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67 桜 さくら 私に勇気をください。

 桜 さくら


 私に勇気をください。


「……これで神様へのお願いごとは終わりました」

 小森神社の中でお願いごとを終えた桜は後ろを振り返ってそう言った。

 そこには二人の人がいた。

 とてもかっこいい背の高い男性と、とても綺麗な女性の恋人同士の二人。

「ありがとうございました」

 二人はそう言って桜に礼をする。

 桜も同じように二人に礼を返した。 

 二人の名前は日野梓と梢明日香と言った。二人は西高と北高の生徒で、桜の中学校時代の、それから剣道の先輩である岡田匠先輩の友人ということだった。

 先輩の友人の恋のお願いごとをするのは緊張したが、桜はきちんと仕事をした。お金だってもらっている。

 それに桜は基本、真面目な性格なのだ。

「でも驚きました。こんなにしっかりとしたお願いごとを頼む人はあまりいないんですよ」桜は言う。

「すごくいい経験でした」梓は言う。

「うん。確かにいい経験だった」にっこりと笑い、梓を見ながら明日香が言う。

 幸せそうな笑顔だった。

 絵になるようなカップル。

 ……羨ましい、と仕事用の笑顔の後ろで桜は思う。

「ではお二人とも。こちらへどうぞ」と桜のお父さんが梓と明日香に言った。

「はい」

 二人はそう返事をして、手をつないだまま、桜のお父さんの後ろについて、小森神社の本殿をあとにした。

 一人になった桜は「ふう」とため息をついた。

「……私、なにやってんだろう?」

 ごろんと冷たい床の上に転がって、そんなことを桜は言った。

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