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黒の物語  作者: 大和
3/4

第1章 始まり2

「ハァ、ハァ…ま、間に合っ…てないな…」

「ゼェ、ゼェ…そうだな…」

「この廊下、長すぎだろ…」

「ゼェ、ゼェ…そうだな…」


治広の言う通り、この竹前中学校の廊下は長い。

あくまで彼の体感だが、50mくらいはあると思われる。

それは、特にスポーツもしていない中学生が全力疾走し続けるのにはやはり長かった。


「初日から遅刻か…」

「ハァ…まあ、いいんじゃない?」


治広と航輔はそんなことを話しながら、ゆっくりと教室へ近づいて行った。

「ふぅ……ん?あれは…」

すると、教室の出入り口に誰かが立っているのが分かった。

「げっ…先生か?」

「いや、多分違う」

(先生は今、ホームルームの最中のはずだけど…)


と、その人物がこちらへ近づいて来た。

「に、逃げるか?」

「いやいや、逃げたって意味ないだろ?」


一歩一歩こちらに近づいて来る。

「……………」

「……………」


遂に二人の目の前までやって来た。そして、その人物はこう言った。



「君たち~、時間もう過ぎてるよ。もっと早く来てくれないと!」


「…………?」

「…………?」

((………誰だ?))


よくよく近くで見てみると、確実に先生でないことが分かる。

何せ身長は自分たちと対して変わらない。

髪はきれいに七三にわかれていて、正しくお坊ちゃまという感じだ。


「返事はどうしたんだい?」

「「あの……どなたですか?」」

2人の声が重なる。

「オーマイガッ!この僕を知らないなんて…。あぁ、君たちは何と哀れな人だろう。そもそも僕が───」

「はいはい、いいから。早く名前を教えて」

治広は話が長くなりそうだと感じたので、先手をうった。


「うん……まあいいか。僕の名前は高木護。将来的にはこの日本……いや、この世界を手に入れる男さっ!」

「「………」」

(…何なんだ、この男は…?)

(めんどくさいな…)

「フフッ…僕の威光に恐れをなして、何も言えないか。そうだろう、そうだろう。」

「………………………」

「………………………」

「おい、お前ら。席につけよ!」


気がつくと後ろに一人の男が立っていた。

が、こちらは確実に同級生ではない。

身長は180cmほどあるだろうか。

全身についた筋肉は、スポーツをしていますと言わんばかりだ。


「先生…ですよね?」

治広と航輔はこの人を知らない。

まあ、彼らは新入生なので、当たり前なのだろうが。

「あぁ、そうだ。ホームルーム始めるぞ!」


ニッコリと笑った先生の顔はその体格と真逆で、とても無邪気なものだった。



とりあえず言われた通り席に座る。

その順番は出席番号順、すなわち名字の五十音順なので……

「またお前が前か!」

「『真田』と『篠原』だからな」


まあ、こうなるのはいつものことなのだ。




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