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 木野さんを見ると、木野さんは大橋教授と、三田椿さん、そして水川杏さんと一緒にいた。

 三田さんと水川さんは、花嫁姿の葵を見て、にっこりと笑って、「おめでとう」を言ってくれた。


 そして、それから十年の月日が流れた。

 葵は立花葵から木野葵になって、旦那である木野蓮と一緒に、小さな家で生活をしていた。

 子供は一人、女の子が生まれた。

 今年で七歳になる女の子だ。


「ねえ、蓮さん。あの日のこと、覚えてる?」と葵は言った。

「あの日って?」

 いつものように仕事をしながら蓮が答える。

「私が蓮さんに告白をした日のこと」

 コーヒーを飲みながら葵は言う。

 葵はテーブルの上にある写真たての中の写真を見る。それは結婚式のときに撮った、みんなの集合写真だった。

「一度目のとき?」

「ううん。二度目のとき」葵は言う。

 木野さんはあれから結局、大学に残り、そのまま論文を書いて、大学に務めることになった。

「もちろん。覚えているよ」

 仕事の手を止めて、蓮が葵の顔を見る。

「冬の、寒い雨の日だった」葵が言う。

「十二月の一日。場所は正門前の中央通りの真ん中のところ。君は白いコートを着ていて、緑色の傘をさしていた」蓮は言う。

「そうだっけ?」葵は言う。

 葵はその月日は覚えていたけれど、自分の服装や、傘の色はもう覚えてはいなかった。

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