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「前の奥さんの命日に私に愛の告白をするんですか?」育は言った。

「……すみません。いいきっかけだと思いまして」

 そう言って小道さんは、育の家に来る前に、奥さんの墓参りに行って、育に結婚の申し込みをすることをその場で伝えてきたと、育に言った。

 そんな話を聞いて、まあ小道さんらしいかな、と育は思った。

「今度私も、お墓参りに言ってもいいですか?」育は聞いた。

「もちろんです。野分さんさえよければ」と小道さんは言った。

「育です」

 と育は言った。

「育って、名前で呼んでください」

「……育」

 すると意外にも、小道さんは育の名前をあっさりと呼んでくれた。

 それで、本当に意外なほど、育の機嫌はすごく良くなった。(内心、やっぱりちょっとむっとしていた)


 それから一ヶ月後、二人は結婚をした。

 そして二人は一緒に、小道さんの前の奥さんのお墓参りに行った。

 小道さんの奥さんのお墓は隣の隣の街にあった。

 そのお墓の前で育は「安心してください。小道さんのことは、ちゃんと私が最後まで面倒を見ます」と心の中で小道さんの前の奥さんにそう言った。

「育さん。お墓の前で、……その、妻になんて言っていたんですか?」と駅までの帰り道で、小道さんは言った。

 小道さんは育と結婚した今も、育のことを育、前の奥さんのことを妻と呼んでいた。そう呼ぶことを育は小道さんに許していた。

「秘密です」

「秘密?」

「ええ。そうです。女同士の秘密です」と言って育はにっこりと笑った。

 その育の笑顔を見て、つられて小道さんもにっこりと笑った。

 それから、二人は道端で幸せなキスをした。


 野分 のわき 終わり


 あ、うん。私も好きだよ。大好き。本当に好き。(全編) 終わり

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