3話冤罪
遅れてすみませんm(*_ _)m
ドタドタ、ガチャガチャ。
寝ていた俺を起こしたのは騒々しい足音だった。目を開けて周りを見渡してみても特に変化は無い。姫乃がベッドで寝ていいと言うので寝場所が椅子からベッドにグレートアップしただけだ。しかし姫乃がいなかった。
初めは何事かと思ったが、足音がだんだん近づいていて俺(姫乃)の部屋の前でピタッと止まった。
俺は何事かと、身構えていたらドカンッと扉が吹っ飛んでいき、パッと見10人以上の完全武装した兵士が入ってき、俺を槍を構えながら取り囲んだ。
「ちょ、これどういうことですか?」
と、訊ねると兵士達の包囲網が1歩ぶん狭まった。
「貴様には!聖女様強姦の罪がかかっている!大人しくお縄につけ!」
「どういうことですか!?」
困惑しつつ、先程と同じ質問をした。すると兵士達が俺の正面を開けだした。そこを我が物顔がどしどしと歩いてくる奴がいた。
宰相だ。
「非常に残念だ。君がこんなことをするなんて」
声は完全に残念がっていたが顔はニヤついていた。兵士たちは宰相の顔が見えないので、さも俺のことを残念がっているように感じただろう。
「俺はやってない!」
「大人しくしろ!証拠は出てきているんだ!」
「証拠?どこにあるんだ!」
兵士はここで言い淀み、宰相の方をちらっと見た。宰相は顔を伏せながら小さく頷いた。
「聖女様が泣きながら言ったんだ!貴様に犯されたってな!」
「姫乃が...?」
俺は力が抜け座り込んでしまった。すると、それを見てか、初日にあった魔術師風の人が俺に手を掲げボソッと小さな声で何かを言った。すると手の方に『何か』が集まっていくのが分かった。その『何か』は十分に集まると俺の方に飛んできた。速くは無かった。今から避けるのも簡単に出来ただろう。しかし、俺は足と床が引っ付いて離れないような感覚に陥っていた。『何か』が俺に当たる直前に、部屋の外から声が聞こえた。
「和希く...」
◇
目が覚めるとそこは暗闇だった。何か光源をと思い軽く足元を探ったが何も無かった。そこでふと思い出し、ステータスを呼び出すと、ほのかに光を放っていた。
その光で周りを確認すると牢屋と言うより拷問室と言った方がいい場所だった。鉄格子は無く、6面の壁と、1つのドアだけだった。
床には大量の水が入ったボトル、10個の黒いパン、野菜の切れ端や芯の部分、干し肉が少量置いてあり、その横には3日とだけ書かれている紙があった。
後3日で何かが起こるのか、それとも3日事の配給なのかは分からなかったが、連中は俺を餓死させるつもりは無いらしい。
光が入ってこないのでどのくらい時間が経ったかが分からなくなってきた。
しばらく経つとお腹が空いてきた。黒いパンに手をのばすと、まるで鉄でも持ってるかのような硬さだった。
それを口に運び噛もうとすると少しも噛めなかった。そこで、勇気を振りしぼって一気に噛むとゴリっと嫌な音と激痛と引き換えに小さなパンの欠片が口に残った。
パンの欠片を飲み込み、パンを食べるのを再開した。
パンがなくなる頃には歯がボロボロになっていた。既に感覚は無く、程よくお腹が溜まったので眠気が出てきた。
それから歯を犠牲にしながらパンを食べ、眠るのを繰り返していた。驚いた事に欠けて、ボロボロになったはずの歯はしばらく経つと治りだした。
黒いパンがちょうどなくなった頃に、今まで微動だにしなかったドアが重低音とともに開いた。ドアを開けたのは姫乃の部屋で俺に色々言ってきた人だった。
「ついてこい」
ただその一言を言っただけで踵を返した。俺はその後を着いて行った。
俺が入れられていた場所はだいぶ地下深くにあるらしく、何段も何十段も何百段のぼっても終わりが見えなかった。
体感で1時間以上も階段をのぼり続けて、やっとドアが見えた。ドアの奥には牢屋があってさらにそこを抜けると玉座の間の所に出た。
それでも目的地はまだつかないらしく、俺はヘトヘトになりながらも、兵士の後ろについて行った。
やっと兵士がドアの前で立ち止まった。
「入れ」
兵士がそう言った。俺は膝に手をつきつつ1歩進むと誰かに背中を蹴られた。その衝撃で俺は前に倒れた。それと同時にドアが閉まった。
「最低だな」
「見損なったよ」
その声は俺にとって、とても聞き覚えのある声だった。