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「こんにちは、朝顔くん。紫陽花くん」
小道さんは二人を見てそう言った。
「こんにちは、秋葉先生」
と二人は双子らしく? 声を揃えてそう言った。
それから小道さんはすぐに家に帰ろうとしたのだけど、朝顔と紫陽花のお願いもあり、少しだけ、このまま野分家にお邪魔することになった。
このとき、育の両親は出かけていて、育は双子の朝顔と紫陽花と一緒にお留守番をしていた。
育は朝顔と紫陽花と一緒に縁側に移動した小道さんにお茶を持って行った。
「ありがとうございます」
小道さんはそう言った。
「いえ。とんでもないです」と育は言った。
それから育は小道さんの隣のところに横ずわりで腰を下ろした。
小道さんは小学校の先生をしていた。
朝顔と紫陽花は小道さんの教室の生徒だった。
育と小道さんが出会ったのも、二人のことが縁だった。
小道さんが朝顔と紫陽花の様子を見るために、家庭訪問に訪れたときに、道に迷っていた小道さんと偶然、育は出会い、小道さんを木ノ芽さんの家まで道案内したのだった。
それが二人の初めての出会いだった。
……その日も、今日と同じように雨が降っていた。