表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/123

117

 育は必死に泳いだ。

 するとしばらくして、育の目指している川岸に明るい光がいくつか灯った。その光を見て、それはきっと橋の上にいた木ノ芽さん夫妻と警察のかたからの「こっちに来い!」と言う合図の光だと育は理解した。

 育がその光に向かって泳いでいるうちに、その光はだんだんとその数を増していった。あの警察のかたが言っていたように、ほかの警察のかたが応援に来てくれたのかもしれない。

「小道さん! そこにいますか!」

 育は後ろを見ないままで叫ぶ。

「はい! ここにいますよ!」

 後ろから小道さんの声が聞こえた。

 それがすごく、すごく嬉しかった。

 育は荒れ狂う川の中を泳ぎ続けた。自分でも信じられないくらいに力が出た。きっと、この冷たくなってしまった朝顔を助けたい、と言う思いが、自分にこれほどの力を授けてくれているのだと思った。

 やがて育は光のすぐ近くまで川の中を泳いで移動した。その場所まで泳ぎきることに育は、きっと奇跡的に成功した。

 たくさんの眩しい光の中に、木ノ芽さん夫妻と、それから大勢の警察のかたの姿が確認できるようになった。

「育ちゃん!」木ノ芽さんの奥さんの声が聞こえた。

「木ノ芽さん。朝顔を! 朝顔をお願いします!」

 育はそう言って、ずっと腕の中に抱きかかえていた朝顔を、本来の朝顔の居場所である、木ノ芽さんの奥さんに向けて差し出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ