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第53話 ニューナンブM60型回転式多銃身機関銃

沢山の誤字報告、ありがとうございます(^^)

とても助かっております!!


―羽間視点―



 街中に黒いバイクが猛スピードで走っていた。


「(町の雰囲気が変わった? ――――――支配権を握られたか)」


 バイクで公道を疾走していた羽間は、道を行き交う人々が一斉に自分を見たことで、この世界の支配権の多くが敵に渡ったことに気付く。


「うぉ!?」


 途端、前方を走っていた乗用車が急ブレーキを掛けた。

 羽間はそれを上手く避け、更に前へと進む。


「くそっ、なんだいきなり。――――っなに!?」


 今度は前方の車が止まったかと思えば、いきなり車の扉が開き、羽間の進路を妨害する。

 羽間はそれをギリギリで避ける。


「(チッ。これからは目に見える奴等全員が敵になったと考えるしかないか……)」


 そう考えながら今度は次々と体当たりしてくる車達をあしらう。


「次から次へと……邪魔だぁああああ!!!」


 羽間はそう叫ぶが、状況は変わらない。


 歩行する通行人までもが羽間に敵意を向けているのだ。


「おい。アレは手配されている羽間じゃないか?」


「本当だ! 変態羽間だ!」


「史上稀に見る淫行教師だ!」


 歩道を行き交う通行人達は羽間に指を差し、周囲を歩く人たちに呼びかけるNPC達。


 道を歩く親子は、


「ママ―。アレなぁに?」


 と、子が聞き。


「shit。アレは倒すべき敵よ」


 と、親が教示する。


「イエス、マム」


 子供はとても素直なようだ。


 その間も車道を走る車やバイクからは羽間の走行の妨害がされる。


「(ふざけるなよ。何としても逃げ切ってやる!)」


 羽間はそう決意を固めていると、




ズドドドドドドドド!




「ん? ――――ぐっ!?」


 突如後方で連続して銃声が聞こえた。

 明らかに機関銃レベルの連射速度だ。


 その後、銃弾の一発が羽間の肩に掠り、くぐもった声を出しつつ発砲音の方向を確認する。

 後ろから聞こえたのは確かだ。


「警官? ……は? えっ? じ、自転車だと!?」


 サイドミラーで確認すると警官が左右後方から迫ってきているようだ。

 だが、彼等が跨る乗り物はただの自転車である。それが自身が乗るバイクと同等のスピードであったことに驚いた。

 車道をものすごい速さでペダルを漕ぎ、猛烈な勢いで羽間に迫る。

 その間、羽間を妨害した際に開いた一般の車は自転車が通行する際は素早く扉は閉じられ、異様に連携が取れていた。


「機関銃は既に無いようだな」


 後ろの警官達は拳銃を構えているが二人ともリボルバータイプの拳銃であった。

 他に先ほどの攻撃にあったような機関銃を持った人物は居ない。


「(アレなら余裕でかわせるな)」


 身体能力が上がった羽間にとってはリボルバー拳銃などただのおもちゃだ。

 当たってもそれほどダメージが無いため、警戒するに値しない。


 サイドミラーで警官達を見つつ、妨害してくる市民達を華麗に避ける。


「(余裕だな。このまま逃げ切り、尾野 駿を殺した後現実世界に戻ってやる)」


 そう再度決意した直後、


ズダダダダダダ!!


「うわぁ!?」


 突如機関銃の攻撃が行われた。

 先ほどと同じ後方からだ。


「なんだ!? 機関銃は持っていなかったんじゃ……」


 慌ててサイドミラーで確認する羽間。しかしそこには驚きの光景があった。




ズダダダダダ!!

ズダダダダダ!!




 高速回転するリボルバーのシリンダー。

 本来であれば5~6発で弾切れをするはずなのに、既に何十発も発射されている。

 まるでガトリングガンだ。




「うわぁあああ!? なんだよそれ、それ、そういった武器じゃねぇから!」




 あまりにも常識はずれな行為をする警官達に向かって言うが、彼等警官はそんな事はお構い無しで攻撃を続行する。


「ぎょわっ!?」


「ぎぇぇ!!」


 流れ弾が羽間を妨害しようとする車や人に当たろうとお構いなし。

 一般人は悲鳴を上げて倒れるが、攻撃は止まない。

 途切れる事無く警官達はガトリングガンと化したリボルバー拳銃を撃ちまくる。


「(一般道じゃ車が邪魔でスピードが出ねぇ!)」


 このままでは逃げ切れない。なので、高速に乗り換えようと思い、高速道路がある方向へと進むが、


「おいおい!!」


 だが、高速道路へと続く料金所はトラックやバスに横向きに並び、バイク一台が入る隙間も無くなっていた。


「くそぉぉおおお!!!うをっ!?」


 一般道へと引き返し、ガトリングガン? の弾を避けつつ元の車線へと戻るが、今度は一部の車達が逆走をしながら羽間へと襲いかかってきた。


「ダメだダメだ! 全員敵なら、せめて人が居ないところを進まないと!!」


 慌てて今度は歩道へと乗り上げる。


「うわぁああ!?」


「なんだコイツぅぅ!?」


「助けてぇぇえええ!!!」


 一般人のNPC達は突然現れ人を轢きまくる羽間に対し、恐怖による悲鳴をあげながら襲ってくる。


「邪魔をするなぁああああああ!!!」


 次々と人を轢き飛ばすが、強化されたバイクの性能により先程よりはスムーズに進むことができた。


「よし、よし! ――――――これでもダメかよ!」


 バイクの速度を上げても同様に自転車の速度を上げる警官達。

 動ける一般人はすぐに警官達の邪魔にならないように逃げるが、羽間に轢き飛ばされた一般人は道に倒れてすぐには動けない。そんな動けない一般人を自転車に乗る警官は平気で轢いていった。

 この時点で彼等には常識は通用しないと悟る羽間。


「なら、これでどうだぁあああ!!!」


 羽間は交通妨害が激しさを増す歩道や公道から逸れ、ビルに向かって突進した。

 そしてそのままビルの壁をバイクで垂直に駆け上る。

 窓ガラスにヒビの線をつけながら走る羽間は勝利を確信し、余裕の表情を浮かべる。


「ははは! これなら追ってこれまいっ――――!?」


 などと口にしたが、


「はぁあ!? 嘘だろ!?」


 警官達は迷い無く自転車でビルの壁を垂直に登る。

 速度は落ちていない。

 羽間のバイクのスピードと同等だ。


「ふざけんなよ!? って、うわぁ!!?」


 一般車という遮蔽物が無くなった事により、銃弾が当たりそうになる頻度が増す。

 更に悪いことに、警官達は羽間が行く先のビルの窓ガラスを打ち抜き、ガラスの破片を降らせた。


「なんなんだよこいつ等!」


 ガラスの雨を掻い潜りながら羽間はついに屋上へと到着。


「よぉし。いい物を見つけたぞ!」


 その勢いで屋上に設置されていたベンチを片手で持ち上げ、後方に投げた。


ガシャァアン!


 と派手な音が聞こえる。

 タイミングよく投げられたベンチは、そのまま警官一人に衝突。自転車から放り出された警官を見た羽間は、もう一人仕留め損ねたと判断すると、今度はビルを垂直に走りながら地上へと向かった。


ズダダダダダダ!

ズダダダダダダ!


 地上へ向かって走っている際も鳴り止まない銃声。

 しかも発射される音源は減っていない。

 どういうことだと羽間はサイドミラーを見る。


「(よし……。追ってこないな……っておいおい、まだ撃ってんのかよぉ!)」


 なんと、屋上まで上がってきた警官達はそのままビルの壁を走る羽間に向け、拳銃を撃ち続けていたのだ。

 ベンチを投げつけられても平気な顔をする警官を見て、羽間はゾッとした。


 よく見ると、知らないおっさんやOLまでビルの窓を突き破り、一緒に飛び降りているではないか。

 手に鋏やカッターを持ち、殺意に満ちた表情を羽間に向けて落下している。


「(化け物共めっ!)」


 自身も人間の常識的な身体能力からは逸脱しているというのがすっかり頭から抜け落ちている発言だ。

 そして、なんとか逃げ切ろうと、前方。つまり地面の方を見る。


「ゲェッ」


 下を見るとワラワラと人が集まってきていた。一般人役のNPC達だ。

 アレは野次馬ではないと羽間は直感で分かってしまう。


「非殺反対!!」


「変態を許すな!」


「女性の敵を殺せ!」


 下ではデモでも行っているかのように大騒ぎである。


「く、くそがぁあああああああ!!!」


 羽間はそのまま人の波に突っ込んだ。

 ある程度は跳ね飛ばしたが、段々と勢いを無くし、ついにはバイクから引きずり降ろされてしまう。


「ふざけんな! 放せよおい! やめろぉぉおおおおおおおおお!!!!」


 抵抗してNPC達を殺しても次から次へと手が伸びてくる。

 そんな事をしていると、


「公務執行妨害で射殺する!」


 と、先ほどから自転車で追いかけてきた警官達とはまた別の警官が羽間を捕らえてしまう。

 この警官は榊 琴音が送ったちゅん太によって強化されたあの三人の警官ではない。


「(ひぃぃいいい!? 公務執行妨害!? なんで公務執行妨害で射殺??)」


 もはや何がなんだかわからない羽間は恐怖により思考が滅茶苦茶になる。


 淡々と言った罪状は公務執妨害らしいが、それどころではない数の犯罪を羽間は犯している。全て告げるには数が多すぎたのだろう。その他諸々など言いようはあるだろうが、それも言わない。

 そもそも先程から轢き逃げをしまくっているので、その罪状の方が大きい気がする。本来ではありえない事だが、公務執行妨害という罪状を一つ告げると羽間の腕に手錠が掛かった。

 その後、複数の警官に囲まれ、刺又で地面に押さえつけられた頭部にショットガンを突き付けられる。


「あ"ぁ"あ"あ"あ"あ"!!!」


 羽間は汚い悲鳴を上げるしかなくなってしまった。



 そして、複数のショットガンの発射音が周囲へと響き渡った。



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―ビルの屋上―


「アレは神命ではないであります」


「まんまと騙されたであります」


 そう言って下で悲鳴を上げている羽間を見ていたのは自転車に乗っておってきた警官二人であった。

 こちらは榊 琴音により強化された警官達である。


「バイクの方に神命の反応があったであります」


「神命がなにかしたのでありましょう。それよりも時間であります。我々も直ぐに脱出するであります」


「神命は主達に任せるであります。さぁ、本官の自転車の後ろに乗るのであります」


「二人乗りは危険でありますが、そんな事を気にしている場合ではないでありますな」


 そう言って彼等はビルから飛び降り、ゲームの世界からの脱出を行った。


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ちゅん太:「ちゅんちゅん!」(訳:ガトリングガンって複数の銃身がむき出しの状態のものを言うのでは?


琴音:「細かいことは気にしないように。きっとシリンダー部分が銃身なのよ」


ちゅん太:「ちゅんちゅん!」(訳:あー、それなら納とk……え?


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