表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

たそがれ屋《改》

作者: 秋葉竹






なにを売るといって

たそがれを売るなんて



渓谷に向かう旅に

棄てられない夢が痛みだす



指のあいだをすり抜けて

掬い上げられない八月の満月を

県境の小さな駅で

みあげつづけた空が白むまで


どこまでもつづく長い砂浜では


忘れられた

真新しいパラソルが


終わりかけの夏の風に

吹かれている


朝になったから

もう還らなくてはと

じぶんを信じられれば

それで済めばガラスの靴も

脱がずに生きてゆけるのに




そして

一編のうたが

たそがれの空を舞う



たそがれ風



棄てられない夢の


白いのど元には


なにも棄てられないと


知ってグラスで飲んだ天然水


掬い上げられない


波間に揺れる満月をみて


月の優しさに


遊べない夏の終わりを感じ


それで済めば


ガラスの靴を脱がずに済むのに


そんな物語が沈む


たそがれ風の砂の城に住む






そんな物語が沈む

たそがれ風の砂の家に

いまは

住んでいる



そんな景色を売るなんて

言葉を貶めるより

いけないと想う


だから

たそがれ屋ってやつは

それだから

たそがれ屋ってやつぁ

だれからも

だれからも










評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  朝焼けと夕焼けを瞬間で切り取るなら、同じ太陽の高さなのに。  その線対象の座標にある太陽が浮かぶ空は、なんでこんなに印象的がちがうんだろって、思っていたところでした。  かわたれ屋もいる…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ