒ニ居テアゲルネ。
ダカラ、寂シクナイヨ。」