産業廃棄物処理場ロック
産業廃棄物処理場を
ひとりの痩せた男が訪れた
目はくぼみ
表情は見えない
男は
産業廃棄物処理場の社長にこういった
イメージアップのための
広告はいかがですか
美しい広告
そう美しい広告をつくりませんか
社長はまゆをひそめ こうささやいた
ここで働いている者のなかには
暗い過去があるものもいる
あまり公になることはかんべんだ
痩せた男はつぎにこういった
ではロックのライブをひらきましょう
暗い過去をもつその人々たちが叫び狂う
ロックライブを
3階建てのビルの高さまでつもったゴミの山がステージ
粉塵はスモーク
夜中の12時に開演する
誰にも伝えず公にせずに
警察が途中で乱入する
暗い過去をもつ人々がとりおさえられる
叫び声がひびく
エレキギターのハウリング
ドラムが破れる音
そして
産業廃棄物の山は崩れ
その反対側にある
「これを読んでいる
あなたの住んでいる世界」
がその隙間から姿を見せる