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 翌日、計画通りに鈴は律を南高の屋上に呼び出した。屋上に人がいないことを確かめると、二人は屋上の高い緑色のフェンスのところに移動する。

 空は真っ青に晴れていて、まさに絶好の告白日和だった。

「で、話ってなに? もしかして愛の告白?」と律は冗談ぽい口調で鈴に言った。

「そうだよ」と鈴は答える。

「え?」すると、律は本当に驚いた顔をした。

 それから律は急に真面目な姿勢になった。

「お前、俺の告白、断ったじゃん」真面目な声で律は言う。

「私じゃないよ。桜の告白」

「桜の? どういうこと?」律が言う。

「はい」

 鈴はカバンの中に大切にしまって置いた桜のラブレターを取り出すと、それを律に手渡した。手紙を受け取った律は桜の愛の詰まったラブレターを、なにか珍しいものでも見るような目でじっと見つめた。

「これを桜が? 俺に?」律は言う。

「そうだよ」鈴は言う。

「ちなみに、その手紙をこの場で受け取らなかったり、桜の告白を断ったりしたら、私、パンチするからね。律に」鈴は言う。

「……お前、俺の気持ち知ってるだろ?」律は言う。

「知らない。覚えてない」鈴は言う。

「じゃあ手紙。確かに渡したからね。絶対に読んで、桜に返事をすること。いいね。わかった!?」鈴は言う。

「……わかったよ」律は言う。

「よろしい。じゃあそういうことで」

 鈴は片手をあげて律にさよならをすると、そのまますたすたを歩いて屋上から出て行った。そして、南高の屋上には青空と秋山律だけが残された。

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