01 prologue
シリーズ ハウメリス紀『君を喚ぶ声』の完結後に書き始めたいと思っていますので、しばらく更新はお待ちください。
内容が少し変更になる場合もあります。ご容赦ください。
私たちはこの世界で生き残った。この枯渇した大地で魔力も無くしてしまったけれど――その代わりとなる力を永い時間を世代に繋げながら培ってきた。この荒れ果てた星で生き抜く為に――
「どうせならこの記憶も封印してしまえば良かったのに……そうすれば失くしたものを思って嘆くこともなくなるのに」
世代に受け継がれていく先祖たちの記憶は、むしろ呪いでしかなかった。
失くした星の恵みと共に失った魔力の代わりに私たちは、科学を生み出した。科学は私たちの生活を楽にしたけれど、魔法の力に慣れてしまっていた先祖たちには、忌まわしいまやかしの力にしか映らなかったのだろう。いつも失われたハウメリスと自分たちの運命を嘆いていた先祖たちは、発達した科学をもって、自分たちの祖先に、幸せだったころの記憶を受け継いでいくように遺伝子操作してしまう。
もう何世代もの時がたち、いつしか以前の時代は忘れ去られる運命だったのに――私たちは先祖たちの呪われた楔から逃れられないのか……。
読んでくださりありがとうございました。