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「鈴。私は小森神社の娘だよ。縁結びの神様として有名な小森神社の巫女さんなの。誰かの恋を応援するのが、私の仕事であり、使命なんだよ」桜は言う。

「じゃあ、そんなのやめちゃえばいいじゃん」鈴は言う。

 桜は沈黙する。

「それじゃ、いつまでたっても桜が幸せになれないじゃん。……そうでしょ?」鈴は言う。

 桜は小さく、でも、確かににっこりと笑う。

「ありがとう、鈴。でも、私は幸せだよ。誰かの幸せが、きっと私の幸せなんだよ」桜は言う。

 鈴はじっと桜を見る。

 鈴はほかのものはなにも見ていない。ただ桜だけを見ている。

「でも、それは嘘でしょ? 本当の桜の気持ちじゃないんでしょ?」鈴は言う。

「うん。まあ、それはそうだけど……」と桜は言う。

 鈴と桜は幼いころからの親友だった。だから桜は鈴に嘘をつくことをやめた誰にも言えない本音を言った。鈴には桜の気持ちが全部、ばれているからだ。今更嘘をついたり、強がりを言っても仕方がなかった。

「なんで律くんを私に譲るようなことをしたの?」鈴は言う。

「そんなことしていないよ。私、律くんに告白したもん。鈴に内緒で。鈴よりもずっと早くに告白したもん。……ふられちゃったけど。だから別に譲ったなんて思ってないよ」桜は言う。

「私は、ずるい女なんだよ」

 桜はじっと鈴を見ている。

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