クレイジー ガール
合格発表、あの日から俺の心は彼女に奪われたまま。要はただの一目ぼれ。
その彼女が今目の前にいるだと・・・。クラス替え、新しいクラス。名前も知らない彼女、どんなこだろう、どんな声なの?もっと知りたい。
「相川 愛海です。」
くっきりした二重、幼い唇、黒々とした長髪、制服がよく似合う。それに、細身なのに巨乳で太ももも美味しそう。どこか眠たげで少し無表情な顔に、幼さと哀愁がわずかに残っていて。
「東条 裕也です」
俺の頭には相川しかなくて、相川から目が放せない。それなのに、彼女はけだるそうで。不意に、視線がぶつかる。・・・そらされた。泣きたい、帰りたい。
そんなことがあっても、俺は相川ばかりみている。ラインで友達登録してみる。相川も友達になってくれた、嬉しい。ベッドに倒れてじたばた暴れる。
「うるさいわよ!」
「ほっとけ」
「相川は止めた方がいいよ。ストーカーになりそうだし。それに・・・」
相川と同じクラスだった大和が言う。むっとしつつも、納得はいく。
なぜなら、彼女は毎日遅刻、ほとんどしゃべらない、表情が乏しい、それにいつも一人。正直、いいところとか外見しかない。気にかけても、何しても返ってこない。
「だからさ、みんな見ないようにしてたよ。あいつおかしいから。アイツ自分のこと可愛いとでも思ってんのかな」
何も返せなかった。明らかに聞こえたのに、大和は相川のステージにすら入れてもらえなかった様子だった。陰口をきいても傷つきさえしないなんて、究極の無関心。命の重さを感じさせない、人形のように。
彼女に不信感を抱きながら、日々をすごす。嫌だな、悪口を聞いても傷つかないくらいの無関心なんて、氷みたいだ。
「相川はサイコパス」「勉強できるけど人間性はくず」知れば知るほど、ほこりばかり出てくる。相川は音楽ばかり聴いて、他を眼中にも入れない。相川からしたら、景色がなんかしてる。いや、本当にただの景色なんだろう。みられてもいないのに残念な生き物だな、人間って。ああ、俺もか・・・
1学期の中間テスト、学年トップは俺、次位が相川。よし勇気を出せ、革命を起こすんだ、このままじゃ何も始まらない。
「相川さんって頭いいんだね。よかったら、一緒に勉強してほしいんだけど。近くの図書館で」
言っちまったー、赤面するな、耐えろ俺!だるそうに俺を見る。けどこれは、大きな進歩だ。彼女は誰のことも見てないんだから。・・・やめて、沈黙やめて。
こくりと小さくうなずくだけ。それはないだろjk!?いや、これは俺の中では偉業だ。照れ隠しだったのかもだし。
プラスに捉えなきゃやってらんないよ