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85 葵 あおい ……あなたは今、どこにいるの?

 葵 あおい


 ……あなたは今、どこにいるの?


 その日は朝からずっと雨が降っていた。

 葵は緑色の傘をさして家を出ると、いつものように大学に向かって移動した。

 東高を卒業した葵は木野さんと同じ大学に入学した。

 そのころ、木野さんはその大学から同じ大学にある大学院に上がって、哲学科の大学院生となっていた。

 二人は同じ大学の構内で生活するようになって、以前よりもさらに頻繁に二人で会うようになった。

 もっとも、木野さんのほうから葵に会いに来てくれることは本当に稀で、いつも葵が木野さんに会いに、大学院のある建物の中にまで、移動していた。

 その日も、そんないつも通りのシチュエーションだった。


「こんにちは」

 そんな声をかけて、葵は哲学科の大学院生のいる部屋のドアをノックしてから開けた。

 すると中には木野さんではなく、木野の同僚の女子大学院生、水川さんがいた。

 水川杏さん。

 黒髪の長いストレートな髪をポニーテールにしているその人は、部屋の中に入ってきた葵の顔をじっと無言のまま見つめた。

「……木野さんなら、今日はいないよ」と少しして水川さんがそう言った。

「どちらにいるか、わかりますか?」葵は言う。

 すると水川さんは「さあ、それは知らない」とだけ言って、また自分の机の上でなにかの資料を書く(哲学の論文だろうか?)作業に戻ってしまった。

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