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「葵ちゃん、なんだか最近元気ないですね」と明日香が言った。
確かに明日香の言う通り、あの日から葵の元気はないように思えた。
「木野さん。葵ちゃんはきっとなにか悩みごとがあるんですよ。相談に乗ってあげてください」と明日香は言う。
「うん。まあ、そうだね。あとで少し声をかけてみるよ」木野はそう返事をする。まさかもう相談を受けたあとだとは言えなかった。
「こういうときは占いですよ。占い」と明日香の友人である茜が言った。
西山茜はこの日、明日香と一緒にお客としてお店に来店していた。
木野はそんな二人のいる席に、少し顔を出しているところだった。
「占いって当たるの?」木野は言う。
木野は占いに全然興味がなかった。
「それは占いをする占い師によるんじゃないんですか?」コーラをストローで飲みながら、明日香が言う。
「木野さん。駅前の占い師さんの話、知ってます?」茜が言う。茜はいつものようにその髪型をポニーテールにしている。
「知らない」
「なんでもすっごくよく当たるって評判なんですよ。私も占ってもらったことがあるんですけど、すごいですよ。怖いくらいに当たるんです。みんなはもしかしたら、あの人は本物の占い師なんじゃないかって、言っているくらいです。私も、実際に占ってもらって、思った感想といえば、確かにこの人は本物かもしれない、でした。もう、本当にすごいんです」と茜は言った。
茜は占いが大好きなのだ。
そのことは茜本人から聞いていたので、木野は知っていた。