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ラプラスの人工天使  作者: 仮称
冒険者試験編
4/8

ACT3/コンクィートジャンゴゥ

 そして会話の間に差し込まれた『労災』と言うワード。


 実は古賀と壮年の男達(クオリア含む)らは、王国に上陸するまでは雇用関係にあった。

 使途は、ボディーガードの欠員補充。


 当然、古賀が雇われ側だ。


 古賀がクオリアと呼び捨てにする様から見て取れる通り。

 彼らの関係性は今でこそ対等(少なくとも上下関係はない)なわけだが、

 少し前までの古賀は彼らに対して、言葉は敬語、身体は警護を、と言う立場にあったわけだ。



 しかし臨時とは言え、古賀の容姿は子供そのもの。

 当たり前だが、素直に雇われることはなく、実際に任務が遂行できるのかを証明する必要があった。


 プロとして仕事を受けるにあたって、必要なのは。

 少なからず何らかの手段で、自身の力量を証明する事だが。

 更に、抜きんでたプラスアルファ(特技)が求められる。


 古賀達也の場合。

 前者は膨大な知識、そして後者は"魔法"であった。

 船上での護衛雇用の決め手となったのもそれである。


 なんせこの世界において、魔法は常識。

 古賀も最初こそ戸惑ったものだが、直ぐに受け入れたし……それ以上に慣れてしまった。

 なんせ異世界にやって来た時の衝撃と比べれば大した事ではない。



 そしてだが、この"異世界"と言う単語がクセモノなのだ。

 1度耳に入れただけで"なんとなく中世"、"なんとなく西欧諸国風"、とイメージさせられがち。


 それこそ古賀も少なからず。

『北欧神話辺りがモデルのおとぎ話』言わば『ドラクエ風』な、先入観を抱いたわけだが……

 ココでのソレはハッキリ言ってイメージとかけ離れていた。



『何故か荒くれ者が常駐するギルドやら』

『ダンジョンから一歩も出てこないゴブリンやら』

『やたら簡単に会える王族やら』


 どれもこれも存在しない。

 テンプレなご都合主義はおろか、世界観そのものが違うのだ。

 当然ゲームでもないので、ステータスオープンと叫んでも青白いウィンドウは出ない。


「剣と魔法のファンタジーねぇ……」

 ホテルのバイキングから取ってきたピザ(に似たもの)を手掴みでもつ達也。

 ワイルドに齧りつきながら、達也らは歩道に沿って歩いていく。

 ぽたりと零れたチーズがコンクリートにシミをつけた。


 ――剣と魔法、そして冒険。

 それらがこの世界に存在しないわけではない。

 何なら推奨すらされており、資格まである立派な仕事の一種である。

 しかし世界観は、と言うと……


 彼らの足元の大地は一面、

 いや、見える範囲全てが舗装されており、コンクリート(もしくは近い何か)が敷き詰められていた。


 街の風景もまた、現代の地球とも遜色なく。

 むしろ進んでいる様にすら見える。

 なんせ田舎の港町とは思えない程に街が発展しているのだ。


 これでは現代の地球そのものではないか。


 差し込んだ眩い朝日にエソラは目を細める。

 彼女が見上げると、背の低い陽光を窓ガラスが反射していた。

 それはそこらの一軒家の窓ではない。

 遥か高くへとそびえたつ、ビルのそれであった。


 一段一段、階段を登る事を想像すると、気が遠くなる程に背の高いビル達。

 彼らは得意げな顔で、その洗練されたデザインを誇示していた。


 達也が中東でよく目にした、2階や、精々3階建てのオンボロビルとは大違いである。


 10階近くやそれ以上の背丈を持つビル、マンションが偏在する辺り。

 この世界にはかなり高い建築技術が存在する事は自明である。

 それに地球と同じように、横断歩道や信号まであると来た……


「どうも雰囲気が出ねぇんだよな……』

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