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魔力のウォレットワークス

異世界投資談義~移動平均・RSI・MACD~

作者: 白河リオン

投資に関する異世界ファンタジー長編執筆時に、投資の専門っぽいことを書きたくなって勢いで書いてしまったブツです。ローマ字やら横文字が多く理屈っぽいので本編からは切り離して興味がある方だけお楽しみ(?)ください。


※テクニカル指標についての記述内容は、あくまで主人公の考え方です。諸説ありますのでご了承ください。ご利用は自己責任でお願いします。

「これから使うのは、テクニカル分析という手法だ。これまでの相場の動きを分析することで、次の値動きを予測できることがあるんだ」


「テクニカル分析…ですか?」


 アイラは少し首をかしげながらも、興味深そうに聞き返してきた。無理もない、この世界にはおそらくはテクニカル分析の概念はない。取引所の近くで、チャートが印刷されたものを販売していたが、あれが1銘柄あたり10ディムもしていた。それに更新頻度は、週に一度程度だ。それだけこの世界の住人とってチャートを作るというのは骨の折れる作業なのだ。


「そうだ。価格の推移や取引量のデータを見て、そこから次の動きを予測するんだ。魔術回路の処理能力が高いアイラなら、それをリアルタイムで行うことができるはずだ。俺たちはそのデータを使って、瞬時に取引を判断していく」


「わかりました。具体的には、どういうことをすればいいんですか?」


「まずは、簡単なテクニカル指標を使ってみよう。移動平均乖離、RSI(アールエスアイ)、それからMACD(マックディ)。これらを指標にして、相場のトレンドや過熱感を掴むんだ。魔術回路でこれらのデータを解析して、俺に結果をリアルタイムで教えてほしい」


「はい、やってみます」


 アイラと俺はすぐに準備を始めた。それぞれの指標について解析結果がリアルタイムで出るよう算出式に基づいて魔法の術式を改変していく。


 作業の合間、アイラがふと疑問を口にした。


「アルさん、移動平均乖離ってどんな指標なんですか?」


 俺は手を止め、アイラに向き直って説明することにした。


「移動平均というのは、ある一定期間の価格の平均値を線で表したものだ。例えば、10日間の移動平均なら、過去10日間の終値の平均を毎日計算して、それをつなげたものが移動平均線になるんだ。これは相場の全体的な流れをつかむために使う」


「なるほど、一定期間の平均値を使って相場の流れを見るんですね」


「その通り。そして移動平均乖離っていうのは、今の価格が移動平均線からどれだけ離れているかを示す指標だ。価格が移動平均から上に大きく乖離している場合、それは相場が過熱している可能性を示している。下への乖離はその逆だ。つまり、売りや買いの判断材料として使えるんだ」


 アイラは頷きながら聞いていた。


「なるほど、なんとなくわかってきました」


「そしたらRSI(アールエスアイ)?とMACD(マックディ)?って具体的にはどんな指標なんですか?」


「まず、RSI(アールエスアイ)は、相対力指数とも言って相場がどれだけ買われ過ぎているか、または売られ過ぎているかを示す指標だ。こういう指標のことをオシレーターっていうんだ。RSIの場合は、その数字が70を超えると『買われ過ぎ』、30を下回ると『売られ過ぎ』と判断することが多い。この基準も使う状況によって変えることもある。これを使うことで、反転のタイミングを予測するんだ」


 アイラは頷きながら聞いていた。


「次に、MACD(マックディ)というのは、移動平均収束拡散法というものだ。簡単に言うと、短期間の平均と長期間の平均の差を使って、トレンドの転換点を見つけるための指標だ。短期と長期の移動平均線が交差すると、相場が転換する可能性があるってことだよ。」


「なるほど、トレンドの変わり目を捉えるんですね。ここでも移動平均が出てくるんですね」


「そうだな。移動平均こそがテクニカル分析で最も大事な要素と言っても差し支えない。移動平均は過去の一定期間における投資家の損益分岐点みたいなものだとも解釈できる。移動平均を上回っているか下回っているかは、参加者の心理状態をはかる上ではかなり重要な指標になるんだ」


「私、だんだんわかってきました。移動平均でみんな心理状態をはかりつつ、MACD(マックディ)でトレンドを見極めて、RSI(アールエスアイ)で過熱感を把握するんですね」


「そうだな。いろいろな指標を組み合わせて、相場の動きをより正確に把握するんだ。もちろん、これだけで完ぺきに予測するのは難しいけど、少なくとも勝率を上げる手助けにはなる」


「わかりました、アルさん。わたし、しっかり使いこなせるように頑張りますね」


 こうして夜は更けてゆく……

マニアックな内容ですが読んでくださりありがとうございます。

異世界と投資という組み合わせに興味を持っていただいた方は、是非下のリンクから長編の方も読んでみてください。そっちはもう少しちゃんとファンタジーです。

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